2008年09月26日(金)

Tue 080923 関係詞の前のコンマをどう教えるか(4回連続・その1)

テーマ:予備校講師の日常
 これから4回にわたって、関係詞の前のコンマについて話したいと思う。もちろん、ごく基本的な内容なので「高校英語のことなんか全部忘れちゃった」という人でも、問題なく読める。高校時代のことでも思い出しながら、のんびり読んでいただきたい。
 予備校で英語を教え続けて15年ほど経過し、このコンマの教え方について、自分でも考えることがいろいろあるし、特に予備校の若い先生方には、真剣に考えてほしいことが多い。予備校の世界は「いつでも大学側の意向をコッソリ探りながら授業を進めなければならない」「しかも大学側は採点基準を公開してくれない(080901参照)」、そういう重たい事情も手伝って、知らず識らずのうちにきわめて保守的になりがちである。弱い立場の者ほど保守的にならざるを得ないからだが、それを言い訳にして進歩を拒み、成長を拒絶することを「正統派」と勘違いしてしまってはならない。「自分が習った通りに教える、そこに疑問を差し挟むのは正攻法ではない」、そんな臆病な身の構えでは、何だか惨めである。

(写真上:かしこい表情のナデシコ。こういう顔つきの生徒ばかりだったら最高である)

 私が高校生だったころ、英語の授業で関係詞をやっていて、普段は大人しく和訳していくだけの先生だったのだが、「制限用法と非制限用法の区別」という話でやたらに盛り上がったことがあった。
「コンマがなかったら後ろから訳せ(制限用法または限定用法)」
「コンマがあったら、そこで一回切って、前から訳せ(非限定用法または継続用法)」
これが最重要事項で、期末テストでも必ずたくさん出題するし、大学受験でもやっぱり最重要事項なのだ、という。そりゃ、たいへんだ、ガッチリ勉強して、ガッチリ東大入らなきゃ。田舎の素朴な(実は全く素朴ではなかったのだが)高校生である私たちも、先生につられて大いに盛り上がったのである。
(1)They have three daughters who are married.
   「彼らには、結婚した娘が3人います」。
 これは、関係詞の前にコンマがないから「限定用法」だんべえ。和訳するときは、後ろからひっくりかえって訳すべし。彼らには「結婚している娘が3人いること」がわかるだけであって、他の娘の存在については全く言及してねえだ。だから、他にもまだ4人目5人目の娘がいる可能性もあるべえ。つまり、「マツコ・タケコ・ウメコはヨメに行っちまっただ。んだからよ、『結婚した娘』なら、3人いるだ。んだどもね、ハルとアキはまだ高校生で、親元から高校に通っとるだで、まんだヨメには行ってねえだよ」という感じになるわけだすな。ホエホエ。それに対して、コンマつけたら、どうなるべか。
(2)They have three daughters, who are married.
   「彼らには娘が3人いて、3人は結婚しています」。
 こっちは、関係詞の前にコンマがあるから「非制限用法」だんべえ。コンマで一回切って、前から訳さなきゃいけねえだ。こっちは「娘は3人だけしかいねえ」とまずわかり、しかも「3人全部にダンナがいる」つうことがわかるだよ。「おお、娘さん三姉妹みんなヨメに行っちゃっただか。そりゃ、寂しいっぺえ」という感じだべ。「寂しがったら、もう1人つくるダベ、ひっひ」「あんら、いやらしいわあ」。ま、そうした感じだべな。あれま、先生、ちいっと、盛り上がりすぎだっぺ。おや、んだべかな。すつれえしたなや、がはがは。

(写真上:かしこくても、眠くなる。クマのダンナがビールなんか飲んでいれば、なおさらである。)

(3)Rusty likes a girl who has long hair.
   「ラスティはロングヘアの女の子が好きだ」。
 「長い髪の女の子が好き」。こういう趣味のヤツは、昔も今も少なくない。長い髪の人が近くにいるだけで、妙にうれしいのだ。女の子と付き合うときに、まず髪の長さを見て、「長いから好き、短いからキライ」というのは、おかしいんじゃないか。どうしてもロングがよかったら、好きになった女の子に「髪を伸ばしてくれない?」と頼んでみるのが正しい順番である。しかし、人というものは不思議なもので、オジサンがそんな意見を言っても、何の解決にもならない。こういうヤツは、相手が「髪、切っちゃった」と言った途端に「髪の長くない子はキライだ」とか言ってウワキする可能性があるから、「ご用心を」である。
(4)Rusty likes a girl, who has long hair.
   「ラスティはある女の子が好きで、彼女は長い髪をしている」。
 まずサエちゃんならサエちゃん、モエカちゃんならモエカちゃんを好きになる。その上で、「好きになったこと」とは全く無関係に「好きになってみたら、その彼女は髪が長かった」という心温まる話である。それなら心配はいらない。髪がロングだろうとショートだろうと、とにかくまず「サエちゃんが、好き」「モエカちゃんが好き」なのであって、「長い髪」はあくまで付け足しであり「ちなみに…」「付け加えると…」という情報である。これなら、ViViやCanCamを読んで「クリスマスは、髪をカット!!」とか「マニッシュなショートヘアで、変身!!!」とか、カレシに無断でそういうビックリマークをやっちゃっても全く心配ない。こういう男子と付き合うようにしたまえ。「マニッシュ」。なつかしいですなあ。

(写真上:マッジョーレ湖、モッタローネ山頂行きのロープウェイからの眺め。これから4日間、このブログではイタリア旅行記をお休みするから、写真だけでもモッタローネ1400mの山頂に近づいていきたい。途中で1駅停車して、合計約20分ほどのロープウェイである。大きく揺れるたびにヨーロッパの様々な言語が入り乱れ、ドイツ語で笑う男、フランス語で文句を言う女、イタリア語でイタズラする子供、スペイン語でたしなめるおじいちゃん、みんな楽しそうである。ツキノワさんは、ロープウェイ下に密生しているのクリの木と、いくらでもなっている栗の実を見下ろしながら「うまそうだ」と日本語でニヤけてみた)

 ま、こんなふうに、コンマのある用法は、「付け足し」であり「ちなみに…」「付け加えると…」という情報だから、学者の中には「追叙用法」などという工夫を凝らした名称で呼ぶ人もいる。「追加」で「叙述」する、そういうことである。おお。高校生のころの私はたいへん素直だったので(実はまったく素直ではなかったのだが)、この辺までは先生とともに、ホントにビックリマークをつけてノートしたほどに感動していたのである。
 当時有名だった学習参考書(今でも「権威」と言う点では群を抜く本であるが)には、以下の例が書かれていた。
My wife(,)who lives in Kyoto has just written me a letter.
  「京都に住む私の妻が私に手紙を書いてきたところだ」
この文で、もしコンマをつけないと、「京都に住む妻」以外にもいろいろな妻がいて、そのうちの一人として「京都の妻」がいることになってしまう。それではポリガミー(一夫多妻)になってしまう。このように、固有名詞やそれに該当するものにコンマをつけない限定用法の関係代名詞節をつけると、不自然な状況になるので、注意が必要だ。
 なるほど、なるほど。確かに「注意が必要だ」「ご用心を」「ご注意を」である。ま、ここまでは、私も何一つ疑問を持たなかった。21世紀に生きる今の高校生たちも、この説明で非常によく理解してくれる。だから、授業ではこっそりホオカムリをして、それ以上の説明を逃げてしまうヒトが多い。むしろ「逃げる」というより、授業をしている本人自身が、何の問題も感じていないのだから、仕方がない。ただ、私は素直で素朴で正直だから(もちろん、ウソ)、よせばいいのに、思わず問題点をいろいろ指摘してしまうのだ。そのことについては、明日のブログで。

1E(Cd) Incognito:NO TIME LIKE THE FUTURE
2E(Cd) Incognito:POSITIVITY
3E(Cd) Larry Carlton:FINGERPRINTS
4E(Cd) Larry Carlton:DEEP INTO IT
5E(Cd) Luther Vandross:DANCE WITH MY FATHER
6E(Cd) Luther Vandross:NEVER LET ME GO
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