2008年08月15日(金)

Thu 080814 生徒たちからの手紙2 シエナ紀行3(おまけのフィレンツェ紀行)

テーマ:生徒のお手紙と返事
 毎日のように東進の生徒たちからの手紙が届けられる。手紙をもらえば嬉しいのは当たり前で、できるだけ早めに返事を出すように努めてもいるのだが、なかなか思うにまかせない。生徒たちの要求には、講師としてほとんど想像を絶するほど多様なものがあって、いま目の前にあるハガキだけでも、以下のようになる。
①「早稲田(文)志望だが、早稲田文突破に向け、何か効果的な勉強法はないか」
②「防衛大にはいろいろ特殊な問題形式があるが、どういう勉強法が効果的か」
③「先生の参考書を全部ではなく一部分だけやりたいが、それでも学力は伸びるか」
④「先生の講座をやり終えれば、慶応大の文法問題に通用するか」
⑤「長文をスラスラ読めるようになりたいが、効果的な学習法はないか」
⑥「いま偏差値63であるが、70をとりたい。どうすればいいか」
⑦「自分はバカな人間だが、授業のどんな点に注意して聞けばいいのか」
⑧「横浜国大の教育人間学部に行きたい。どうすればセンター8割とれるか」
⑨「サインをください」
という状況。⑨を除けば、答えは全部一緒であり、「だれでもできる簡単なことを、どんどんたくさんやりなさい。中途半端で済ませてしまうと、どんなことでも力はつきません。単語集と熟語集をキチンと仕上げて、分かりやすい文法の授業を1年分しっかり仕上げて、1日1問読解問題を解くように努力を続けなさい」というアドバイスがあるだけである。
 もちろん、こういうことは授業中にも繰り返し繰り返し述べていることであって、「○○大学の××学部にのみ有効な学習法」「センター試験で○○点をとるための勉強法」などという「特殊な目標のための特殊な学習法」が存在するはずもない。英語にかぎらず、語学というものはすべて、30分やれば30分だけ、2時間やれば2時間だけ、勉強した量に比例して力のつくものである。もちろん正反対に、3日怠ければ3日分、1週間怠ければ1週間分、怠けた時間に比例して力がなくなることも確実である。昔の私なら恥ずかしくて言えなかったこういう余りにもマトモな発言を、マトモな顔で、マトモな態度で、マトモに生徒の顔を見ながら出来るのが、東進の素晴らしいところである。
 話は非常に単純であって、東進の講座を数多く受講し、毎回の確認テストで着実に合格を続け、単語集を繰り返し、音読を繰り返し、たゆまぬ努力を続けること。講師だけが知っている何か特殊な学習法があって、こっそりそういう特殊な方法で学習すれば「自分だけが得をする」ことになるなどとは考えないこと。大学受験生はほぼ例外なく「成績が思うように上がらない」事実に悩み、苦しみ、もがいていて、その苦しさは自分だけのものではないことを忘れないこと。しかも、大学受験で経験する苦しみなど、周囲の大人が毎日耐え忍んでいる苦しみに比較すればママゴト程度のものにすぎないこと。生徒諸君からの手紙に返事を書けば書くほど、自分自身信じがたいほどにマトモでマジメになっていく。返事を書くことは、教師にとっても素晴らしい訓練になるのである。

 4月20日、シエナの駅でションボリ座って30分ほど待ちながら、予定の電車でまっすぐボローニャに帰るのはヤメにして、ちょっとフィレンツェに立ち寄ろうと決めた。フィレンツェまで2時間弱とすれば、フィレンツェ着19時半頃と思われる。日没は20時頃だから、夕暮れのフィレンツェを駆け抜けることは出来る。夕陽に赤く染まった花の聖母教会は綺麗だろう。朝にも午後にも見ることの出来ない、濃いオレンジ色と濃いバラ色に姿をかえたサンタ・マリア・デル・フィオーレを写真に収めて(その写真が上)、夕暮れのポンテ・ヴェッキオをアルノ河の右岸から左岸に向かって往復し、ついでにアルノ河の夕陽も写真にとってきたい。予定の電車が突然運休になったのは残念だし、ありえない「流しのタクシー」を気合いと迫力でつかまえてみせた手柄は台無しになったが、それと引き換えに夕暮れのフィレンツェを堪能できれば、そのぐらいのことは取り返せるだろう(写真下は夕暮れのパラッツォ・ヴェッキオ)。

 ただし、フィレンツェからボローニャまではどうしてもESを利用しなければならない。イタリア国鉄自慢のESは、新幹線とは名ばかりで、ICや各駅停車と比較してもスピードは大してかわらない。それなのに私のイタリア国鉄パスでは乗車できず、特別料金と座席予約料金でボローニャまで3000円も払わされる。うにゃにゃ。ま、いっか。今日のシエナの帰りにフィレンツェに立ち寄るかどうか最後まで迷っていたのは、このES料金のことがあったからだが、突然の電車運休のせいで決心が固まった。
 やっとやってきたフィレンツェ方面行きは2階建ての最新車両で、イタリアの田舎町を走るとはとても思えないほど設備も整っている。オレンジ色の夕陽を浴びて、少し照れて笑っているようである。よし、よし。頑張って走ってくれよ、と優しく頭を撫でてやりたくなるような可愛らしさである。
 しかし、こういうのに限って、実は最もタチが悪いのだ。そろそろと動き出したのはいいのだが、恥ずかしげに身体を震わせるばかりでちっとも前に進まない。最初の「カステル・フィオレンティーナ」の駅で長々と停車して「すれ違い列車交換」したかと思えば、次の駅の踏切手前で、原因不明の急停車、そしてそのままピクリとも動かない。もちろんお馴染みの「理由説明一切なし」。私ばかりか車内のイタリア人客も大いに苛立ち、大いに舌打ちし、舌打ちしすぎて口内炎ができそうになるころに「この列車はフィレンツェ行きだったが、途中のEmpoli止まりに変更になった。だから客は全員Empoliで下車すること」がごく短いアナウンスで告げられた。
 こういうのも「やむを得ないものはやむを得ない」範疇である。イタリアの田舎町に似合わない可愛らしいヤツを無理やり連れてくるから、こういう結果になるのだ。Empoliの駅ホームの自動販売機でフリザンテを1本買って飲みながら、接続列車を待つ。「自動販売機で買う」という行動自体が、イタリア人の中では珍しいらしい。彼らは売店で列になって買うのが好き。駅の売店のオバちゃんの回りに、いつ自分の番が来るか見当もつかないようなオダンゴ状の列を作り、そのおしくらまんじゅうの真っただ中で真っ赤な顔に大汗をかきつつミネラルウォーターなりアイスキャンデーなりを手に入れては、この世の極楽を味わうかのようである。「自動販売機でフリザンテを買った日本人」を目撃して、小学3年生ぐらいの男の子は大いに興奮して父親に報告している。「パーパ、パーパ。フリザンティ!! パーパ、フリザンティ!!!」と叫びつつ、父親の顔を見上げ、私の顔と見比べ、ぜひ自分にも自動販売機で何か買ってほしいと懇願している。父親は頑固な表情で首をふり「ああいう機械で買うのは、まだ人生が分かっていない証拠だ」という落ち着いた顔で説得し、勇敢にもオダンゴのおしくらまんじゅうに躊躇することなく飛び込んで、見事にアイスキャンデーを獲得してみせ、息子が父親の勇敢さ大胆さに感動し、その感動の視線は「機械でものを買った東洋人」に対する侮蔑の視線とないまぜになって私に向けられ、まあそういうさまざまな一連の出来事が繰り広げられた所で、フィレンツェ行の接続列車が到着した。

 狙い通り、フィレンツェは夕暮れ。サンタ・マリア・デル・フィオーレも濃厚なバラ色とオレンジ色に染まって予想以上に美しかったし(写真上はその鐘楼)、ポンテ・ヴェッキオの雑踏の物悲しさも色褪せはじめた夕焼けの中でなければ味わえないようなものだった。写真はアルノ河下流方面からのポンテ・ヴェッキオ。

 この写真右端の黄色い建物は「ホテル・ルンガルノ」。映画「眺めのいい部屋」の舞台になったといわれているホテルである。2005年2月から3月、40日間のヨーロッパ旅行の際にこのホテルに4泊したが、確かにここほど「眺めのいい部屋」と「眺めの悪い部屋」がハッキリしているホテルも珍しい。アルノ河側の部屋なら、窓を開ければアルノ河はもとより「ポンテ・ヴェッキオ」「Duomo」「ウフィツィ美術館」「パラッツォ・ヴェッキオ」というふうにフィレンツェの名所のほとんどが一望できるはず。映画「眺めのいい部屋」の最後のシーンが、まさにそのままのはずである。ところが4年前の私が泊まった部屋は、反対側。裏通りと余り美しくない向かいの建物が見えるだけ、聞こえるものは外で暴れる酔漢のうめき声と、清掃係のオバちゃんたちがのべつ幕無しにののしり合い、おしゃべりに夢中になり、おおいに下品な話題に爆笑する声ばかりであった。下の写真は、ポンテ・ヴェッキオを背にして撮ったアルノ河の夕陽である。映画「眺めのいい部屋」で主人公の男女が初めて「自分たちは素晴らしい経験をしつつある」と認め合い、血に染まった写真集をアルノ河に投げ捨てる(つまり過去を払拭する)のはこの写真の橋の向こう側である。



1E(Cd) Dorati & Washington D.C.:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.4
2E(Cd) Barenboim & Chicago:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.5
3E(Cd) Gergiev & Kirov:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.6
4E(Cd) Argerich, Chailly & RSO Berlin:
TCHAIKOVSKY/PIANO CONCERTO No.1
RACHMANINOV/PIANO CONCERTO No.3
5E(Cd) Gergiev & Kirov:RACHMANINOV/SYMPHONY No.2
6E(Cd) The State Moscow Chamber Choir:RACHMANINOV/VERSPERS Op.37
7E(Cd) Ashkenazy:RACHMANINOV/PIANO CONCERTOS 1-4 1/2
8E(Cd) Ashkenazy:RACHMANINOV/PIANO CONCERTOS 1-4 2/2
11D(DvMv) A ROOM WITH A VIEW
14D(DvMv) MYSTERY, ALASKA

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