2011年09月06日(火)

Sat 110813 夜空を揺るがす「ビーボ、パーパ!!」の大合唱(リシュボア紀行6)

テーマ:ブログ
びぼぱぱ1
(今井君の目の前に、ベネディクト法王さまが姿を現した)

 5月11日、リシュボアでの最初の夕食は、ホテルのすぐ近くの「LATINO」に入ることにした。ガイドブックをペラペラめくっていたら「典型的ポルトガル料理の店」として紹介されていた。宿泊先のシェラトンホテルから徒歩で1分もかからないから、まあ気楽である。
 さすがに昨日のことで疲れ果て、街をブラブラしながらノンビリ店を探すという気分になれなかった。入ってみると、お客は他に誰もいない。確かに時間が早すぎた。有名店であればあるほど、客が集まるのは夜8時以降であって、クマ蔵みたいに予約もいれず、しかも午後6時、ズカズカ店に入り込んでいけば、間違いなくヒョーロクダマ扱いされる。
 しかし、ヒョーロクダマ扱いももうすっかり慣れた。表六玉なら表六玉で別にかまうことはない。もともと、リスボンだのダブリンだのアテネだの、日本の普通の中年オジサンには何の関係もないような街にズカズカ入り込んで来たこと自体、すでにヒョーロクダマなのである。
ラティーノ
(欧米メトメト料理のLATINO)

 ガイドブックには「典型的ポルトガル料理」とあったけれども、メニューを見ると典型的でも何でもない。イワシも、タコも、イカもない。あるのは、牛や豚や鶏の肉をメトメトなソースで煮込んだり焼いたりした、ごく普通の欧米料理だけである。
 ま、しかたない。「街をブラブラしながら旨そうな店を探す」という最低限の努力を怠って、無条件でガイドブックなんかに頼るからこういうことになる。こういう時はお酒も進まない。ビール1本とワインを少々飲んだだけで、この日の夕食は終わりになった。
 店を出たのが午後7時過ぎ。「リシュボアの1日目は盛り上がらないままに終わるのかね」と思いながら店を出ると、通りに人が大勢集まり、警備の警官もたくさん出て、物々しい雰囲気である。見る間に人はどんどん増えて、近くでお祭りかパレードでもありそうなたいへんな騒ぎである。
群衆1
(法王さまを待ち受けるLATINO付近の群衆 1)

 どうやら、この近くで法王さまがお食事をとられているらしい。しかも、お食事が済んで一休みしたら、2階のバルコニーにありがたいそのお姿を現して、ポルトガルの一般市民に手を振って挨拶してくださる予定のようだ。
 すでに夕暮れは濃くなりつつあったが、今井君の周囲は、法王さまのお姿を間近で一目眺めたいという「法王さまファン」というか「法王さまフリーク」で溢れかえり、法王さまのお出ましを今か今かと待ち受ける熱気が渦巻いている。
 「法王さまフリーク」というと、中高熟年の西洋オジサマ&オバサマばかりかと勘違いする。ブルブル震える両手を組み合わせて祈りを捧げる西洋オバーチャン&オジーチャンの、止めどなく流れる涙に両頬を光らせた姿とか、古いモノクロ映画に登場しそうなそういう光景が頭に浮かぶが、それは意味のない先入観である。
 いま今井君をとりまく熱い熱いヒトビトは、ほとんどが10歳代後半から20歳代前半である。むしろ10歳代の比率が高いようだ。お揃いのTシャツを着込んだチームも複数存在する。中高年のヒトビトも混じっているが、むしろ周囲の若々しい熱気に気おされて、「何だ?」「何だ?」と納得のいかない表情を浮かべている。
 この熱気の渦は、サッカースタジアムのものとほとんど変わらない。ただ、10歳代の彼らや20歳代の彼女らが待ち受けるのが、フィーゴでもルイ・コスタでもなくて、法王ベネディクト、ポルトガルでの愛称「パパ・ベント」である点だけが違っている。
群衆2
(法王さまを待ち受けるLATINO付近の群衆 2)

 間もなくパパ・ベントのお姿が現れる予定のバルコニーを、みんな背伸びして見つめながら、やがて「ビーボ、パーパ!!」の大合唱が始まった。もう待ちきれないのである。カカでもベッカムでもバラクでもなく、本田でも長友でもなくて、彼ら彼女らの大合唱は「ちょっと不人気」がウワサされるドイツ系の法王さまに、懸命に向けられる。
 目の前の建物の2階のバルコニーに、いよいよ関係者の姿が現れると、法王さまの登場を催促するヒトビトの歌声はますます高まった。「ビーボ、パーパ!!」「ビーボ、パーパ!!」「ビーボ、パーパ!!」である。
 「ビーボ」で手を打ち鳴らし、「パーパ!!」でその両手を天に向かって高く掲げる。ブルーのTシャツ集団は特に興奮が激しくて、法王さまが今にもバルコニーに出てこられる気配に、涙をドロドロ流している者もいる。
 では今井君は興奮していないかと言うに、おお、東洋から来た中年グマの興奮はこういう時にこそ一気に絶頂にのぼりつめる。一方、ポルトガルの中高年のヒトビトは、「何だか場違いなところに入り込んでしまった」という気恥ずかしそうな苦笑を浮かべ、ちょっと及び腰のようである。
 テレビカメラも入り、ブルーのTシャツの青年たちがインタビューに応じている。彼ら彼女らは「フリーク」というより、むしろ法王の親衛隊と呼ぶべきであって、インタビュワーに「何故いま、法王さまなのか?」を熱烈あるいは激烈な口調で語っている。
びぼぱぱ2
(ビーボ、パーパ!!)

 夜9時、ついにバルコニーに法王ベネディクトのありがたいお姿が現われた。呆気にとられるほど間近である。近い、近すぎる。もったいなくもかしこくも、畏れ多くもヤンゴトなくも、今井君から20mも離れていない。「この毛むくじゃらなクマめ、ひかえおろう!!」である。
 「ビーボ、パーパ!!」「ビーボ、パーパ!!」の大合唱が、呆気にとられた今井君を包み、パパの笑顔はますます優しくなっていく。ポルトガルの若者たちの圧力が、一斉に今井君を後ろから前に押し出すので、法王さまの笑顔がますます接近してくる。
 本来なら、ローマのサンピエトロ大聖堂のクリスマスに、豆粒かケシ粒程度の大きさの法王さましか見られない。ケシ粒どころか、グラニュー糖サイズ、うんにゃ、ナノ・サイズでしか直接は接することの出来ない、全キリスト教世界の憧れ、神の代理人=ローマ教皇その人である。
 艱難辛苦を経て、ほうほうの態で西の果てリシュボアにたどり着いた日本の中年グマは、西洋式お神輿のド真ん中で、「ビーボ、パーパ!!」の合唱に包まれながら、近すぎる法王さまの絶対的微笑を前に、まさに呆然と立ち尽くしていた。
 パパ・ベントの姿がバルコニーにあったのは、長くても5分、実際にはおそらく2分程度にすぎない。しかし、法王さまがバルコニーを去られてからも若い大群衆の大合唱はやまず、やがて中高年もそれに加わった。10時過ぎてもまだ薄明かりの残る初夏のリシュボアの空に、信心深いポルトガルのヒトビトの声がいつまでもコダマしていたのである。

1E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 3/5
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