2011年06月02日(木)

Sun 110529 日本人のキライな「自由にやりなさい」と、酔っぱらいグマの自由気まま談義

テーマ:ブログ
 日本の教育が最近どうもうまくいかないとすれば、カリキュラムやスケジュールに縛られるのが実は大好きなクセに、行き当たりバッタリで気まま放題の祝祭タイプの人生にヘタに憧れるから。重く曇ったニュルンベルクの街を歩きながら、クマ蔵は何だか夢中で考えていた。
 日本人が得意なのは、ゲームセンターに連れて行かれて
「5時間で全部制覇してご覧なさい」
「制覇の秘訣は、1つ1つ先生が丁寧に教えてあげましょう」
というタイプの教育だ。何もない校庭の真ん中に連れ出されて、「ここで5時間好きなように遊びなさい」と言われても途方に暮れるのだ。
 ところが、そんなカリキュラム人間集団を指導する者が、「これではいけない」と叫び声をあげる。校庭に放置されても楽しく遊べる少数派を羨ましく感じたり、欧米人の自由で幸せそうな笑顔に無用のコンプレックスを感じるせいである。
「教わったことを素直にこなしてるだけじゃ、いけないんだ」
「ホントの幸せって、何だろう」
「ホントの自由って何なのか、考えたことあるか?」
の類いである。やがて
「学校で教わることを覚えるだけでいい時代は、もう終わった」
「これから必要なのは、問題発見能力とコミュニケーション能力」
「自由な発想で問題を発見し、自分のやり方で解決していく能力が大事な時代だ」
そんな趣旨の同じようなビジネス書が書店にズラッと並ぶ。
 この種の主張の誤りは、「かつて、覚えるだけでいい時代があった」という誤解から生じる。実際には、「覚えるだけでいい」などという甘い時代は、人類の歴史上、一度も存在しなかったのである。コミュニケーション能力は常に必要だったし、問題発見(解決)能力が重視されなかった時代など、歴史のどこを探しても見つからないはず。「もう終わった」どころか、「常にそうだった」「何をいまさら」なのだ。
ニュルンベルグの街
(カイザーブルクの丘から一望するニュルンベルクの街)

 学校でも、「先生に言われた通り机の上で勉強しているのは時代遅れ」ということになって、「ゆとり教育」「総合学習」という誰かの思いつきが、政府の政策または制度として、全ての子供に一律に押しつけられることになる。押しつけておいて「自由にやれ」と矛盾したコトバが乱舞する。
 そんな自家撞着が成功するわけがないのは最初から明らか。もともと「ゆとりをもちなさい」「自由にやりなさい」「好きなようにやりなさい」こそ、実は日本人の一番キライなことなのである。
 「好きなようにしなさい!!」「勝手にやりなさい!!」とママに突き放されるのを、子供は一番恐れているじゃないか。夏休みの宿題だって、最後まで残るのは「自由研究」じゃないか。ツアーの海外旅行だって、「自由行動」の日はアウトレットでのショッピングで何とか乗り切るヒトが大半じゃないか。
 「総合学習」といわれて、多くの教師が「どう活用すればいいのかわからない」「活用法のガイドラインがほしい」と不満の声を上げた。「総合学習の時間をどう活用するか、教師同士で情報交換する取り組みが行われています」などというニュースを、マジメな顔のNHKアナウンサーが読み上げたりしたものである。
 それは一人一人の子供たちにも当てはまることである。「自由に問題を発見して、自由に取り組んでご覧なさい」と先生にニッコリされると、途端に行き詰まり、俯いて黙りこくってしまう。「勉強の仕方がわからない」「どういうふうに勉強したらいいのか、方法を教えてください」の質問が激増する。
 「自由に!!」と、もともとキライなことを命令されて、途方に暮れる生徒。途方に暮れる生徒をどう指導したらいいか、途方に暮れる先生。途方に暮れる先生がたのために「総合学習・指導マニュアル」などというバカげたものを企画する出版社。それを書かされて、途方に暮れるライターさん。みんな可哀想だ。困り果てたライターさんが書いたビジネス書が、みんな同じ方向を向いてしまったのも理解できる。
豚インフルエンザ
(ニュルンベルクの街で。ブタさんのマスクは、09年5月豚インフルエンザ流行中だったせい)

 ゲームセンター的カリキュラムをコツコツこなすのが大好きなのに、「それじゃこれからの世の中では通用しない」と煽らなければ気が済まないメディア。そういう風潮がいまだに残っていて、6月1日付の朝日新聞教育欄を見ていたら、「考える学習で生徒のやる気がアップした」と、先に結論の決まっていたに違いない記事が、平気でまるまる1面を占領していた。
 こういうふうだから、塾なんかでも「子供たちの自由な発想や疑問を大切にします」と宣伝しなければならない気分になる。黙ってテキストをマジメにこなしていくのが本筋なのに、「ウチは子供たちの素直な疑問を大切にしています」と強調しなければダメだと勘違いする。
 その典型が、「時計大分解」「メダカの行動大観察」の類いの企画物。実は教える側が「時計」や「メダカ」を材料として一方的に押しつけているクセに、その押しつけは知らんぷりで、自由だ、自主性だ、子供の目の輝きだと連呼する。しかしホンモノの自由とは、何よりもまず研究や興味の対象を自ら選びとる自由のことを言うはずである。
 美術や図工の先生が「見た通り自由に描きなさい」を連発するのも、昔からの定番。「そうか、見た通り自由に描けばいいんだ」と思い、自画像の顔を緑と紫で塗りたくる。途端に先生が飛んできて「そうは見えないはずだ。描き直しなさい」と命じられる。子供は敏感だから「教室にあるのはニセモノの自由でしかない」と見抜くまで、時間はかからない(ブログ内検索で「木島先生」参照)。
 詰め込んだり、押しつけたりしてはいけません。生徒が自発的に興味をもって、自分のやり方で考え抜くようにしなければいけません。点数で判断するのではなくて、自発性や自主性を評価しなければいけません。この種の自由を論じる人の論調には、本来なら自由と相容れないmustとmustn’tが多すぎるように思う。
職人広場
(ニュルンベルク、職人広場 Handwerkerhof)

 カリキュラムを設定してもらって、カリキュラムをこなすほうが得意なんだから、学校はその範囲内で我慢してたらいいじゃないか。教師も学校も傲慢になってはならない。「自由に考え行動する能力の育成」にまで、貪欲に自分のテリトリーを拡大しようと頑張らなくていい。
 学校とは、何よりも基礎知識を授ける場所である。それが完璧に出来ているという条件で、万が一余裕が残っているならその余裕を何に使おうと自由。しかし、基礎知識を伝えることにさえアップアップの状況で、それ以上のことに手を伸ばそうとするのは僭越というものである。
 メディアも、何でもかんでも学校と教師に依存しようとしないで、自分たちの記事や番組を通じて、子供たちが自由に考え行動する能力向上に資するように努力すべきなのだ。
 今井君の偏見かもしれないが、「自由に考え自由に行動する」などという難しいことを学校の中で教えるのは困難なんじゃないか。むしろ、家庭での親と子供の関わりとか、子供同士の付き合いとか、クラブ活動とか、近所のオトナや地域社会との関わりとか、学校以外の場所でこそ醸成されるべき能力なんじゃないか。交際範囲の狭い子供を、もっと多様な人間関係の中に恐れず投げ込んでやることでしか、自由な思考は身に付かないんじゃないか。
 つまり、自由に行動できず思考できないヒト、カリキュラムやスケジュールで縛られないと何も出来ないヒトとは、子供時代を通じて学校ベッタリに育ち、学校以外の場所に他の人間との関わりを持たなかったヒトなんじゃないか。
長テーブル
(ドイツ独特の「ゼミ形式の食卓」。中高年のヒトビトは、この長テーブルで自由で熱い討論に参加するのが大好きのようである)

 今井君が思うのは、「無理しないほうがいいんじゃないかね」ということである。塾も学校も予備校も、カリキュラムや材料や方法論を押し付けてもらいたいヒトには、チャンと押し付けてあげればいい。
 基礎知識がシッカリ身に付いて初めて、自由を深呼吸しても大丈夫な体力が身に付くのだ。自由は、酒やタバコと同じように刺激の強いものなので、対処の仕方を知らずに深呼吸すると健康に害がある。ニセモノとホンモノの区別がつかなくなりやすいのだ。
 学部なり大学院なりに進み、社会人として独立してからなら、いくらでもホンモノの自由を深呼吸すればいい。垣根やフェンスや境界線をコッソリ設定した自由は、ホントの自由とは言えないはず。子供の頃からニセモノの自由ばかり与えられているから、いざ自由がホンモノになったときに慌てふためくことになるのだ。

1E(Cd) Goldberg(v) & Lupu(p):SCHUBERT/MUSIC FOR VIOLIN & PIANO1/2
2E(Cd) Goldberg(v) & Lupu(p):SCHUBERT/MUSIC FOR VIOLIN & PIANO 2/2
3E(Cd) George Benson:BREEZIN'
4E(Cd) Anita Baker:RHYTHM OF LOVE
5E(Cd) Anita Baker:RHYTHM OF LOVE
total m133 y460 d6425
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