2011年11月26日(土)

Tue 111101 デロス島探訪(1) 2500年吠え続けたニャゴたち(ギリシャ紀行19)

テーマ:ブログ
 ミコノス滞在4日目の8月30日、デロス島に行ってこようと思う。28日に行く予定だったが、11時の船が強風で欠航。翌29日は月曜日で、月曜日はもともとデロス島便のすべてが欠航になる。明日31日にサントリーニ島に移動するから、デロス島を訪れるのはこの日が最後のチャンスなのであった。
 デロス島は、20年前に世界遺産に指定されている。無人島だから、ミコノスから1時間、船に揺られ日帰りで往復するしかない。気軽に「船に揺られ」と言うが、その揺られ方は尋常ではないので、強風で欠航になることは珍しくない。特に冬期は危険だから、全面的に欠航である。
ニャゴ群像1
(デロス島のライオン群像)

 それでも、多くの観光客がデロス島にわたる。10時の船で行って、ミコノスに戻る最終便が14時だから、島で過ごす時間は3時間弱であるが、欧米人はどうしてもデロス島に行きたいと思うらしい。
 神話によれば、太陽神アポロと月神アルテミスはこの島で生まれたのである。ならば、クマ蔵もどうしても行かなければならない。アポロ&アルテミスが生まれた「聖なる湖」もこの島にある。「双児の産湯に湖の水を使った」というのである。
 ゼウスが本妻ヘラに隠れ、こっそりレトとイケナイことをして、レトは妊娠。激怒したヘラはレトを暗殺しようと執念を燃やす。ポセイドンに助けられてデロス島にたどり着いたレトが生んだのが、アポロ&アルテミス。以上、野上弥生子「ギリシャ・ローマ神話」(岩波文庫)参照のこと。
 しかし今井君としては、「土曜ワイド劇場」や昔の「火曜サスペンス劇場」を思わせるそういう神話に興味があるわけではない。だって、ギリシャ神話のストーリーは何だかチープである。湯けむり・同窓会・仲居サン・十津川刑事(Mac君の変換は「凸側掲示」であるが)、そういう類いのものに置き換えれば、あっという間にお茶の間向けの台本が書けそうだ。
とげだらけ1
(現在は無人島。トゲだらけの多肉植物で覆われている)

 今井君がデロス島を訪ねたかったのは、ギリシャの白いライオン群像に挨拶するためである。対ペルシャ「デロス同盟」がこの島を中心に結成されて以来、2500年以上もの間、超大国ペルシャに向かって吠え続けた健気なライオンの群像が、今もここに存在するのだ。
 対ペルシャ同盟は、スパルタを中心にした「ペロポネソス同盟」と、アテネと中心にした「デロス同盟」の2者。5年ほど前の映画「300」で描かれたように、オドロオドロしい東の大国ペルシャのイメージは、いまだに欧米を苦しめるトラウマなのだ。
背後の丘から
(デロス島のライオン像、背後の丘から)

 このトラウマに対する欧米の反応もまたチープである。魔術や悪霊や種々のバケモノを操りながら攻め込んでくる悪の大国に対して、西洋諸国は自由と正義と愛国心or信仰心で立ち向かう。映画なら「エル・シド」の昔から、21世紀の「アレクサンダー」「キングダム・オブ・ヘブン」「300」まで、脈々と受け継がれる反応である。
 悪との戦いを前に、不安げに立ち尽くす兵士たちに向かって、馬上の将軍が一席ぶちあげるのも共通である。
「相手は、悪の帝王に操られ、帝王への恐怖のために戦っている。しかし、お前たちは自由だ。自由な意思の下で、敢然と戦う道を自ら選びとったのだ!!」
「最も大切なもの、それはFreedomだ!!」
「自由と、愛する国と、優しい女たちのために戦おう!!」
そんなふうに馬上で叫び、拡声器もないのにどうして聞こえるのか分からないが、数万の兵士が雄叫びを上げる。一斉に「Freedom!!」と絶叫しながら敵陣に迫るシーンは、観ていて若干恥ずかしい。
とげだらけ2
(トゲの多い多肉植物は、敵愾心の象徴にも見える)

 しかし諸君、どんな雄叫びにも劣らず勇ましいのが、デロス島のニャゴロワたちの叫びである。2500年、アゴが外れるほどの雄叫びを、ペルシャに向かってあげつづけた。
 超大国アケメネス朝ペルシャは、ササン朝→イスラム大帝国→ティムール王朝→サファビー朝と姿を変えながら、欧米を脅かし続けた。古代ローマを最も恐れさせたのも、この地域のパルティアだった。デロス島のニャゴたちは、実は遠吠えに過ぎなかったにしても、恐れることなく東の超大国に対抗し続けたのである。
デロス島行き
(ミコノスからデロス島への船。ほぼ満員である)

 ニャゴは東京で腎臓病と戦い続けているわけだから、今井君は極東のニャゴロワのためにも、遥か西の「古代ニャゴたち群像」にお参りしてくることに決めた。朝10時の船に乗り込み、日差しが相変わらず強烈なので、1時間は船室の中にじっと潜伏。デロス島に滞在できる3時間のほとんどを、西のニャゴ詣に費やそうと決めていた。
行列
(欧米人の列)

 島に上陸してみると、チケット売り場に長い列が出来ている。団体ツアーなら、船のチケットと島内に入るチケットが共通券になっているのだが、個人で訪れると、島の入り口でもまたチケット売り場に並ばなければならない。
 欧米人が100人も列を作ってみたまえ。あっちでは子供を巧みに使って割り込み。こっちで誰が先頭だか分からないオダンゴ。窓口で長々と質問する者、ダメモトで値引きを掛け合う者。ラチがあくまでに1時間は覚悟しなければならない。
番犬1
(チケット売り場の可愛い番犬)

番犬2
(接近してみると、可愛いとばかりは言えない獰猛な表情だった)

 それでも、古代ニャゴ像まで何とかたどり着いた。あたりは威丈高なトゲだらけの多肉植物が密生。容易に人の接近を許さない荒海、その中に孤立した絶海の孤島で、おやおや、吠えている、吠えている。こりゃ、たいへんな勢いだ。
「ニャゴどん、そんなに吠えるとアゴがはずれちゃうよ」
「平和な時代ニャンだから、もうそろそろ吠えるのヤメてもいいんじゃニャイか?」
ニャゴ好きなクマどんは、思わず声をかけてやりたくなった。
ニャゴ群像2
(ニャゴ群像に到達)

 2500年来のこの雄々しい雄叫びは、実はレプリカであって、ホンモノは島内の博物館に保存されている。そりゃそうだ。雨は滅多に降らニャイにしても、強風に巻き上げられた砂粒がたえず攻撃をかけてくるから、人間だって油断していると目を砂にやられてしまう。荒めのサンドペーパーの中で生きているようなものなのだ。このライオンさんたちは、サンドペーパーの空気を2500年呼吸して、それでもまだ激しくペルシャを威嚇し続けているのである。
ニャゴ拡大図
(ニャゴ拡大図)

 ニャゴたちを堪能した今井君は、「コメディアンの家」とか「イタリア人のアゴラ」とか「ポセイドンの柱廊」とか、荒れ果てた遺跡群を回って、「聖なる湖」に到達した。
 アポロ&アルテミスが生まれた神聖な湖は、100年近く前、マラリア蚊が発生したために埋め立てられた。何ともツマラン話だが、地面に目をやると、確かに真っ赤な虫がたくさん這っていたりする。虫がムシできない気の弱い人は、ガイドブックにある通り「虫除けスプレー持参が必須」である。(明日に続く)
聖なる湖
(荒れ果てた「聖なる湖」。アポロ&アルテミスも寂しいだろう)


1E(Cd) Max Roach:DRUMS UNLIMITED
2E(Cd) Tommy Flanagan Trio:SEA CHANGES
3E(Cd) Art Blakey:NIGHT IN TUNISIA
4E(Cd) Walt Dickerson Trio:SERENDIPITY
5E(Cd) Surface:SURFACE
total m5 y1491 d7452
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