2010年09月12日(日)

Sat 100814 峠を越えて静まり返る 急行「おが」のこと 夕方の列車は高校生の天下

テーマ:ブログ
 昨日一昨日と書き続けた懐かしいハナシを延々と考えているうちに(スミマセン、まだ昨日の続きです)、只見線は六十里越えトンネルを通過。あれほど暑かった車内が、六十里越えトンネルを10分以上かけてくぐるうちに一気に冷やされて、冷房大好きのウワバミどんでさえ思わず「寒い」と呟くほどである。

 トンネルの中で、突然エンジン音が切れた。峠を越えて、新潟県から福島県に出たのである。ガラガラ音とジャラジャラ音とグワグワ音の3種の音が絡まりあって不平を訴えつづけていた気動車の哀歌(3日前の記事参照)が、突如途切れて静まり返った。列車が線路の切れ目を踏んでいく固い音だけがトンネルの壁に反響して、さっきまであんなに反抗していた気動車が、うってかわって軽快に坂道を駆け下りはじめた。

 トンネルを抜けて、右前方に田子倉ダムが見えた。うろ覚えで誠に申し訳ないが、織田裕二/松嶋菜々子/佐藤浩市主演の映画「ホワイトアウト」(確か2000年)は、このあたりが舞台だったような記憶がある。なるほど、厳冬期にはまさにホワイトアウトになりそうな、日本離れした厳しい雰囲気である。

 気動車が突然静まり返って「峠を越えたんだな」と実感する経験は、大学生時代に急行「おが」で秋田に帰省した時以来である。「おが」は上野から秋田まで11時間もかかったが、何しろ当時の今井どんはオカネがなくて、特急などというものに乗るのはたいへんな贅沢。何か特別な事情でもないかぎり、ほとんど考えられない贅沢であった。

 昔の国鉄職員の家族には割引制度があって「運賃2割引」「急行料金は無料」だったのだ。特急に乗れば特急料金を全額支払わなければならないが、急行ならタダ。当時は秋田行きの特急「つばさ」(東北・奥羽本線経由)も「いなほ」(上越・羽越本線経由)も8時間かかったから、たとえ11時間かかっても、急行「おが」を意地でも利用した。そういう日々があったから、ガラガラ音もジャラジャラ音もグワグワ音も、どんなに不承不承でどんなに不満げでどんなに不平タラタラでも、気動車ほど懐かしいものは、なかなかないのである。

「おが」が突然静まり返るのは、山形県から秋田県に抜ける院内峠。飛行機に乗れば成田からヨーロッパに到着するほどの長い長い旅も、院内峠を越えれば残り3時間ほどである。古井由吉の小説が大好きだった頃で、上野と黒磯で駅弁を買い、まだヨレヨレ&グニャグニャの半透明の容器で売っていた渋いお茶を飲みながら、秋田まで延々と古井由吉を読んで帰ったものである。
ダム
(奥会津で。車窓からダムが見えた)

 さて只見線であるが、峠を越えてしまえば、あちこちに水力発電所を見ながら、長閑な奥会津をひたすら会津若松を目指す。いわゆる「ひた走る」というヤツである。「春日八郎のふるさと」というノボリがたくさん立った会津坂下(これで「ばんげ」と読む)の駅から大量の高校生が乗りこんできた。

 午後遅い時間帯の電車が「高校生の天下」になるかどうかが、都会と田園の分かれ目である。都会の真ん中の電車は、決して高校生の天下にはならない。首都圏なら、武蔵野線とか春日部以北の東武伊勢崎線とか、そのあたりが分岐点で、夕暮れ近くの電車はしばしば高校生に占拠される。

 男子の集団は床に座り込んで大声で罵りあい、吊り革にぶら下がり、ドアに靴や鞄や傘をはさんで発車を妨げる。女子は7人掛けのシートを5人で占領し、ある者は夢中で化粧を始め、ある者たちは教師や友人についての悪口雑言にふける。傍若無人&やりたい放題である。今井君の高校生時代にはまだ「タバコを吸う不良高校生」という前世紀の遺物みたいなものがおおぜい存在していて、高校生に占拠された一角からは濛々とタバコの煙が上がったものである。

 会津坂下から乗ってきた高校生たちは、腰パンまではいかないが、「やや腰パン気味」という中途半端な格好の男子が目立つ。列車がホームに着くと、ホームを占領していた100人ほどのそういう高校生が、2両編成の列車に一気になだれ込んできた。「マニアの天下」から「高校生の天下」へ、民主党政権よろしく権力は目まぐるしく移動していったのだった。
会津若松
(夕暮れの会津若松駅)

 17時、高校生の天下に1時間耐えて、会津若松に到着。只見線の旅は目出度く終了である。郡山に向かう磐越西線の発車まで1時間あったから、会津若松駅前の小さな蕎麦屋でよく冷えた日本酒を満喫。18時、郡山まで1時間ちょっとかかる磐越西線もまた高校生の天下。4人向かい合うボックス席を2人で占領し、デカイ鞄をシートに載せて、やっぱり大声で罵りあっている。

 こういう事情は世界中同じなので、日本の高校生ばかり責めるワケにはいかない。アビニョンからマルセイユに向かう電車では、300人ほどの高校生集団が(マルセイユでの大規模高校生デモに向かう途中だったが)1等車を占拠。太鼓を打ち鳴らし、歌い、踊り、奇声を上げるのを、一般の客も面白そうに眺めていた。

 モナコからニースに向かう普通電車も、傍若無人の極みという感じの女子高生集団に占拠された。ま、あえていえば「元気でいいね」であって、あんまり高校生の頃からそろいもそろって品行方正な優等生ばかりというのも、おじさんはまた心配である。
白虎隊
(会津若松駅前、白虎隊の像)

 むしろ(全然関係ないことだが)、郡山駅の駅弁屋さんが19時ちょっと過ぎなのにもう全て営業を終了してしまっているほうが問題である。郡山といえば、東北地方で5本の指に入る都会である。19時過ぎ、「夕食は新幹線で駅弁かな♡」と考えて帰京するヒトは多いはず。なのに、どの駅弁屋も「駅弁の販売は終了しました」と冷酷に&かたくなに窓を閉ざしてしまっている。おお、ガッカリである。

 KIOSKで買ったおにぎり&調理パン&冷酒(2本)で悲しく夕食を済ませながら、「なんだ、東京駅前、丸ビルあたりで一杯やればいいだけのことじゃないか」と気がついて、ホッと胸を撫でおろしたのだった。

1E(Cd) Holliger & Brendel:SCHUMANN/WORKS FOR OBOE AND PIANO
2E(Cd) Madredeus:ANTOLOGIA
3E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 1/3
4E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 2/3
5E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 3/3
total m60 y1278 d5377
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