2008年10月13日(月)

Thu 081009 辞書に頼りすぎるな マッジョーレ紀行13(ボタニコでの1日)

テーマ:..するなシリーズ
 外国語の学習とは、イコール辞書を引くことだと考えている生徒が多い。辞書を出来るだけ多く引くことこそ優等生のしるしだと確信していて、学校の授業でも予備校の授業でも片時も辞書を手放そうとしない。読解の授業で知らない単語があれば、即座に辞書を引いて熟読。文法の参考書や問題集をやっていても、参考書の1つ1つの説明を読んでは、そこに書かれていることを辞書を引いて確認。そういうことをやっていれば、何だか真剣に勉強しているような気になれるし、親や教師から見ても、少なくとも外見だけは「おお、マジメにやってるな」と言ってあげたくなる安心感はある。昔は「辞書は1年で引き潰せ」などという格言もあって、辞書が真っ黒であること、辞書がボロボロであることこそ、優秀な受験生の代名詞になっていた。
 しかし、そうやって辞書にどっぷり漬かって、常に辞書を手放さず、鼻先を辞書に突っ込んでいる生徒は、実際には英語があまり好きでも得意でもないのだ。最近は電子辞書をつかう生徒が多いから、昔ほど暗いイメージはないけれども、それでも辞書を引くという作業はきわめて地味で、あまり楽しいことではないことに代わりはない。辞書を引くことが自己目的化していて、小説を読むことや、英字新聞を読むことや、文法を学習すること、そういう本来の目的を押しのけてしまうのは、決していいことではないのである。
 英語の小説をたった1ページ読むのに、辞書を20回も30回も引いて全然進まない状況が、楽しくてたまらないというのはおかしいだろう。同じように、明日の授業の予習をしながら、1時間も2時間も辞書と首っ引きで、しかもなかなか文章の意味が取れなくてウンザリしながら夜が更けていくときに、幸せを感じるというのは変人である。中学生の頃は英語が好きだったのに、高校生になって英語が大嫌いになる日本人が多いのは、やたらに「辞書を引け」「辞書を引け」ばかり言われて、英語そのものより辞書をいじくって過ごす時間が多くなってしまったせいである。
 英語が好きになりたかったら、辞書を引く回数を出来るだけ減らすほうがいいのだ。特に読解の勉強というのは、知らない単語を周囲の状況や文脈から推理する練習だと思ったほうがいい。推理し、類推し、「こういう文脈だからこの単語の意味はこうであるに違いない」と判断する能力を養うのが読解の学習なのである。辞書を引く、ということはその学習の本質を全て放棄し、自分で考えることをせずにいつでも誰かに助けを求めることである。辞書に寄りかかり、辞書に過度に依存する姿勢が身についてしまえば、いざ誰も助けてくれない状況に置かれたとき、にっちもさっちもいかなくなってしまうのは当たり前である。通訳の同行する海外旅行に慣れてしまえば、一人で外国を歩き回る能力は育たないが、実際の外国語学習とはそのような能力を育てることを目標としたものであり、そのためには辞書から独立して、自立した学習を続けなければならない道理である。当たり前すぎることだが、いつも辞書に頼っていては、いったん辞書を使えない場に出た時に全く動きがとれなくなるのである。
文法の学習でも、辞書の使用はできる限り我慢したほうがいい。基礎を勉強している段階では、辞書を過度に使用することが返って学習の妨げになることが多いからである。辞書には、大学入学前の学習者にとっては全く不必要な情報も膨大に掲載されている。「方言」「隠語」「古語」「幼児語」「まれな表現」など、様々である。これをいちいち学習していては、成績向上という目標からは、返って遠ざかってしまう。
「授業」や「参考書」とは、辞書に書かれている膨大な情報を、学習者のレベルと目標にあわせて取捨選択し、わかりやすく配列しなおし、理解しやすい平易な説明を加えるものである。「辞書に書かれていても参考書に載っていない情報」もたくさんあって当然だし「授業では扱わない」のも当たり前なのだ。それをいちいち辞書で確認して「これが載っていない」「あれが書かれていない」と言って不満顔をしているのは、明らかに勘違いである。辞書と参考書とを照らし合わせ、参考書をほとんど検閲でもしているかのような態度の者も存在するのであるが、そういう学習者に限って成績はふるわないことが多い。
 「辞書を引くのが楽しい」などというのは、上級者になってから口にすべきことである。上級者になれば、いろいろな辞書を引き比べて、そのそれぞれの記述を比較し、たった1つの単語の説明があっちの辞書ではこうだけれどもこっちの辞書はこうだ、その食い違いはどこから来るのか、そういう辞書の引き方を楽しむ余裕も出てくるだろう。しかし、今の目標はそういう上級者の楽しみ方ではないはずである。
 辞書を引く回数は、減らしたまえ。「辞書を引かなくていい」「辞書を持ちあるかなくていい」「いちいち辞書で確認しなくていい」と思っただけで、何だか英語アレルギーがすうっと消えていくような気分になるはずだ。辞書は引けば引くほどいい、というのは20世紀の固定観念。20世紀に英語を勉強した人はとにかく辞書さえ引いていればほめてくれるだろうが、ではその人が実際に英語でのコミュニケーションが出来るかといえば甚だ怪しいものである。話せない、読むのも遅い、聞き取れもしない、それなのに英文法の細かいことだけは異常に詳しく知っている。辞書ばかり引いていると、そういうタイプの歪んだ語学力しか身につかないのだ。

(写真上:マッジョーレ湖畔、ボタニコ入り口)

 9月8日、朝起きてみると、案の定たいへんな筋肉痛である。よせばいいのに1400mの山下りなどした報いである。地図で確かめてみると、昨日のジイサマが大声で言っていたのは、やはり「バベーノ」。Va bene「OKだ。それでいい」と叫んでいたのではなくて、バベーノという小さな街が山の麓にあったのである。しかも、私が宿泊している宿はストレーザの街からよりもむしろバベーノに近い。
 要するに昨日ジイサマに出会うまで歩いていた道は正しかったのであって、もしもあのまま歩いていたら、大量の番犬に吠えられることもなく、犬に追い回されてミジメな思いをすることもなく、おそらくジイサマとの出会いの地点からあと15分も山を下れば宿にたどり着けたはずなのである。返す返すも酔っ払いジイサマとの出会いが悔やまれるが、激しい筋肉痛に顔を歪めながらよく考えてみれば、ジイサマに出会わなければ、あの優しい意ドイツ人グループとの出会いもなかったわけだ。ま、それを考えれば、ジイサマとの出会いだってプラス評価していいだろう。
 ただ、これから先もあの酔っ払いのジイサマは、日々あの山道のあの場所にたって、モッタローネから4時間も5時間もかけて降りてきてもう気力も体力も使い果たした人々に「ストレーザはあっちだ、こっちはバベーノ」と不明瞭な発音で叫び続け、あとわずかで目的地に到着できるところまでたどり着いた人々を牧場の番犬たちのほうへと導きつづけるだろう。番犬たちの扱い慣れたドイツ人グループがいつでもうまく姿を現すわけではないのだから、大いに困ったジイサマである。

(写真上:ボタニコから見たマッジョーレ湖、向こう岸がスイス・ロカルノになる)

 あまりの筋肉痛に耐えかねて、この日は怠けて過ごすことに決めた。本来なら、マッジョーレ湖に来た人は、早速船に乗ってボッロメオ諸島を見て回ることになっているのである。ボッロメオ諸島とは、既に何度も写真で紹介した「ベッラ島」「ペスカトーリ島」「マードレ島」の3島。「諸島」などという大袈裟な名前で呼ぶほどのものではないが、特にベッラ島は美術全集などでも大きく紹介される有名な庭園がある。ガイドブックを見ても、ベッラ島だけはmustという扱いになっている。
 しかしmustであるというならmustらしい扱いをしてあげなければ、島がムクれてしまうだろう。こんな筋肉痛で右足も左足も上がらない状況で訪ねていくのは失礼だし、ジイサマと番犬たちの残した心の傷は思ったよりも深く大きいもので、とても庭園を訪ねてその美しさを愛でるような広く優しい心を維持できる状況ではないのだ。まだまだマッジョーレ滞在は長いのだし、予定といえるのはジュネーブまで片道3時間ほどの小旅行しかないから、ボッロメオ諸島巡りは明日か明後日にすればいい。

(写真上:危険なほどたくさん蜂の飛んでいるボタニコの庭園)

 というわけで傷心と筋肉痛に苛まれた哀れなクマどんは、丸1日をマッジョーレ湖畔の散歩とボタニコ(植物園)巡りで費やす決心をした。昼近くまでホテルの部屋で心と身体の傷をいたわりながら過ごしたあと、両足を引きずりつつストレーザまで30分ほど。ストレーザの港で、ボッロメオ諸島巡りの船を眺め、チケットの値段や時間を確認。さらにストレーザの街を抜けて20分ほど行くとボタニコである。

(写真上:ボタニコで半分放し飼いになっている草食動物たち。)

 ボタニコはマッジョーレ周辺の植物と鳥や小動物を集めた公園で、規模は大きいけれども決してmustと言えるようなものではない。閑散として、観光客もほとんどいない。近くにパターゴルフ場などもあって、要するに子供連れ向けである。湖や庭園や別荘や、そういう大人向けの保養地で飽き飽きしてしまった子供のご機嫌をとるための静かな植物園に過ぎなかったが、その静かな雰囲気と、午後の湖から吹いてくる静かな風と、半分放し飼いにされた草食動物やフクロウたちとの触れ合いは、傷ついたクマさんの心と筋肉痛とを慰めるのには十分だった。

1E(Cd) Sinitta:TOY BOY
2E(Cd) Jessica Simpson:IRRESISTIBLE
3E(Cd) Samantha Mumba:GOTTA TELL YOU
4E(Cd) Jennifer Lopez:ON THE 6
5E(Cd) Jennifer Lopez:J TO THA L-O! THE REMIXES
6E(Cd) Brian Mcknight:BACK AT ONE
7E(Cd) Norah Jones:COME AWAY WITH ME
8E(Cd) Gregory Hines:GREGORY HINES
9E(Cd) Myrra:MYRRA
12D(DvMv) 300
total m103 y1492 d1492
最近の画像つき記事
 もっと見る >>

Ameba芸能人・有名人ブログ

芸能ブログニュース

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。

      Ameba芸能人・有名人ブログ 健全運営のための取り組み