2011年12月21日(水)

Wed 111123 危機の縮図を市場に見る 和食ブームと風林火山(ギリシャ紀行33)

テーマ:ブログ
 「あんなにたくさんのおサカナが、どんどん腐ってしまうじゃないか」「ゆるくぬるびもてゆきて…わろし」とクマ蔵は心配になった。9月2日、アテネの鮮魚市場でのことである。
 貧しいとか、経済危機だとか、怠け者だとか、財政規律がなってないとか、厳しく難しいことを言われ放題に言われ尽くして、要するに「ヨーロッパの連帯が危機にさらされたのは、お前たちがダラしないからだ」と名指しされたこの国で、こんなにダラしなくおサカナさんたちが腐っていっていいものだろうか。
鮮魚市場4
(アンコウさんも、ゆるくぬるびもていく)

 イカも、タコも、イワシも、アジも、獲ることは獲ったけれども、ちっとも売れなかったのである。食肉市場は昨日書いた通り恐ろしいほど活気に満ちて、昼をちょっぴり過ぎた頃の陳列棚は、もうカラッポに近かった。それに引き換え鮮魚のほうは、昼過ぎてますますデレデレした雰囲気に緩んでいった。
 氷はヌルく融けていく。お客はまばら、売れる見込みはない。店のヒトたちのアキラメの表情が、特に深刻である。
「もう、まさか売れないだろう」
「この時間帯から売れるなんて、ありえない」
「どうせ、売れ残りはみんな腐らせるんだ」
「腐って、捨てて、ムダになるけど、そんなのいつものことだ」
「先月も、先週も、一昨日も、昨日も、今日も、ずっとこの繰り返しだ」
「状況が打開されることなんか、考えられない」
「こうやって、魚はみんな腐っていくし、我々の人生も、どうせジリ貧だ」
「イワシやサバみたいに手っ取り早く腐っちゃうか、ちょっと持ちこたえて頑張るか。どうせ腐っちゃうなら、イワシみたいなのも悪くないな」
「でも、痛いのはイヤ。苦しいのもイヤ。歯医者さんに行ってコワい思いをして歯を削られたり抜かれたりするより、鎮痛剤でゴマカシておくのがいいな」
「何だか、微妙。ヌルすぎる気もするけど、頑張るのもイヤ」
「お、日本人だ。というか、日本グマだ。ちょっとからかってやるか」
こうして、ギリシャ危機も、南欧危機も、アテネの鮮魚市場を1回りすればその本質がカンタンに把握できるのである。
鮮魚市場5
(イカもタコもおサカナも、どんどんゆるくぬるびもてゆく)

 寂しくなったクマ蔵は、シンタグマ広場近くの日本料理店「風林火山」を目指した。長かったギリシャ旅行も、いよいよ「残り3日」という最終盤を迎えた。そろそろ和食屋を1軒訪ねて、ギリシャの思い出を一つ付け加えておかなければならない。
 日本のメディアでは「世界各地で日本食ブーム♡」ということになっているが、クマ蔵がその「世界各地」なるものを旅して歩いた経験で言うと、「いったい世界のどこで日本食ブームなんですか?」と尋ねたいぐらいである。
 和食店でも寿司屋でも、確かに世界各地に広がったことは広がった。大都市に限らず、県庁所在地程度の中規模都市なら、1軒や2軒はカンタンに見つかるのである。
 しかしそのほとんどが中国人韓国人かインド人経営の「ナンチャッテ和食屋」。「これはニセモノだ」と怒るより、むしろ笑いが止まらなくなるほど複雑にアレンジされた「インド風和食」「中華風和食」が多い。
風林火山1
(大繁盛のアテネ「風林火山」、夜の光景)

 ホンモノも、確かにある。ドレスデンの寿司屋「小倉」は旨かった。ニューヨーク「白梅」やロンドン「菊」、パリ「弁慶」にもお世話になったが、だからといって「世界各地で和食ブーム」ということにはならない。
 多くの和食屋は、街はずれの寂しい通りに、中華食堂やインド料理屋と肩を寄せ合って「アジア人同士、何とかやっている」。これにタイ料理が加わることもあるが、多くの場合、和食店の店構えが一番遠慮がち。中を覗いてみると、お客が入っていることもほとんどない。
 ガイドブックに「地元のヒトに大人気。ランチでも予約が取れないほどだ」と書かれていても、ほとんどの場合は単なる「ヨイショ」。他の店が満員で入れない時間帯、「日本料理なら大丈夫だろう」と思って行ってみると、たいていはガラガラ。着物や浴衣姿の欧米人従業員が大きなアクビで涙を流したりしている。
風林火山2
(大繁盛のアテネ「風林火山」、昼の光景)

 お客の顔を観察すると、「何で、ワタシはここを選んじゃったんだ?」という後悔の苦笑が浮かんでいる。ミュンヘン・マリエンプラッツの「SASOU」もそうだった。SASOUって、「誘う」のつもりか、それとも「颯爽」を読み違えたのか。そばやウドンが主だが、韓国料理や中国料理も混じっている。要するに「アジア屋」である。
 同じミュンヘンの裏通りには、回転寿司屋ならぬ「回転アジア料理屋」を発見。回転寿司の要領で小皿や小丼に料理が小分けされて流れてくる。ザーサイだったりキムチだったり、寿司だったりカレーだったり、トムヤンクンだったりカツ丼だったりする。それをコンベヤーから手許にとって、「うぇ」「うぁ」「あぇ」というフシギな表情の欧米人が、懸命に箸でつつき回すのである。
カツカレー
(旨かった「風林火山」カレー)

 そういう状況だから、アテネの「風林火山」を特筆しないわけにはいかない。アテネの真ん中で堂々と日本料理店を営業し、店の前には常に列が出来ている。行列は絶えることなく、時に長蛇の列となる、待たずに店に入れれば、ホントに運がいい。日本人として、大いに鼻が高かった。
 ギリシャ人が握る寿司も、ギリシャ人が差し出すカレーも、久しぶりのSAKEも、みんな旨かった。おお、久しぶりにホンモノを食べた。もちろん「ナンチャッテ和食」の思い出もいいが、ホンモノはホンモノで間違いなくいいのである。
 食べながら、行列に並んだギリシャ人が悔しそうに睨んでくるのだけが、この店の欠点である。とても落ち着いて「お酒、もう1本」などと言える雰囲気ではない。もっと店舗を大きくしたらどうだろう。お隣の中華料理店は誰も客がいなくて開店休業状態なのだ。侵食しちゃっていいんじゃないのかね。

1E(Cd) Weather Report:HEAVY WEATHER
2E(Cd) Sonny Clark:COOL STRUTTIN’
3E(Cd) Kenny Dorham:QUIET KENNY
4E(Cd) Shelly Manne & His Friends:MY FAIR LADY
5E(Cd) Sarah Vaughan:SARAH VAUGHAN
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