2011年10月19日(水)

Sun 110925 リシュボア滞在、残り24時間になる 裏町のピング(リシュボア滞在記32)

テーマ:ブログ
 こうして、長かったリシュボア滞在はいよいよ残り24時間になった。雨模様だったのは、結局2日だけ。リシュボア到着翌日と、1回目のロカ岬→シントラ小旅行の日だけで、それ以外の12日間は、すべて文句のつけようのない快晴が続いた。
裏町1
(前夜に歩き回ったリシュボアの裏町)

 最終日、最大限アケスケに言えば、すべきことはもう何も残っていない。「それじゃ、何だかもったいないじゃないか」というのは、旅の楽しみを全くわかっていない証拠であって、もともとクマ蔵の旅の目的が「何にもしない」である以上、最終日に何もすることがないのは、まさに最高の旅の仕上げである。
 自分で呆れるほどホントに何もすることがなくて、目の前に24時間のホラアナがポッカリ大きな口を空けてしまった。まさか「3回目のロカ岬」というワケにもいかないので、朝10時のクマ蔵は「リシュボア市内で、まだ入り込んでいないのはどこだったっけな?」と暢気に地図を広げてみた。
裏町2
(最後にもう1回、リシュボア・夜の裏町)

 すると、「まだ行っていないところ」なんか、いくらでも見つかるものである。ガイドブックにも一切解説がないし、旅行者があまり入り込まない場所でも、別に構うことはない。名所旧跡でなくても、「見どころ」と特筆されていなくても、出かけてみれば一生の記憶に残るような場所はいくらでも存在するはずだ。
 例えば、欧米人が読むガイドブック「JAPAN」や「TOKYO」を見てみると、銀座・新宿・渋谷・原宿・六本木・秋葉原はmustとして掲載されていても、下北沢も三軒茶屋も高円寺もほぼ無視。あとは浅草・上野ぐらいで、高田馬場や代々木上原が取り上げられることなんか、ありえない。
 おそらく同じように、今井君はヨーロッパのスミズミまで旅したように錯覚しているが、どこの都市に旅しても、実際に見てきたのは銀座と六本木と浅草ばかりなのである。こりゃイカン、こりゃダメだ。こりゃ、滑稽もいいところである。
 だから、「何もしない旅」の最終日が24時間ポッカリ空いているというのは、まさに理想的なのだ。リシュボアの下北沢、リシュボアの三軒茶屋、リシュボアの船橋、リシュボアの春日部。「何でそんなところに?」という場所をノンビリ「ちい散歩」して、それで旅の締めくくりとする。この余裕こそ、醍醐味である。
ラウラ線車内
(リシュボア、ケーブルカー「ラウラ線」車内)

 というわけで、残り24時間のクマ蔵は、まず午前中リシュボア東部の坂道を散策して過ごすことにした。中心部のロシオ広場から、ケーブルカー「ラウラ線」で丘に上がった界隈である。
 もちろん、諸君。「治安」などというものを必要以上に気にすると、ガイドブックに載っていない地域なんか、こわくて入り込めるものではない。だからといって欧米人観光客が巣鴨とか御茶ノ水の路上でやたらビクビクしていたら、滑稽である以上に、街のヒトビトに対して失礼である。
 ケーブルカー・ラウラ線は、リシュボアの街に3本あるケーブルカーの中で、群を抜いて鄙びている。ビカ線もグロリア線もノンビリしていたが、どちらも観光地のど真ん中。対するラウラ線は、住宅地と工事現場の中を頼りなくヨタヨタ登っていく。そのヨタヨタぶりは、ほとんど今にも自然解体しそうなアリサマである。
ラウラ線駅
(ラウラ線、丘の上の駅)

 それでも、日本人が目をとめてしかるべきものはこの界隈にも存在する。中でも「モラエスの家」のアズレージョに示されたエピソードが悲しい。ポルトガル人作家モラエスは、30年以上日本に滞在、日本を愛し、日本で一生を終えた。西の果てのヒトが、東の果てで死んだのだ。「かの地」の文字が悲しい。そのモラエスの生家である。
 この辺は街の東側の丘で、リベルダーデ大通りの谷を隔てて西側の丘と正対している。だから、朝日を背中から受け、街の向こう側が朝日に薔薇色に照らし出されるのを眺めながら、朝を迎え、人々は薔薇色の街を遠く眺めながら朝食をとることになる。
 逆に夕陽は、向こう側の丘の背に沈んでいく。ローマ帝国時代も、イスラム支配時代も、大航海時代から500年の衰退の日々も、常にそういう朝があり、そういう夕暮れがあって、昨夜クマ蔵が「ホンモノのファド」に震えたバイロ・アルトの淡い灯りを向こう側に眺めながら、静かに夜が更けるのだ。
アズレージョ
(モラエスの家のアズレージョ。日本語とポルトガル語が悲しい)

 そういうことを思いつつ、クマ蔵はゆっくり丘を下り、近くの店でランチと決めた。この界隈にもそれなりに飲食店が並び、ウィンドウには魚介が飾られ、店先にはメニューを掲げた笑顔のウェイターが並んで、早くもお腹を減らした地元のヒトたちを呼び込んでいる。
レストラン
(最終日のランチはこの店に決めた)

 この店で今井君が遭遇したのが「pingu」である。メニューを開いて、2週間ですっかり食べあきた魚介と肉のメトメト料理と、安ワイン1本を注文した。デザートには「Ice Cream」の欄があり、外はすでに真夏の暑さ。午前中の散策で汗をダラダラ流した直後、メトメト料理で言語道断に塩辛い思いをした直後なら、アイスクリームぐらい欲しくなっても当たり前である。
 その時クマ蔵は、バニラとかチョコレートとかごく当たり前の種類が並ぶアイスクリーム欄の一番下に、「pingu」を発見する。
 せっかくのリシュボアだ。食べたことのない、フシギなアイスを食べたほうが、記憶にも残り、話のタネにもなる。何だかわからないが、失敗しても、たった2ユーロだ。万が一マズかったら、食べ残しても構わない。「まさか、いくら何でも『ピングーの容器に入ったアイス』じゃないだろう」、である。
ピングアイス
(食卓の上の、招かれざるピング)

 ところが諸君、その「まさか」が、現実となってしまった。確かに、注文を聞いたウェイトレスが「は?」「ウソでしょ?」と目を剥いたのには気づいた。
「肉と魚介のメトメト料理2皿に、赤ワイン・ボトル1本。それに、このpingu」
それを聞いて、メモを取るウェイトレスの手が一瞬止まり、「は?」とクマを睨んだ表情に、困惑の色が浮かんだ。
 しかし、この種類の「困惑の色」は、常に「赤ワイン・ボトル1本、昼間から一人で全部飲むんですか?」のほうに向けられる。だから今井君はもうすっかり慣れっこになっている。それがまさかpinguに向けられた「は?」だということなど、想像もしなかった。
リシュボアワイン
(ま、ワイン1本たちまちのうちに飲み干して面目を保つ)

 というわけで、魚介料理と赤ワイン一本と、ピングーの顔の容器に入ったアイスクリームが、食卓の上に並べられることになった。おお、何と素晴らしいリシュボアの思い出であろうか。
 思ってもみたまえ、三軒茶屋か吉祥寺の食堂に入った欧米人の食卓に、トンカツと、お刺身と、日本酒のデカイ徳利と、ドラえもんの顔の容器に入ったおしるこが並んでいる。呆然とドラえもんを見つめる彼を指差して、大学生女子のアルバイト店員が数名、腹を抱えて笑いこけている。そういう状況なのだった。
 こんなふうにして、楽しいリシュボア滞在は残り18時間となった。明日がリシュボア紀行最終回となる。

1E(Cd) Kubelik & Berliner:DVOŘÁK/THE 9 SYMPHONIES 1/6
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