2012年02月25日(土)

Wed 120124 タワーブリッジでクマは凍える ビクトリア駅で右手の甲を大ケガする

テーマ:ブログ
 12月17日、ロンドン滞在3日目の計画は、ロンドン基礎基本はとバスコースその2である。黄土色に濁ったテムズの流れを右に見ながら、地下鉄を2駅3駅と縦横無尽に駆使しつつ、西に向かって河を下っていく。今日の主な目的地は、ロンドン塔とタワーブリッジである。
クラシックダブル
(ダブルデッカー・ロンドンクラシック)

 ロンドンの地下鉄は、おそらくトンネルが小さいせいで車両がカマボコ型である。そう言えば中学生の頃、「ロンドンの地下鉄はトンネルがチューブ状だから、Tubeと呼ぶ」と教えてくれた先生がいた。先進国のツライところで、東京の銀座線と同じように、ロンドン地下鉄は何とも古色蒼然とした風情だ。
ロンドン地下鉄
(ロンドン地下鉄クラシック)

 カマボコ型だから、ドアの近くに立つと今井君でさえ頭が天井につっかえそうになる。長身のイギリス紳士なんかは、仕方なく頭を傾げた不自然な姿勢でドアの脇に立ち、皮肉な自虐の苦笑いを浮かべている。おお、さすがロンドンだ。
 正面から車両を眺めると、何だか顔がオムスビみたいなので、クマ蔵はずっとロンドン地下鉄のことを「オムスビ君」と呼んでいた。「何や、マンマや」「マンマやないけ」と大阪都の人々のツッコミが入りそうな呼び方であるが、いったんオムスビ君と決めた以上、コイツは意地でもオムスビ君でしかない。
オムスビ君
(オムスビ君)

 この日は冷たい雨に加えて強い風が吹き荒れ、タワーブリッジの上は「ボク、凍え死んじゃうよ」と思わず弱音を吐きそうになる寒さである。どういうものか、寒くて寒くて足の指が靴の中でかじかむほどになると、今井君は小学校2年生のフリがしたくてたまらない。
 すると言葉も幼稚園児レベルに戻って「ちゃむいよぉ」「ちゃむいよぉ」「死んじゃうよぉ」になり、「ボクチン、あったかいスープが飲みたいよぉ」とコッソリ呟いてみる。愛用の冬用ジャケットには分厚いフードがついていて、フードの澱んだ空気の中で自分に思い切り甘えるのである。
 そのぐらいフードの中は、我が懐かしいネグラのニオイに満ちている。「クマちゃんは、スープが飲みたいでチュ」と2回ぐらい呟けば、テムズ河も泥んこ色に濁ったままで凍りつきそうな、12月のロンドンの厳しい北風にも何とか耐えられるというものだ。
タワーブリッジ
(タワーブリッジ遠景)

 ところが、いくらフードの中で甘えてみても、「温かいスープ」にはなかなかありつけない。タワーブリッジのたもとに焼き栗やナッツの屋台はあるが、この強烈な寒さは栗や豆で凌げるようなものではない。ここで必要なのはどうしても湯気タップリのスープであって、コンソメだろうとオニオンスープだろうと味噌汁だろうと、この時のクマどんが求めていたのはお酒ではなく、意地でもどうしても何が何でもスープなのであった。
 しかしクリスマス直前の夕暮れのロンドンでは、凍えたクマにスープを飲ませてくれる優しいお店がなかなか見つからない。もちろん店は存在するのだが、テーブルが空いていない。冷えきった手でドアを押しあけても、ニヤニヤまたはニコニコ笑いのウェイターが「予約なしでは席がありませんね」と、いかにも残念そうに肩をすくめるだけである。
タワーブリッジ拡大図1
(タワーブリッジ拡大図 1)

 タワーブリッジ周辺の裏町を30分ほど、ひたすらスープを求めて彷徨したあげく、可哀想な日本のクマさんはあきらめて帰ることにした。地下鉄の駅が見つからなかったから、ビクトリア駅までダブルデッカーのバスに乗った。寒くて、冷たくて、慇懃無礼で、河も汚い茶色に濁っていて、ロンドンの街が何だかイヤでイヤでたまらなくなりかけていた。
タワーブリッジの食堂
(タワーブリッジ付近、入店を笑顔で断られたレストラン)

 ビクトリア駅を目指したのは、「駅前に『SHAKESPEARE』という名前のパブがあった気がする」と思い出したからである。昨日の朝、バッキンガム宮殿に向かう途中で発見したパブで、店先にいかにも自慢げに「FAMOUS ENGLISH BREAKFAST」の貼り紙が出ていた。
 浅草か上野あたりの「名物 大東京定食」、大阪・新世界の「ゴツい串揚げ定食、ありまっせ!!」みたいなものである。しかし、この寒さ・冷たさ・イライラ感覚を何とかするためなら「大東京」だろうが「ありまっせ!!」だろうが「メッチャ旨いでぇ」だろうが、一向にかまうことはない。
ロンドン塔1
(ロンドン塔 1)

 この2日、いろんな店のウェイターたちのニコニコ笑いに、クマどんはすっかり心を傷つけられていた。ひたすらSHAKESPEAREのFAMOUSなENGLISH BREAKFASTを目指してビクトリア駅の人ごみをかきわけていった。
 ロンドンのパブならほぼどこでも「24 HOURS BREAKFAST」である。もう16時過ぎで、ビクトリア駅前は暗くなりかけているが、目玉焼きとソーセージにかぶりつき、パンとスープにメガネを曇らせて悦に入ることは可能である。お腹が暖まったら、それからじっくりビール→ワインと進んでいけばいい。
ロンドン塔2
(ロンドン塔 2)

 しかし、ツイていない時は、どこまでもツイていないものである。ビクトリア駅の地下通路階段で蹴つまずいて前のめりに転び、右手中指の付け根を激しく擦りむくハメになった。階段の滑り止めのザラザラした金属板を、右のコブシで思い切り殴りつけるような転び方だったのである。
 傷は、右手甲の皮膚が一度に5~6枚まとめて剥がれた感じ。肉が露出し、あと少しで白い骨が露出しそう。痛みを通り越して、むしろ傷がヒンヤリ冷たく感じられ、背筋を同じぐらい冷たい汗が数滴タラタラ流れていく感覚。「十分『大ケガ』と呼んでいいな」と自ら納得して、命がけで頷くような気持ちである。
夕暮れのビッグベン
(夕暮れのビッグベン。テムズ河をはさんで)

 しかし、ここでクマ蔵は一気に立ち直った。すっかりフテくされて「ロンドンなんか大嫌いだ」と叫びそうになっていたのが、「そうかい&そうかい、そういうことなら、こっちにも覚悟がある。奥の奥まで、ズンズンのし歩いてやろうじゃないか」と、毛むくじゃらの頭を昂然と上げた。
 なぜあの時ポケットの中にジャンボサイズのバンドエイドが2枚入っていたのか、自分でもよく分からない。しかし、まるで神の恩寵のように大きなバンドエイドで右手の甲の傷を覆うと、心の中までホカホカに温まり、次第次第に熱く燃え上がるのが感じられたのである。
 「肉を食いにいこう!!」「肉を貪り食おう!!」と思いついたのは、その時だ。別にアテがあるわけではないが、何しろ激しい肉食の人々の国だ。ステーキハウスぐらい、いくらでもあるだろう。
 スープだなんて、ケチくさくコドモっぽく甘えたことを言っていないで、固くて分厚くてよく焼けた肉をワシワシとムサボリ食って、東洋のクマの豪傑ぶりを見せつけなければならない。そういう奇妙に昂った気持ちになることが、1年に20回ぐらいはあるものである。
タワーブリッジ拡大図2
(タワーブリッジ拡大図 2)

 ステーキハウスは、SHAKESPEAREのさらに裏の通りに2軒並んでいるのを発見。右手の強烈な痛みは引いていなかったし、ジャンボサイズなバンドエイドにも血がどんどん沁みてきていたけれども、そんなことはどうでもいい。分厚い肉をワシワシ平らげれば、そのぐらいの血液は内側から一気に補充できるだろう。
 こうしてこの夜は、安ワインと岩みたいなステーキで終わることになった。並んだ2軒とも、まさにファミリーレストランの範疇のど真ん中ではあったが、なんのなんの、一切構うものではない。それとも、海外旅行中にファミレスに入っちゃダメなの? 開き直ったクマどんのワシワシぶりは、もう誰にも止められないレベルに達していた。

1E(Cd) Harbie Hancock:MAIDEN VOYAGE
2E(Cd) Sonny Clark:COOL STRUTTIN’
3E(Cd) Billy Wooten:THE WOODEN GLASS Recorded live
4E(Cd) Jan Garbarek:IN PRAISE OF DREAMS
5E(Cd) Jan Garbarek:IN PRAISE OF DREAMS
total m123 y123 d8018
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