2011年10月30日(日)

Thu 111006 命の水とカラマーリ モナスティラキとトマトのオモチャ(ギリシャ紀行5)

テーマ:ブログ
  8月25日、古代アゴラで「熱中症or日射病の前兆」におののいたクマ蔵は、オー・ド・ヴィー=命の水=冷えたビアを求めて、アゴラからアテネの裏町に飛び出していった。
 芥川龍之介「羅生門」だと「下人の行方は誰も知らない」で終わりになるが、「クマの行方」ということになれば、もちろんクマ自身が一番よく記憶している。行方も何も、クマ蔵はアゴラを出てすぐ目の前に見えたタベルナに、命からがら飛び込んだだけのことである。
 さすがに気温50℃の炎暑の中、直射日光を浴びて2時間も彷徨したのだ。その彷徨には、坂道の激しいアップダウンも含まれるし、飛行機のエコノミー席でのべ15時間も突っ張らかってアテネまで旅した疲労も、パンパンに残っている。この「命からがら」には、普通考える以上の切迫感があった。
 入った店は「Diodos Archaias」。名前を記憶しているのは、クレジットカードの領収書があったからであって、別に有名店でもないし、ガイドブックに掲載されていることはまず考えられない。要するに「その辺の、目立たない普通の店」だが、アゴラ出口のすぐ前だから、命からがらのクマが倒れ込むには絶好のロケーション。大きな扇風機でミストをテーブルに吹きつけている様子も、大いに涼しげである。
 他の南欧諸国と同じように、タベルナで食事をする客は、余程の事情がないかぎり屋内のテーブルを選ばない。せっかくメシを楽しむのに、屋根の下の薄暗いテーブルにつくなんて、何となく不健康な感じなのだ。クマ君も、普段なら彼らに倣って外のテーブルを選ぶ。しかし諸君、今は何しろ「命からがら」「熱中症の症状ありあり」のアリサマ。からがら君は、ウェイターがちょっと意外そう(というより不満そう)な表情をしても、迷わず「Inside!!」と叫んだ。
オードヴィー
(瀕死のクマ蔵を救ったギリシャビール「Mythos」。アゴラ前の店、屋内のテーブルで)

 おお、この涼しさ、別世界だ。別にクーラーがあるわけでもないし、大きなドアは全て開けっ放しだから、屋内も外のテーブルも実質は同じことである。風が通り、ミストを吹きつけている分、むしろ外のほうが爽快なのだが、からがら君は今、とにかく日光の恐怖から逃れたい。わずかな木漏れ陽とか、パラソルのスキマから漏れる日光のカケラとか、そういうものでさえ恐ろしい。
 注文したのは、何はともあれ「冷えたビール」。1ダースでも2ダースでも飲み干せる勢いである。日本の天気予報とかお医者さんだと、「そんなに一度に水分をとったら、かえって危険です」とか、いちいちネチネチ面倒くさいことを言いそうだが、おお、メンドイ&メンドイ。
 乾いて、焦げて、肉体が内側からチリチリめくれ上がってきそうなほど熱くなっているクマには、そういうメンドクサイご忠告に耳を傾けているヒマはない。さっそく運ばれてきたギリシャビール「Mythos」を一息に飲み干して、ようやく自分がホントは人間なのかクマなのか区別がついた。要するに、ほとんど気を失っていたのだ。
フライドカラマーリ
(カラマーリのフライ)

 これで一息ついて、何か食べるものを注文する気になった。まずカラマーリのフライ。カラマーリとはイカのこと、ポルトガル語でもスペイン語でもイタリア語でも、イカはカラマーリcalamarで共通している。
 日本語の「絡まる」と、何か関係あんじゃないかね。それは冗談としても、英語で「惨事、災難、苦難」はcalamityだが、これは実際にイカと関係ありそうだ。何も知らないで包丁を握り、まな板の上でイカをさばいてみれば、まさにカラマーリは大惨事のモトになる。
 他に注文したのは、チキンのスブラキ。まだギリシャ料理に慣れていなかったので、「スブラキはラムが旨い」と分かってはいても、ちょっと遠慮してチキンを選んだ。
 これは失敗である。やっぱりスブラキはラムに限るので、チキンのスブラキほどパサパサした食べ物を、クマ蔵君は食べたことがない。余りにパサパサしているので、口の中の水分をチキンの繊維にことごとく吸い取られ、「チキンを噛んで口が乾く」という驚きの体験をした。こうして、早くもお馴染み「南欧旅行で口内炎」の基礎ができたわけだ。
チキンスブラキ
(チキンスブラキ。「次回からスブラキは絶対ラム」と決意する)

 この店で2時間ほどトグロを巻いた後、ふらつく足のウワバミ君は、ほんの少し涼しくなったアテネの裏町に出た。この一帯は「モナスティラキ」といい、蚤の市とか、安い土産物屋とか、路上にはピスタチオ屋の並ぶ下町である。危なそうなナイフや模造ガンをウィンドウに並べた怪しい店もある。
 路上に座り込んで、子供ダマシのオモチャを売っている男たちも多い。ホフク前進する兵士のオモチャ、2人乗り自転車に2人の男が乗って走り回るだけのオモチャ。得体の知れない液体を板に叩きつけると、液体があっという間にトマトの形に固まっていくオモチャなどである。
フルーツ屋
(路上のフルーツ屋。後ろはモナスティラキ駅)

 このトマトのオモチャ屋は、昨年のバルセロナやリスボンにもたくさん座っていたし、今回のアテネでは、1日に5人も6人も見た。クマどんを焼き殺しかけたこの炎天下、1日中路上に座って液体を叩きつけ、トマトになったところでまた振り上げては叩きつけ、また叩きつけ、延々とそれを続けて、飽きる様子もないし、売れる様子もない。
 見ていると思わず1個買いそうになるが、これが危ないのだ。今井君は精神年齢が小学生低学年レベルだから、まさにこういうのが大好き。万が一買ったりすれば、おそらく1日中バスルームに籠って、ペチャ!!→ムチュー(これはトマトになる音のつもり)→ペチャ!!→ムチュー♨→ペチャ!!→ムチュー♨→ペチャ!!→ムチュー♨のワナにはまりかねない。
「先生、アテネでは何をしてきたんですか?」
「いやー、路上でトマトのオモチャを買いましてね。1日中バスルームで、ペチャ!!→ムチュー♨→ペチャ!!→ムチュー♨ってやってました」
などということになれば、「アイツはアホだ」という評価が定まってしまう。
ピスタチオ
(モナスティラキ駅付近のピスタチオ屋)

 そんなことを考えながら、しばらくモナスティラキの怪しい商店街を歩き回った。おそらく余りに怪しすぎるので、日本人はおろか、東アジア人の姿も全く見かけない。トルコ系のヒトはいくらでも見かけるが、そりゃお隣の国だし、150年前までギリシャはトルコに支配されていたんだから、トルコ系の人が闊歩していてもちっともフシギはない。
ギリシャ正教会
(アゴラ入口に立つギリシャ正教会)

 ギリシャ正教の教会をいくつも見かける。どれももう悲しくなるほど古びていて、実際に教会として機能しているのかどうかわからない。屋根が崩れかけていたり、その屋根にペンペン草が生い茂っていたり、ドアが釘付けされて明らかに閉鎖されていたり、状況はさまざまだが「ビザンティン帝国の時代はすでに遥かな昔」を実感する。
 東ローマ帝国滅亡は? 1453年。コンスタンティノープルが陥落して、オスマントルコがやってきて、アテネのギリシャ正教会の多くがそのまま置き去りになった。アゴラに1つ、置き去りの正教会が残っている。
アギオスエレフテリオス1

アギオスエレフテリオス2
(アギオス・エレフテリオス教会)

 モナスティラキにも1つ。ガイドブックの写真によれば、これはアギオス・エレフテリオス教会。12世紀の教会がそのまま残っているのである。今井君はこの教会の趣きが大好きだ。観光のMustになっていなくても、是非このまま良好な状態で保存に努めてほしい。
アギオスエレフテリオス3
(何だか、悲しそう)

ストライキ犬再び
(教会前でストライキ中だった野良わんこ)


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