2011年09月28日(水)

Sat 110903 「…と言います」の大洪水 エボラの半日と入店拒否(リシュボア紀行18)

テーマ:ブログ
 「自分のコトバで話してみない」という傾向は(スミマセン、昨日の続きです)、ニュースショーに最も如実に現れる。その典型が「…と言います」の連発。このことについても、このブログですでに1度指摘したことがあるが、この夏以来、状況は目に余るようになった。
 特にヒドいのは、夕方17時頃から民放各局が横並びで垂れ流している、お互いにお互いのコピーのようにソックリなニュース番組である。今井君はかつて「ニュースショーにおける『…と言います』の出現頻度を調べるだけで、学部の卒業論文ぐらいにはなりますよ」と書いた。今や3センテンスのうち1つは「…と言います」、ヒドい場合は2つに1つが「…と言います」だ。
 「…と言います」とは、「これは伝聞であって、出典を明らかにしろと迫られても困るが」というゴマカシの態度の現れである。「誰かがそう言った。私はそれを伝え聞いて、何となく口にしているだけだ。だから責任は自分にはない。出所もハッキリしないから、発言の責任追及も勘弁してくれ」、そういうことである。
 こうして、マスメディアの基本方針は「…と言います」の連発だけでハッキリと分かってしまう。「自分のコトバで話してみろ」とは、まさにメディアに向けて発信されるべきメッセージである。
カテドラル
(ポルトガル、エボラのカテドラル)

 数百歳の古老・クマ蔵は、世にも不思議な頑固者なので、その他にもテレビの世界で多用されるコトバに大きな違和感を覚えることが多くなった。「要するに」のことらしい「要は…」とか、「その結果」を「結果ぁ…」、「それに対して」を「対してぇ…」、「それに加えて」を「加えてぇ…」など。専門家に質してみないと分からないが、これらはどれも正しい日本語用法ではないはずである。
 ついでに、このごろ乱用される冷たい捨てゼリフも、ヤメにした方がいい。「だったら、テレビ見なけりゃいいじゃん」「グダグダ、ワケの分からない文句を言っていた」の類いであるが、キチンと論理の立った意見を発信する練習こそ、前途ある青年の仕事だと信じている。
エボラ大学
(エボラ大学、中庭風景)

 さて、リシュボアから3時間、まさに白昼の炎暑の中をエボラに到着(スミマセン、これまた昨日の続きです)。間違いなく5月中旬なのであるが、さすがにポルトガルの暑さは別格。「ジブラルタル海峡を超えれば、そこはもうモロッコだ」と実感する。
 エボラのバスターミナルは市街地から離れていて、火がつきそうな猛暑の中、坂道を15分ほど登っていかなければならない。周囲にはメボしいお店もなくて、この間の水分補給は専ら手持ちのペットボトルに頼るしかない。5月だから何とかなったものの、これが7月8月の真夏の盛りなら、十分に命の危険を感じるはずだ。
エボラ城壁
(エボラ城壁。ここから延々と坂道が続く)

 こういうアリサマの汗みどろだったから、エボラ市街に入ってクマが最初にしたことは、もちろん「必死でビールを求め歩く」である。時刻はすでに2時を過ぎている。早くしないと、レストランはみんなシエスタになる。他の客も誰もいなくて、おなじみ「ヒョーロクダマ」になる。
 ノドが渇いて死んじゃうよりは表六玉のほうがずっとマシだけれども、まあ何でもいい、ゆっくり座って水分が取りたい。名所旧跡より何よりとにかく水分であり、アブクの出る黄金色の飲み物でノドを潤すのが先である。
エボラ大学構内
(エボラ大学構内風景。ここにもアズレージョがいっぱいである)

 ところが諸君、イタリアやスペインやポルトガルの田舎に入り込むと、そこには「乗車拒否」ならぬ「入店拒否」が待っていたりする。大都市や有名な観光地ならありえないことでも、バスや私鉄で3~4時間入った田舎町なら、21世紀の今もなお「外国人お断り」「東洋人お断り」の暗い偏見がポッカリ口を開けていることがある。
 イタリアの田舎町で、面白そうに「チーノ!! チーノ!!」と囃し立てる子供たちに遭遇することは珍しくない。ヒトのイヤがる下働き労働に従事する東洋人ばかり見て暮らし、東洋人とはそういう存在だと思い込んでいる子供たちだっている。そこへ突然クマ蔵みたいなヤツが出現して偉そうに行動しているのを見れば、一方的に囃し立てたくなっても仕方ない。
 こういう時にカッとなって怒り狂ってはいけないので、この18世紀的または19世紀的光景を楽しむ余裕がなければならない。東洋人が世界中でそういう扱いを受けていた時代があって、自分は今タイムトンネルを抜け、その時代の残骸の中に入り込んでしまったのだ。呼ばれもしないのに勝手にノコノコやってきたのだから、こっちが我慢してこの古くさいシチュエーションを楽しむしかない。
教会
(エボラの教会)

 この日のエボラでは、子供たちが囃し立てに集まってくることはなかったが、ビールを飲もうと立ち寄った店で「入店拒否」を受けた。立派な大人のヒトであろうと、彼らの精神の片隅に、今でもなお「外国人の入店お断り」の情けない狭い偏見が残っていることは、知っていた方がいい。
 「ええっと、席はたくさん空いていますが」と店の主人は困惑したように言うのだった。「全部、予約が入っていましてね。これから大きな団体のツアー客が来ますんで」というのである。
 店の主人の考えもあっただろうし、もしかすると常連客との目配せもあったかもしれない。主人が「構わない」と思っても、常連客が「外国人と同席はイヤ」なら、クマの入店を拒絶しないと店は経営が成り立たない。地元に密着した店の経営は、常連客の評判にかかっているのだ。
 まあ、予約が入っているというのなら仕方がない。今井君のこういう時の諦めの早さには驚くべきものがあって、向こうがツベコベ「イヤだ」と言っているのを、無理やり交渉して入り込もうとするほどしつこくはない。店の主人の口上がまだ続いているうちに、サッサと背中を向けて隣のレストランを目指した。
エボラのお店
(エボラ、地元密着のレストラン)

 「隣のレストラン」は入り口にテーブルを並べた瀟洒な店。最初からそっちにすればよかったのだが、直射日光の当たるテーブルしか空いていなかったので、まあいったん避けたわけだ。
 入ってみると、「入店拒否の店」の中がよく見渡せる。ホントに「予約でいっぱい」で「もうすぐ団体ツアーが訪れる」のか、1時間以上にわたって、ビールに白ワインボトル1本をカラッポにしながら、意地悪な笑顔でじっくり観察することにした。
 入店拒否した主人とも、何度も何度も目が合って、彼が済まなそう&居心地悪そうに目線を外すのが面白かった。そして午後3時すぎ、ランチの時間が終わっていったん店を閉じるまで、集まってくるのはハエとハチばかり。「予約客」「たくさんの団体客」なるものは姿を見せなかったのである。
迷路
(エボラ。炎暑の中、迷路のような坂道が続く)

 どういうわけだか気分が高揚して、意気揚々とエボラ散策に出た。町の構造は、函館の五稜郭と似た形の城壁に囲まれた城塞都市。名門・エボラ大学に向かって坂道をどこまでも上っていくように出来ていて、サンフランシスコ教会やカテドラルその他、見所は迷路のような坂道に点在している。
 ちょっと離れたところに「ローマ時代の神殿」があって、これは2世紀~3世紀のローマ帝国支配の時代に建てられたもの。ヨーロッパ世界の東の果て・ギリシャから、西の果てのポルトガルまで、数百年をかけて神殿文化が伝えられ、とうとうこんな規模に落ち着いたわけである。
ゼウス神殿
(アテネ、ゼウス神殿)

エボラ神殿
(西の果てポルトガルにたどり着くと、こんな感じに)

 では、エボラの人々がみんな「外国人入店拒否」のような古くさい思いをいだいているかと言えば、もちろんそんなことはない。夕暮れになり、風も涼しくなって、ようやく町に人が出てきて活気づくと、ベンチに腰を下ろして楽しそうに話し合っているジーチャンたちが、嬉しそうにこっちに目配せしたりする。要するに田舎町独特のひどく内気な人たちなのである。
オジサン連
(エボラの楽しそうなオジサン連)

 大きなチャウチャウ(らしい犬)を連れて散歩していたオジサンは、クマ蔵が犬のそばにしゃがんでアタマを撫でてやると、これまた嬉しそうに犬の名前を教えてくれたものだった。もっとも、クマ蔵には2匹のネコの匂いが染み込んでいるから、犬としては何だかソワソワ落ち着かない気分だったかもしれない。
ちゃうちゃう
(エボラでアタマを撫でた犬)


1E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 7/10
2E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 8/10
3E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 9/10
4E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 10/10
5E(Cd) Carmina Quartet:HAYDN/THE SEVEN LAST WORDS OF OUR SAVIOUR ON THE CROSS
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