2008年08月24日(日)

Fri 080822 ウーロン茶だけの飲み会について  パドヴァ紀行3

テーマ:アーカイブ
 私は一人でも大勢でも、とにかく酒を飲むことが大好きだから、このごろの若い人たちが余り酒に貪欲ではないと聞くとたいへん不思議な気分になる。しかし、それはどうやら間違いのない情報のようであって、講演に行った先で食事会などがあっても、若い職員の方々がみんなウーロン茶だけで食事をしている姿を目にすることが多い。酒を無理強いするような趣味はないから、ウーロン茶の方がよければ別にそれでいいのだが、「ウーロン茶で本当にいいんですか」と聞くと、彼らはそろえて、明るく「クルマですから」と答え、ハンドルを握るポーズをとってみせる。飲み会に来るのにわざわざクルマで来て「だから飲まない」ということになると、さすがにこちらは少し寂しい気分になる。飲み会になると分かっているんだから、今日だけはクルマ以外の方法でくればよかったのにと言いたくなる。タクシーが必要なら、オジサンがタクシー代ぐらい出してあげてもいいのだ。
 この間なんか、講演会の後の食事会に10人の出席者があって、そのうち9人がクルマ。結局酒を飲んでいいのは私一人、他の9人が完全にシラフという状況で、1人寂しく恥ずかしい気持ちで酒を飲んだ。そういう状況で酒が旨いはずもない。他に誰も飲む人がいなくて「でもせっかく遠くまでいらしたんですから飲んでいってください」と言われて、旨い料理がガンガン出てきて、でも衆人環視の中で1人だけ酒を飲んで、他の人が誰も飲まない理由が「クルマですから」というのでは、全てがマズくなりかねない。みんなシラフだから、こちらが酒を飲んでいても話は全てこの上なく真面目な仕事の話ばかり。これで酒が旨かったら、相当変わった人間である。

 上の写真は、1週間ほど前に代々木上原Casa Vecchiaで勧められて飲んだデザート代わりのグラッパ。この店はほとんど覚えきれないほどいろいろなグラッパを出してくれて、私のような酒飲みには最高の店なのだが(080629参照)、この日は「姫リンゴのグラッパ」。そう言われてみれば、北イタリアのストレーザからシンプロントンネルを通ってジュネーヴまで日帰り旅行をした時に、線路の両側にどこまでも姫リンゴの畑が続いていたことを思い出す。

 写真上は、そのグラッパを飲む前に勧められて飲んだ白ワイン。白ワインなのに、イタリアンハーブやライチの香りがして旨かった。その前にロゼワインを1本飲み干した後だったが、この白ワインLunareも30分もかからずに1本空けてしまった。そういうワインの選び方やワインの飲み方を「邪道」と批判して「だからダメ」と決めつけるようなことをすれば面白くないが、「旨いものはとにかく旨い」と言ってその旨さを肯定すれば、生きていること自体が止められないくらい楽しくなる。おお。何故こんなに旨くて楽しいものを飲まないのだろうか。無理強いは決してしたくないが、クルマとケータイばかりいじくり回していないで、是非オジサンともっと積極的に酒に付き合ってほしいものである。
 その際に気をつけるのは、愚痴を言わないこと、その場にいない他人を批判しないこと、酒の味について蘊蓄をたれないこと、料理についても同じく蘊蓄をたれないこと。要するに何でもかんでもプラス評価して何でもかんでも褒めまくっていれば、1時間もせずに異常なほどに楽しくなって、そのまま人生も楽しくなること請け合いである。

 4月21日、パドヴァのマーケットを出る頃にはすっかり楽しく心温まっていて、夕暮れの街で道に迷っても別に構わないと思った。不思議なことに、こういう時に道に迷っても、危険なことは何一つ起こらない。外国を旅行中に危険な目に遭うのは、だいたい楽しくない時、心温まっていない時、「ご用心を」とか「ダマされてはいけない」とか、とにかく地元の人たちに敵意をいだいているときばかりなのである。薄暗い怪しい裏道で日が暮れかけて、汚いドブ川とトラムの線路が錯綜する裏町を抜けたところで、トラムのサント駅に出た。サンタントニオ教会Basilica di S. Antonioの入り口(写真上)である。日が暮れかけてはいたが、教会に向かうたくさんの人たちにまぎれて、いつの間にか教会正面に出た(写真下)。

 ここは熱心な信者が多いことと、教会内部のサンアントニオの墓を目当てにヨーロッパ各地からの巡礼者が集まることで有名。さすがに教会前の土産物屋でも、教会に供えるためのさまざまなロウソクを売っている。

 教会横のサンジョルジョ礼拝堂を見た後で、信者たちの邪魔にならないかどうかを懸命に考慮してから中に入った。中では、土曜日夕方のミサが進行中。こういうものも本来なら写真に撮ってはならないような気がしたが、まあ1枚だけ後ろ姿のものを掲載しておく。

 これだけ真剣にミサに出席した後なら、さっきマーケットで見たハムやチーズやソーセージやオリーブを前にした食事だって、きっと数倍おいしくなるだろう。写真下は日没後のサンタントニオ教会。

 思わず写真を撮りまくったが、深い信仰心を刺激されるという面ではローマのサンピエトロよりも、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレよりも、ずっと圧倒的だったように思う。

 この教会には翌朝も出かけた。翌朝7時頃にホテルの部屋を出て、途中スクロヴェーニ礼拝堂を通り、今日開催される「パドヴァ・マラソン」のせいでマトモに歩けないパドヴァの街を相当強引に横切って、午前9時、朝の礼拝の行われているサンタントニオ教会に駆けつけた。写真下はスクロヴェーニ礼拝堂。

 ただし、朝のミサについてはさすがに余りにも敬虔すぎて写真に収めるどころではなかった。ミサの参加者のみならず、明らかに観光に訪れた外国人たちまで、ほぼ例外なくきわめて熱心な信者の方々。激しく涙を流しひざまずいて祈りを捧げる若い女。帽子をとり禿げた頭を垂れて夢中で十字を切る中高年男性。幼児の写真を祭壇に捧げて涙をこらえている中年女性。少なくとも「聖アントニオって、誰?」などと言っている不信心ものは私だけである。
 こうなると、入ってきただけで何か申し訳ないことをしてしまった気分でションボリしてしまった。こういう大規模なミサは初めてではない。日曜日のミサなら、ウィーンの真ん中のカールス教会のミサに出たこともあるし、土曜日のパリで1000人近い参列者のいるノートルダムのミサに出たこともある。しかし部外者として入り込んでしまったことを心から後悔して、申し訳ございませんでしたと素直に謝りたくなるほどの迫力に満ちたミサはこれが初めて。この迫力は、教会よりも、むしろ余りに熱心な信者の皆さんが作り上げているものである。
 教会を出て、マラソンの一般ランナーがまだ大量に駆け抜けているパドヴァの街(この街もポルティコの街だったが)を歩き、ガリレオがかつて生活していたアパートを見て、パドヴァの街は終わりにすることにした(写真下、ガリレオの部屋)。

ラジョーネ宮の市場と、裏町と、サンタントニオ教会のお蔭で、今回の旅行で最も印象的な街になった。いつかも書いたけれども、マルセイユのように最初嫌悪感を感じた街が、最終的には忘れられない街に変貌することがよくあるのだ。いつかもう一度訪れて、出来ればサンタントニオ教会の近くのホテル(ドナテッロHotel Donatelloなど)に宿をとって、この街を満喫したいと思っている。

1E(Cd) Mravinsky & Leningrad:SHOSTAKOVICH/SYMPHONY No.5
2E(Cd) Maggini String Quartet:ELGAR/STRING QUARTET in E MINOR
                    PIANO QUINTET in A MINOR
3E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 1/2
4E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 2/2
5E(Cd) Elgar & London:ELGAR/SYMPHONY No.2
6E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 1/2
7E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 2/2
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