2008年09月10日(水)

Sun 080907 これから徹夜で参考書原稿完成へ ヴェネツィア紀行11(サンマルコの夜)

テーマ:アーカイブ
 これから徹夜して、参考書の原稿を仕上げてしまおうと思う。昨日のブログに「残り12ページ」と書いたのは決してウソではなくて、1章6ページで書き進めてきた原稿の、あと2章分が残っているだけなのだから、確かに残りは12ページである。締切に遅れること1週間、いよいよ完成に迫った。ただし、私がいくら書くのが速いと言っても、速いのはブログとかそういう気楽に書き進められるものに限るのであって、特に「英文法の参考書」という話になれば、そう簡単には進められない。適当にヤッツケ仕事で書きまくる類いのものではないし、もともとどんな原稿でも、適当にゴマかして、いい加減なものを書き散らすような性格でないことは、普段のブログを読んでいる人なら、しっかり分かっていただけると思う。私が余りに一生懸命書くから「読むのがたいへんなぐらいだ」という人も少なくない。「読むのがたいへんだ」と感じる人がたくさんいるぐらいたいへんなものを、これでもう90日間、ほぼ毎日「書いて」いるのである。

(写真上:「ええっ、ホントに徹夜するんですか、ホントに原稿書き終えるんですか」と箱に入ったまま驚き振り返るニャゴ姉さん。驚き過ぎて、目の薄皮が伸びている。)

 ブログ開設から、一昨日でちょうど3ヶ月が経過した。この文字情報の量は、正直言って尋常ではない。普通なら他にちゃんと職業を持った人間が、一人で毎日書き続けられるような分量ではないと思う。ごく単純に計算して、この3ヶ月で書いた分量は、文庫本で500ページ分になる。普通の文庫本が250ページぐらいだから、3ヶ月で文庫本2冊分を書きまくったことになる。この量は、まあ、異常。この調子だと、1年で文庫本8冊。開設時(080605参照)「10年続ける」と宣言したから、10年で文庫本80冊書く計算になってしまうのだ。ま、少し減らさないといけないかもしれませんな。

(写真上:ツキノワさんがそんなに頑張るなら、自分も徹夜して箱に入っていよう。怠けるばかりが美しいネコの仕事ではないのだから」と決意するニャゴ姫。)

 以前「A4を1枚書くのに20分ほど」と書いたことがあるが、最近のブログはそのA4が3枚から4枚になっている。かけている時間は1時間半ほど。何しろパソコンの扱いが下手だから、写真を掲載するのにやたらに時間がかかるのだが、もしかすると時間をかけ過ぎているのかもしれない。6月初め、今回の参考書は遅くとも7月半ばには完成するものだと思っていた。ついブログに夢中になって、9月初旬にまでずれ込んでしまい、関係者の皆様に大いに迷惑をかけることになった。やっぱり、少し減らさないといけないかもしれませんな。
 3ヶ月が経過して、アクセス数も驚くほど増加した。閲覧数もまもなく延べ20000回になる。これほど大量の文字が書かれてあるブログを、これほどの数の人が丹念に読んでくれている状況を考えると、つい夢中になって書いてしまうのも無理はないと思う。「3ヶ月で文庫本2冊」は、なかなかの勢いで書いてきたと実感するけれども、それを「全部読んだ」という人も立派。特に若い人たちはたくさんの文字情報に触れる機会が少ないはずだから、「3ヶ月で文庫本2冊、1年で8冊」なら、十分ほめられていい読書量ではないか。ま、書くほうとしても、これほど熱心に読んでくれる人がいて、しかもどんどん増えているという現状では、無理に減らさなくてもいいのかもしれませんな。
 と、いうわけで、ヴェネツィア紀行「最終日、サンマルコ広場の夜」を書いてから、いよいよ徹夜で参考書原稿完成の態勢に入る。朝7時頃完成の予定。いま、夜11時。それがうまくいって原稿完成に成功したかどうかは、明日のブログでお知らせすることにする。参考書原稿となると執筆のスピードはブログの1/3にも満たなくなるが、酒さえ我慢して飲まずに過ごせれば、午前7時までの完成は難しくなさそうだ。ま、とにかく早く取りかからなければならないかもしれませんな。

(写真上:徹夜の決意をしたことを悔い、「今夜は、寝たほうがいいかも。身体も大事だし。生まれ変わるのは、明日からにしようかな。身体をこわしたら、何にもならないんだから」と考え込むニャゴ殿。決意が揺らぎはじめた受験生とほぼ相似形の、自分に都合のいい耳の形をしている)

 4月23日の夜は、大いに飲み、大いに酔った。ブラーノ島の目一杯傾いた塔を見ているうちに、また、倒れそうになりながらそれでもイタズラっぽくウィンクしているような、全てをあきらめたのにそれでも愉快に笑っているような、そういう表情を見ているうちに、それだけで気持ちよく酔っ払ってしまったようである。
 ブラーノ島では一切酒を飲んでいないから、酒を飲んで酔っ払ったのはサンマルコ広場に戻ってからなのであるが、何をどこでどう飲んでそんなに酔っ払ったのか、キチンとした記憶がない。これは私としては非常に珍しいことであり、前代未聞のことと言ってもいい。何と言っても私は「記録魔&記憶魔」であるから(そのことについては、このブログを3ヶ月にわたって丹念に読んできた人なら、疑問を差しはさむ人は誰もいないと思う)、
泥酔した上で「どうやって帰ってきたか」を覚えていないような場合でさえも「どこで何をどう飲んだか」が記憶にないという経験は、それこそ記憶にない。ということは、やはりあのブラーノ島の塔と語り合いながら、すでにある程度は酔っ払っていたのである。いやはや、あれほど丁寧に傾かれたのでは、こちらが催眠術にかかってしまう。

(写真上:書いている私の横で、催眠術にかかったように眠るニャゴ姫。ありゃりゃ、一緒に徹夜しないの?)

 気がつくとすでに21時を過ぎている。夜のサンマルコ広場で、広場にある3軒のカフェのミニコンサートを、ハシゴして冷やかしていた。カフェ・フローリアン、カフェ・クアードリ、この2軒は有名で、ガイドブックにも載っている。もう1軒、カフェ・クアードリの向かって右隣にも、カフェが1軒ミニコンサートを開いていて、ここも有名店2軒に全くヒケをとらない繁盛ぶりである。日本人向けのガイドブックに載っていないだけで、実際には相当な有名店なのかもしれない。
 3軒とも、席は「7割ぐらい埋まっているかな」という感じ。人々はなかなか席には着かず、みんな3軒をハシゴして回る。3軒が同時に演奏することはなくて、フローリアンの演奏が終わって喝采を受けると、おもむろにクアードリが「その程度の演奏に負けるワケないでしょ」とでも言うように演奏を始め、これまた大喝采を受けると、「いや、そんなもんじゃないよ、まだまだ盛り上がるよ」という感じでもう1軒が演奏を開始する。こういうふうで、ほとんど3軒のカフェの掛け合いの競演のような具合なのだが、サンマルコ広場に集まった人々はその競演に連れて、あっちの店からこっちの店、こっちの店から向こうの店、演奏が終わり演奏が始まるのにつれて、みんなでゾロゾロ移動するのである。
 その移動の仕方が余りにも露骨なので、それがまた楽しい。演奏が終わった店のミュージシャンたちも、一息つきながら隣の店の演奏を楽しみ、ちょっと冷やかしたり、ちょっと拍手したり、汗を拭い、水を飲み、談笑し、そうやって何だかいろいろチョッカイを出しながら、次の演奏に備えている。私もしばらくそのゾロゾロにくっついて、3軒の店の演奏を代わる代わる覗いて歩いていた。こうやっていつまでもゾロゾロやっているのがこの街の通(ツウ)の行動なのだろうと考えたからである。
 演奏のほとんどが、クラシックの誰でも知っている名曲。最前列の席に座れば、リクエストもOK。映画音楽やジャズでも、ごく有名な曲ならすぐにリクエストに応じる。私が見た感じではフローリアンとクアードリはクラシックが多く、もう1軒は映画音楽とポピュラーが多い。演奏のレベルは3軒とも同じぐらいであるが、クラシックばかりでない分「3軒目」の人気が高いようである。
 特に、ステージの真ん中でヴァイオリンを弾いているハゲ頭のオジサンorオジイサンの笑顔が可愛らしくて、しかも彼が振りまく愛嬌とパワーが絶大である。演奏といい、愛想の振りまき方といい、このオジサン、ただものではない。観客もいつの間にか、フローリアン・クアードリ・3軒目の比率が2:2:3ぐらいになっていった。席についてお金を払うより、その3軒をハシゴして全ての演奏を無料で楽しもうという観客たちだけに、そういう点でも抜け目がないというか、きわめて正直なのである。 

(写真上:「3軒目」の演奏)

 正式な一流オーケストラに入らずに、こんなふうに広場の店の前で酔っ払った観光客を相手に演奏しているミュージシャンなどというものは、大学教授を目指して大学教授になれず、しかたなく身を落として予備校講師になった予備校講師と同じようなものであって、「権威は一切ないが、お金はたくさんもらえる」という存在である。ま、そのお金の額は分からないが、人気が出れば出るほど、店同士、学校同士の争奪戦があるはずで、あっちの店にスカウトされ、こっちの学校にスカウトされ、そういう立場もお互いよく似ているような気がする。客を引きつける巧みな演奏にも、いかにも年期の入った愛想いい笑顔や愛想の振りまき方にも、そういう野武士のような野太い生き方が反映されているようで、立ち去りがたい。
 22時半、ついに我慢できなくなって「3軒目」のテーブルに着く。前から4/5ぐらい。距離的にリクエストの声は届かないが、立ち見でハシゴする客の声が後ろから少し聞こえてくるぐらいの位置である。軽金属のテーブルに、軽金属のイス。イスを引いた手の感覚も、イスに座った腰の感覚も、座ってテーブルに触った半袖の腕の感覚も、いかにも安っぽい軽金属の感触、アルミニウムの感触。これも「教授ではなく予備校講師」という一抹の寂しさが漂う、今一つ重厚さに欠ける感触である。
 それでも「ヴェネツィアの深夜のカフェでミニコンサートのテーブルについた」という嬉しさは格別である。どんなに安っぽいテーブルでも、いまここに腰を下ろした瞬間、自分が特別な客、特別な人間、強いて言えばVIP、普段は感じることの出来ない、その類いの存在にのし上がった晴れの舞台の、晴れ晴れしい気持ちが湧き上がってくる。後ろにずらっと居並んだハシゴ客たちが「かつての仲間たち」「貧しかった頃の同僚」「一般の客」にしか見えない。
 つまり、この席というのは、腰を下ろした瞬間に、むしろ舞台の上で演じる演者の側に回る席なのである。演奏者と、テーブルで喝采をおくる者、そこまでが演ずる立場。テーブルに着かないで、ハシゴして演奏を聴く者たちだけが、観客。だから、こんな軽金属のテーブル席なのに、周囲を見回すと恥ずかしくなるほどパーフェクトにドレスアップしたヨーロッパ人が少なくないのだ。蝶ネクタイのオジサン。胸を大きく開けた真っ赤なドレスのオバさん。盛装して手を握りあうカップル。ありゃま、普段着なのは、東洋人だけである。しかもその東洋人がほとんど見当たらない。どこへ行っても20人30人の集団でテーブルを占拠している中国人団体の皆様が、今夜はいらっしゃらないようである。

(写真上:深夜のヴェネツィア、サンマルコ広場の大鐘楼)

 ウィーンやミュンヘンのオペラでも、1階の平土間席までは観客は観客ではなく、むしろ演ずる側の一員なのであって、喝采の仕方から行動の仕方までが、オペラの一部分として他の観客に観られていることを意識すべきなのである。ここも同じだとすれば、私みたいにピンクのポロシャツに普段着の「ズボン」(しかも10年以上前に梅ヶ丘の「紳士服のコナカ」で買った「ズボン」)でやってくるべきではなかったのかもしれない。これでは、人間のお祭りに迷い込んだ気のいいクマが、木の実のお金で焼き栗とリンゴを買ってニコニコ村の秋祭りを見物しているような図である。
 ならば、大いにニコニコして、大いに木の実のお金を出して、大いに酒を飲み、大いに歌い、大いに楽しんで、それからお山のねぐらに引き上げるまでだ。人間は恐い動物だから、ダマされてお金をたくさん巻き上げられるかもしれないが、クマさんは、たくさんお金もってきたから、いいもん。今夜は、たくさんお金使うから、いいもん。たまには人間にダマされ、人間にたくさんお金を払い、人間の中に入って酒を飲み、酔っ払い、気持ちよく遊ぶ。そういうことが好きなクマさんがいても、悪くないと思うのである。

(写真上:熟睡のニャゴロワ。思わず「じゃ、私も寝ようかな。徹夜なんかで身体を壊しちゃいけないから」と考える瞬間)

 ハゲたオジサンがヴァイオリンで楽しい曲を3曲4曲と続けて演奏し、仲間たちも即興でそれに合わせ、隣のクワードリの演奏者が手拍子でそれに合わせ、後ろの「ハシゴの一般客」がその手拍子に合わせ、演奏が終わり、演奏は背後のフローリアンに移り、「ハシゴの一般客」が一斉にフローリアンのほうに移動して、店の雰囲気が少し寂しくなったところでウェイターが注文を取りにきた。40歳を過ぎたぐらいの、優しそうな笑顔の中年男である。
 こういう所で「ダマされてはいけない」「ご用心を」「値段のご確認を」とか言っていたら、少しも面白くないのだ。是非ダマしてほしいし、常識的なレベルなら是非ボッテほしい。大きな声で「ヘネシー!!」と言ってみた。もちろん、隣のテーブルでメッタヤタラにドレスアップしてベタベタやっているヨーロッパ人中年カップルに、クマさんが合わせてあげたに過ぎない。オジサンのほうが「おお、なるほど、ヘネシーか」と思ってくれればそれでいいのである。そこから先は、とにかくもうワケも分からず、純粋に、どこまでもどこまでも楽しかった。テーブルの客もハシゴの客も一緒で、手拍子を打ち、リクエストし、拍手し、酒を飲み、気がつくと夜12時を回るところだった。
 12時ちょうど、サンマルコ広場の大鐘楼が花やかに時を告げて、その鐘の音とともに3軒ともピッタリと演奏がおしまいになった。花やかな夜が、実にきっぱりと終わるのがまた気持ちいい。広場に集まっていた人の数は、どのぐらいだったのだろう。1000人に近い人々が演奏に酔い、酒に酔い、こんな時間までサンマルコ広場に残ったという嬉しさに酔い、演奏とともに歌い、手拍子を打っていたのだが、12時の鐘の音とともに一斉に姿を消していった。部屋に戻るにしても、これから早朝まで飲んで騒ぐにしても、とにかく水が引くように広場は静寂に包まれた。
(写真上:深夜のヴェネツィア、どこだかわからないが、ホテルのそば)

 ヘネシー1杯90ユーロ、信じがたいほどたくさんお金を払ったクマさんも、広場の鐘楼の上にかかった綺麗な月を見て、伸びをして、どれ、ルナ・バリオーニのねぐらに帰ることにした。
 しまった、今晩も既に夜12時が近づいた。参考書原稿完成のための徹夜の夜だったはずだ。こりゃ、いけませんな。コーヒーでも飲んで、早速取りかからなければならないかもしれませんな。

1E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 1/2
2E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 2/2
3E(Rc) Amadeus String Quartet:SCHUBERT/DEATH AND THE MAIDEN
4E(Rc) Solti & Chicago:BRUCKNER/SYMPHONY No.6
5E(Rc) Muti & Philadelphia:PROKOFIEV/ROMEO AND JULIET
6E(Cd) Midori & Mcdonald:ELGAR & FRANCK VIOLIN SONATAS
7E(Rc) Walter & Columbia:HAYDN/SYMPHONY No.88 & 100
10D(DvMv) THE ISLAND
15G(α) 塩野七生:悪名高き皇帝たち(三):新潮文庫
total m84 y1171 d1171
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