2011年11月30日(水)

Sun 111106 イアはギリシャ版ディズニーである 明日の夕陽に備える(ギリシャ紀行24

テーマ:ブログ
 8月31日、夕暮れのイアの街に出た今井君は、東から西に向かって歩きながら、街の奥深さにまず驚かされた。ミコノスは網目状の迷路、イアは誰にでも分かる大通りが1本通っていて、その大通りからたくさんの脇道が派生するタイプの迷路である。迷ったら、大通りに出ればカンタンに元の道に戻れる。
 この種の迷路は、無秩序に拡大したミコノスの網目に比較すると、迷路の性格がはるかに弱くて、例えばディズニーリゾートみたいなものである。迷っているようでいて、実はちっとも迷っていない。ホントに迷えば軽い恐怖を伴うが、迷っていないクセに「迷ったゴッコ」を楽しむのは、郷愁や哀愁に似た淡い快感がある、フェリーニの祝祭みたいなものである。
朝の南方向
(サントリーニ、朝の南方向)

 道の両側を埋め尽くしているのは、どこまで行っても同じような土産物屋とタベルナばかりである。濃い紺色の海にそそり立つ断崖、そこに張りついた真っ白な街は圧倒態に美しいが、誰が見ても人工の街であって、雰囲気は極めてディズニー的である。
 サントリーニは、もともと「ティラ島」と言って、見向きもされなかった貧しい島である。イアはその島の北端。断崖でロバを飼い、わずかな農地で細々と農業を行う他は、主に沿岸の水産業で生計を立ててきた寒村である。余りに美しい夕陽に感動した誰かが「よし、ここにディズニーを建設しよう」と思いついたのだ。
日没直後
(サントリーニ、日没直後の風景)

 遺跡も歴史的建造物も一切ない場所だから、土産物屋とレストランばかりが建ち並んでいるのには何のフシギもない。夕陽見物の大量のヒトビトが、西から東に向かって戻ってくるのに逆行して、クマ蔵は西の断崖に向かった。
 イアの街の西の果ては、サントリーニ島の北の果てでもある。そこにいきなり高さ100mほどの断崖があって、断崖の下はエーゲ海。下には漁港程度の小規模な港があって、荷物の運搬をロバたちが手伝っている。夕陽が美しいスポットは、この断崖の上である。
夕景色
(サントリーニ、夕暮れの風景)

 クマ蔵が到着してみると、断崖の上にはまだ夕陽の興奮の名残が流れている。陽はすっかり沈んだが、西の空はまだホノカに赤みを帯び、ヒトビトはその夕焼けを指さしながら、何事か熱く語り合っている。ふと気づくと、地平線から斜め30°ほどの高さに三日月が浮かび、それに気づいた男が「Look, the moon’s up!!」と小さく叫んでいる。
次第に夜景に変わる
(次第に夜景に変わっていく)

 足許は、もう暗がりだ。海は真っ暗で何も見えないが、断崖に張りついた白い家々が灯りを灯して、すでに夜景が始まっている。見ると、今クマ蔵が立っている断崖の向こうに展望台があって、夕焼け&夕陽スポットはあの展望台であるらしい。
 しかし諸君、巨大な体躯の欧米人集団に包み込まれて、低い水平線の夕陽を眺めるのは、あまり楽しくなさそうである。せっかくの視界を、巨大な背中、太い首と肩、無遠慮に割り込んでくるコドモたち、コドモを一切叱らない親、渦巻く体臭、そういうものの真っただ中では、美しいものもなかなか美しくは見えない。
日没を見たいヒトビト
(展望台で夕陽を待つヒトビト)

 特に心配なのは「渦巻く体臭」である。夕陽というものが姿を現すのは必然的に夕暮れに限るから、夕陽を眺めようと思えば、1日中炎天下を歩き回って汗まみれになったヒトビトの渦の中しかあり得ない。
 諸君、欧米人300人が汗まみれのデカイ肉体を密着させた集団の、そのど真ん中に立ってみたことはあるか? それが嗅覚にどんな衝撃をもたらすか、経験してみたことはあるか? その現場で、美しいものを美しいと感じ、美しいものとして長く記憶に留めることができるだろうか。むしろその時、人間の感覚は、嗅覚のほうに研ぎすまされてしまうのではないか。
ますます夜景に変わる
(ますます夜景に変わっていく)

 こう考えた今井君は、明日に迫ったギリシャ旅行のクライマックス「Oiaの夕陽に酔いしれる」の場所を、今夜のうちにキチンと検討しておくことに決めた。クマというものは嗅覚が特に敏感であって、飲食店でタバコの匂いがちょっとしただけで、旨いものと旨いと感じる能力を一気に奪われてしまうのだ。
 この夜、今井君が見定めた絶好の場所は、西に向かって大きくテラス席をしつらえたタベルナである。店のほうでもおそらく夕陽を意識しているのだろうが、テラスが開いた方角を考えると、この店に陣取りさえすれば、巨大な背中や肩、割り込んでくるコドモに一切邪魔されることなく「美しいものを美しく感じる」をやれそうだ。
秘密のタベルナ1
(秘密のタベルナ 1)

 クマさんは意地悪だから、店の名前は秘密である。というか、実はクマ蔵は興奮しすぎて、店の名前を忘れてしまった。もしイアの夕陽を満喫したかったら、諸君自身でこの店を探してみたまえ。ディズニーリゾートみたいな街だ。3時間もウロウロ歩き回れば、誰だって探しあてられる。
 残念ながら、日本で売られているどのガイドブックを見ても、この店は掲載されていない。というより、イアについての詳しい情報を掲載している本がないのは驚きである。「地球の歩き方」なんか、島で最大の街フィラの情報ばかりで、イアの地図さえ載っていない。イアのほうがフィラより別格で美しいことは間違いないので、大いに改善の余地ありと信じる。
秘密のタベルナ2
(秘密のタベルナ 2)

 というわけで、気の早い今井君は早速この店に入ってみた。サントリーニ滞在の2日だけでなく、2週間にわたる長いギリシャ旅行のクライマックスの舞台に選ぶのだ。慎重の上にも慎重を期して、くれぐれも居心地の悪い店を選択しないように、キチンとテストしておかなければならない。
 テストは、まず物理的に夕陽をチャンと眺められる席があるのかどうか、ハード面の確認。続いて従業員の応対、つまり「長居しても大丈夫か」。明日は17時頃入店して20時過ぎに日が沈むまで、3時間に及ぶ長い勝負だ。ワイン2本ゆっくりカラッポにするまで、何も言われずに席を占領できるのか。要するにソフト面の点検も怠れない。
朝の北方向
(サントリーニ、朝の北方向)

 ソフト面には、「イカがソフトか」「ヒツジがソフトか」という、まさに文字通りのソフト面の確認も必要。イカやヒツジがある程度ソフトでなければ、勝負の3時間に夕陽に夢中になりすぎて、口の中をしたたかケガする可能性もある。
 タダでさえ、ミコノスのウニに刺された右手中指がうずいている。このうえ重傷の口内炎に悩むことになっては、「2011年夏のギリシャ旅行は、口と右手中指が痛かった」という、これまた文字通り「痛い記憶」が残るだけである。
朝の東方向
(サントリーニ、朝の東方向)

 結局この夜はサントリーニ特産の白ワインを2本カラッポにして、いつもの千鳥足でKATIKIESに戻った。諸君、このホテルは静かである。対岸のBeach Partyの騒音に悩まされたミコノス4日間がウソのように、翌日に備えてタップリ深い睡眠を満喫することができた。やっぱり、サントリーニは別格のようである。

1E(Cd) Sonny Clark:COOL STRUTTIN’
2E(Cd) Sonny Clark:COOL STRUTTIN’
3E(Cd) Kenny Dorham:QUIET KENNY
4E(Cd) Kenny Dorham:QUIET KENNY
5E(Cd) Sonny Clark:COOL STRUTTIN’
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