2011年11月27日(日)

Wed 111102 クマ、デロス島山頂へ エーゲ海の荒波に港魂が燃える(ギリシャ紀行20)

テーマ:ブログ
 8月30日、デロス島探訪の唯一の目的だった「ニャゴ群像詣」が終了した今井君としては、予定していた14時の船を1時間早めて、13時の船でミコノスに帰還しても、別に構わない勢いである。真っ赤な色の妙な昆虫がたくさん這い回っているのも気色悪いし、こんな炎暑の中、休む場所も日陰もほとんどない無人島で、最終便まで待つのも面倒である。
 しかし、島でたった一つの日陰である博物館までたどり着くと、どうやって生きているのか、野良猫さんたちが足許に絡みついてくる。アテネでもミコノスでも同じことだが、やはりクマ蔵の足にはニャゴロワとナデシコの匂いが染み込んでいて、ギリシャでもドイツでもポルトガルでも、そこいら中のネコたちの関心の的になるようだ。
デロスのネコ1
(デロス島の野良猫 1)

 気をよくして、博物館に入る。諸君、普段からこのブログを熟読しているヒトなら分かるはずだが、クマ蔵が博物館とか美術館に入るのはきわめて珍しい。絵も彫刻も大好きだが、そこに詰めかける身勝手な人間の渦が大嫌いなのだ。
 「身勝手な人間の渦」は日本でも欧米でも同じことである。何故ヒトは、クルマを運転するときと美術館の中でだけ、あんなに身勝手な生き物に変わるのだろう。プラドも、ルーブルも、大嫌い。展示されている作品が素晴らしければ素晴らしいほど、先にいる人間を押しのけ、後からくる人間を寄せつけまいとする、無遠慮なヒトの群れがイヤ。騒がしい人々への嫌悪感がつのり、彼らに嫌悪感をつのらせる自分もキライになる。
ライオン像
(博物館のライオン像。ペルシャに2500年吠え続けたホンモノたちだ)

 しかし、こんなに野良猫がいて、「まあクマどん、せっかく絶海の孤島まで来たんですから、我々の自慢のライオン像でも観ていきなさい」と説得するんだから、日陰で涼んでいくためだけにでも、ペルシャに向かって2500年も吠え続けた大型ニャゴだけでも観ていくことにした。外のニャゴさんたちはレプリカ。博物館の中の数頭がホンモノなのである。
デロスのネコ2
(デロス島の野良猫 2)

 博物館を出て、14時の最終便までまだ1時間半残っている。この90分を使って、クマ蔵はこの島の最高峰「キントス山」に登ってこようと思う。ガイドブックによれば、キントス山は標高110m。大した高さではないが、畏れ多くも賢くも、ここは「ゼウスの聖域」なのである。
 黙ってそこいらに座っていても1時間半ならすぐに経過するだろうが、気色悪い真っ赤な昆虫がどうしても気になるし、第一「90分」というのは、生徒諸君がじっと座って今井君の授業を受講する時間に等しい。
 そんな貴重な90分を、黙って座ったまま「時間つぶし」なんかするのはもったいない。高さはたった110mでもゼウスの聖域に踏み込んで、畏れ多い体験をしてくるべきである。これほどの炎暑の中、今井君がそういう決断に身を委ねるのは珍しいが、目の前にそそり立つ「たった110m」が、下から見るとたいへん安易な登山に思えたのが、決意の理由である。
帰りの船から1
(船着き場から見たキントス山、110m)

 時間が限られていたのと、登山道が言語道断にツルツル滑る岩で出来ていたのとで、さすがのウワバミ君も青息吐息ではあったが、45分ほどで登頂に成功。熟年の西洋オジサマ&オバサマと道を譲り合いつつ、若者連にはひたすら道を譲りながらの登頂であった。
 山頂からは、快晴のエーゲ海の眺望が360°広がっている。強風の中、海は驚くほど青い。大小の島影が濃く薄く重なり合って、どれほどたくさんの島が続くのか、果てしない思いである。
 2500年前、その島々の間を縫って、ペルシャ大艦隊が接近したのである。当時のギリシャの人々からすれば、悪魔と魔術師と、魔物のような獣たちを満載した船団だ。
 無慈悲な大王が率いる巨大船団には、重臣たちの限りない悪意が渦巻き、ギリシャの人々を皆殺しにするばかりか、この世で想像できるかぎりの激烈な苦悶を伴う殺戮、要するに血腥い地獄絵図を運んでくるのである。
 おそらく数名の斥候がこの山の上に常に配置され、彼らは接近する悪の大船団をこの位置から確認し、合図の狼煙をあげ、狼煙には麓の鐘が呼応し、早速アテネとスパルタに向けて急を告げる使いの早船が走ったに違いない。
山の上から1
(山の上から。斥候が敵船団を発見したエーゲ海)

 いま今井君が眺める風景は、2500年前の斥候たちが、父と同じように、祖父と同じように、そのまた祖父の祖父の祖父と同じように、オドロオドロしい異国の船団を発見し、祖国の危急を告げる狼煙を上げた、まさにその場所である。
 血の鉄の匂いに満ちた凶悪な殺戮の記憶や、祖父母が物語った戦慄の物語が、彼らの恐怖を誘ったことだろう。皆殺しの腐臭、腐敗した死体が累々と横たわる風景、拷問と絶叫と臓物の記憶、そのレベルの悲惨は、幾世代を隔てても民族の心の深層から消えることはない。
山の上から2
(キントス山上からのエーゲ海)

 360°の真っ青な海の風景にとりまかれ、爽快な夏の風に吹かれながら、今井君はそんなことをいつまでも考えていた。そんな想像で油断しているうちに、思いもかけず船の出発時刻が近づき、最後にはフランス人の中年女性グループとともに、険しい山道を走るように下らなければならなくなった。
帰りの船から2
(船上からのエーゲ海、14時 1)

 最終便はデロス島14時。これに乗り遅れたら、ミコノスに戻れない。灯りも水も食料もない無人島で、例の真っ赤な昆虫のうごめく地面にしゃがんで、明日朝の始発の船を待つしかない。または、最後に見回りにきた島の管理人に死ぬほど叱られた上で、ミコノスに強制送還される。どちらにしても、そんなのは身の毛もよだつ話である。
帰りの船から3
(船上からのエーゲ海、14時 2)

 まあ、何とか船に間に合って、甲板に上がる。すでに船室は満員、立錐の余地もない。立錐の余地がないだけなら、灼熱の太陽を避けるためだけにでも船室に留まったほうが無難だが、船室は体臭に満ちている。あの炎暑の中、3時間も直射日光を浴びて歩き回った欧米人数百名の体臭である。諸君、想像を絶するものがあった。
 別に、自慢するのであるが、今井君自身は中年男子には珍しい「ほぼ無臭」。何かの都合で3日もお風呂に入らないようなことがないかぎり、ほぼ無臭であって、その辺の普通のクマみたいに圧倒的体臭で自己主張をするようなことはない。
 それでも匂いに気づくのはニャゴとナデシコぐらいであって、「あ、他のネコを撫でてきたでしょ!!」と最初に気づくのはナデシコである。ニャゴだって、「おや、ナデシコを撫でましたね」と憮然とした顔をするし、ギリシャのネコたちも「あなた、東京でネコと暮らしてますね」と、用心深い表情を崩さない。
船から風車群を
(船上からミコノスの風車群を望む)

 仕方ないから舳先に近い甲板に立って、ミコノスまで1時間、海を眺めて過ごすことにした。デロス島からエーゲ海の外海に出ると、うねりがあって船は大揺れである。欧米の勇ましい子供や若者たちは、それでも意地になって甲板に居残ったが、時として頭から大波をかぶる。
 しかし諸君、今井グマは、荒波渦巻く秋田の海で育った海の男である。甲板でちょっとやそっと波をかぶったぐらいで、悲鳴を上げるようなヤワなヤツではない。母校・秋田市立土崎小学校の校歌に「北荒海の日本海、吹雪に鍛えし港魂」の一節もある。港魂と書いて「ミナトダマ」と読む。この炎暑の中、波を頭からかぶるなら、心地よいことこの上ない。
船で旧港に接近
(ミコノス旧港に接近する)

 こうして、舳先の甲板でエーゲ海の波をかぶり続けながら平気で1時間を過ごしたのは、今井君以外に10歳ぐらいの欧米男子ほか十数名。ミコノス旧港に入港するころには、この欧米人小学生もタオルをかぶって震えていたが、今井君だけは「よおし、では、いよいよ今日のクライマックス。ヨルゴの店に飲みに行きますかね」とコブシを固めた。さすがに「吹雪に鍛えし港ダマ」である。

1E(Cd) Surface:2nd WAVE
2E(Cd) Enrico Pieranunzi Trio:THE CHANT OF TIME
3E(Cd) Quincy Jones:SOUNDS … AND STUFF LIKE THAT!!
4E(Cd) Courtney Pine:BACK IN THE DAY
5E(Cd) Dieter Reich:MANIC-“ORGANIC”
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