2011年12月25日(日)

Sat 111126 超有名作品を回避する 日が暮れるまで立ち尽くす(ギリシャ紀行36)

テーマ:ブログ
 昨日書いたような理由で、何となく美術館が億劫になってしまった今井君は、ごくタマに何かの間違いで美術館に入ってしまうと、人々が黒山の人だかりを作っている有名な作品をあえて避け、誰も見ていない「失敗作なのかな?」系の作品の前で長時間佇むことが多い。
 例えばルーブルに入って、「モナリザ」「サモトラケのニケ」の前の黒山の人だかりに呆然としたとする。その周辺にも歴史的名作が200枚も300枚もズラリと並んでいるはずなのに、ルーブルの客でその前に立ち止まる人はほぼ皆無である。
 ちょうどいま、今井君はマドリードでプラド美術館のお隣のホテルに宿泊している。日本人客もチラホラ姿を見かけるが、ほとんどの日本人のお目当ては、プラドでゴヤを眺めることであって、浴衣であろうが裸であろうが、彼らはゴヤのマハを見に来たのであって、ゴヤやボッシュの超有名作品以外には目もくれようとしない。
お腹が痛い人々
(おなかの痛い人々)

 ルーブルでもプラドでもオルセーでも、もっともウンザリするのは遠足で訪れた大量の小中学生集団である。高校生集団も多い。彼ら&彼女らも、引率の先生も、同じように超有名作品の前でしか立ち止まらない。
 先生は生徒たちを作品の前の地べたに座らせて、作品の沿革と素晴らしさについて縷々説明に努める。そういうことが許されるのも不思議だが、許されている以上、文句を言っても始まらない。一般客がその名作に接近することは、きわめて困難になる。
お腹が痛い人々代表
(おなかの痛い人々、代表)

 しかし諸君、モナリザの両隣も、そのまた両隣の絵も、ルーブルにあるからこそ「誰も見向きもしない」ハメになるので、もし東京や大阪で「ルーブル美術館名品展」が開催されたら、「誰も見向きもしない絵」が、日本のルーブル名品展のまさに中心に君臨することだって、大いにあり得るわけだ。
 同じように、ちょうどこの冬の東京で「ゴヤ展」が開催中であるが、その東京版ゴヤ展に展示されて、オバサマ連や知的オネエサマ連が黒山の人だかりを形成している絵が、実はプラドでは見向きもされない、可哀想な絵画たちである可能性も少なくない。
おじさん1
(ふざけたオジサン)

 日本で開催される美術展について、今井君は昔からこの種の不信感で一杯なのである。普段は誰も振り向かず、誰も立ち止まらず、誰も感動を口にしない可哀想な絵画を、日本に運び込めば、たちどころに「黒山のオバサマ」や「黒山の知的オネエサマ」が感動の溜め息をつく。どうも、日本開催の美術展にはそういう傾向が残っているように思う。
おじさん2
(怒ったオジサン)

 ならば逆に、海外に出かけて超有名美術館を回るとき、ウフィッツィでもMOMAでもメトロポリタンでも、誰も見ていない絵画、誰も立ち止まろうとしない彫刻に注目するのは悪くないんじゃないか。
 人だかりや混雑を避け、小中学生や高校生集団が座り込んでいない作品の前で、好きなだけ感動を貪るのは、何よりもまずストレスフリーである。モナリザの前に200人以上が人間の山を築いているとき、今井君はその周囲の200枚以上の名作から、好きな絵を選んで心行くまで楽しむのだ。
知的OL
(古代の知的オネエサマ)

 ニケやマハやラス・メニーニャスばかりが美しいのではない。真珠の耳飾りの女しか美しく見えないのは、単なる見物に出かけた野次馬にすぎない。そのお隣やそのまたお隣の絵だって、東京の美術展ならポスターに採用されるほどの名作である可能性が高いのだ。諸君、その前にこそ、日がとっぷり暮れるまで立ち尽くして、美しさに酔いしれるべきである。
 マコトにマコトに下らん例えで申し訳ないが、ミスユニバースばかりが美しいのではないし、ミス慶応とミス上智ばかりが「未来の女子アナ」なのではない。昔むかし、「東進ドリームチーム」というのがあったが、サテライトやサテライン授業級のスター講師の渦の中で埋もれかけている講師だって、じっくり授業を味わってみれば、実は素晴らしい講師がいくらでも隠れている。
丸顔の男
(アガメムノンのお隣の丸顔のオジサン)

 アテネの考古学博物館の場合には、昨日の記事に写真を掲載したような世界史史料集レベルの超名作がズラリと並んでいたけれども、幸いなことに閑散としていて、「黒山の人だかり」に悩まされることはなかった。中高生集団が周囲を占拠することもなく、ゆっくりカメラにおさめながら3時間余り、心行くまで味わうことが出来た。
 しかし、いったん「隠れた名作主義」が身に付いてしまうと、逆に超有名作品を回避して回るような悪いクセもつく。これは要注意だ。
 「これって失敗作?」系の作品は「ツッコミどころ」も満載。他の人が見向きもしない作品の前で、あれやこれや多種多様にツッコミを入れていると、いつのまにか「ツッコミを入れなきゃ」という強迫観念の虜になりかねない。
顔の真ん中
(顔の真ん中を殴られた女)

 本日写真を掲載した「お腹が痛い人々」とか「アガメムノンのお隣の丸顔男」なんかは、美術史的価値の高い名作。「シカツメらしい人々ばかりではない」だって、古代ギリシャ演劇史をチャンと勉強していけば、おそらく能に対する狂言のような演劇形態を知る上でたいへん重要性の高いものである。
本能を優先
(本能を優先)

 「本能を優先」は、おそらくここまで彫った段階で、何らかの理由から制作を放棄せざるを得なかったのである。作者の病気や死、依頼者の資金難、依頼者の失脚、その他さまざまな事情を空想するだけで、「日が暮れるまで立ち尽くす」だけの想像力を喚起してくれる。
 「顔の真ん中を殴られた女」も、大いに空想力を刺激する。戦争? 暴動? 宗教か流行の変化? 単なる酔っぱらいのイタズラ? 今井君の空想はありとあらゆる可能性を求めて、まさに地球を7回り半したのである。

1E(Cd) José James:BLACKMAGIC
2E(Cd) Billy Wooten:THE WOODEN GLASS Recorded live
3E(Cd) Keith Jarrett & Charlie Haden:JASMINE
4E(Cd) Harbie Hancock:MAIDEN VOYAGE
5E(Cd) Sarah Vaughan:SARAH VAUGHAN
total m130 y1616 d7573
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