2008年08月13日(水)

Tue 080812 ドゥコス選手とフランス応援団 シエナ紀行1

テーマ:スポーツ
 谷本歩実選手の金メダルを見て、オリンピックの柔道について溜飲が下がる思いだった。彼女の「1本をとる」姿勢については、すでにマスコミで数知れぬ人々の絶賛を浴びているだろうが、それはまさに当然であって、今回のオリンピックで初めての「自信を持って子供たちに見せてあげられるシーン」だったと思う。「オリンピックの柔道」といえば、みな口を揃えて84年ロサンゼルス大会の「ラシュワンvs山下泰裕」戦の話を持ち出すのであるが、今回の「ドゥコスvs谷本」戦はあの一戦に勝るとも劣らない名勝負だったと考える。
 あまり論じられていないのが、ドゥコス選手とフランス応援団の素晴らしさである。いったん完璧な負けを認めてしまったあとのドゥコス選手の態度は見事だった。素早く柔道着をしっかりと着直してから一礼した様子を、もっと賞賛してほしい。ライバルの見事な投げ技に、大きな目をまん丸にしたまましばらく呆然としていたが、「参った」という事実を余りに素直に現したあの表情は、英語の教科書に載せたいほどだった。フランス応援団が谷本選手に脱帽し、「お見事」と送った絶賛の大喝采も、もっともっと賞賛したいものだ。応援というものの本来あるべき姿がよく示されていたと思う。応援とは自国の選手や地元のチームを勝たせるために大合唱するものではない。特に国際大会では、世界の裏側からやってきた選手たちの健闘を称え、素晴らしいプレーがあれば例え敵でも立ち上がって大喝采する、そういう応援でなければ見苦しいだけである。

 4月20日、ボローニャからシエナに向かう。かなりきつい日程にはなるが、マンジャの塔(上の写真)を一目でいいから見たいのである。ボローニャ発10時16分のICでフィレンツェまで1時間強。最近すっかり少なくなったコンパートメント型の客車を大いに楽しんで、フィレンツェ着11時38分。下の写真はイタリア国鉄の車内販売。チリンチリン、昔の自転車のベルのような音を鳴らしながら、古典的な手押しグルマでやってくる。写真はコンパートメントのガラス越しだからうまく撮れていないが、そのシンプルさが懐かしい。

 フィレンツェの街はもう何度も見たから、今日は帰りにもしも時間があればちょっと立ち寄って、一気に駆け抜ける程度で済ませようと思っている。駅のマックでトイレだけ利用させてもらって、シエナ方面行きの各駅停車に乗り換えた。
 フィレンツェからはこの各駅停車で1時間半かかる。この列車が「わざとやってますね」と尋ねたくなるほどに、「不承不承」という言葉そのものの走りかたをする。フィレンツェの駅を出て、すぐにアルノ河を渡って、遠くに青い山々が見え始めると「もう進むのがイヤになりました」とダダをこねはじめた。単線であるらしく、止まる駅止まる駅で擦れ違う列車の待ち合わせを行う。そのたびにご丁寧にじっくり、好きなだけ時間をかけて待ち合わせるのである。
 春とはいっても直射日光は汗ばむほど。窓を開け、強い春の風に揺れているトスカーナの糸杉や赤い花々を眺めていると、催眠術にかかったかのように睡魔が襲う。列車がダダをこねているのは間違いなくて、やっとのことで擦れ違いを済ませて走り始める時も、何だかブルブル身体を大きく震わせるようである。車内には、他に客の姿はほとんどないし、そのわずかな乗客もみな同じ睡魔に教われ、全く無抵抗に睡魔の虜になっている。
 30分ほど走って、Empoliという駅で状況は一変する。地元高校生が大挙して乗車してきたのである。時計を見ると金曜日の午後1時前。イタリアの高校は「金曜半ドン」ということらしい。平日は遠足ばかりで観光地を占領し、金曜は半ドンということだとすれば、彼ら彼女らはいったいいつ勉強しているのか。よくは分からないが、列車内でこれほど傍若無人では、とにかく迷惑この上ない。
 もちろん、彼ら彼女らにしてみれば、私のような観光客の方が迷惑千万な存在なのである。普段から好き放題に振る舞える自分たちの城のような場所に、イタリア語も話せない(と彼らが判断している)何を考えているのかサッパリ分からない(と彼女たちが判断した)変な東洋の中年オヤジが座っていて、自分たちの「いつもの席」を黄色い顔で占領しているのだ。おお。彼女たちは、大胆にも私の座っていた4人席にドシドシ音を立てながら腰を下ろした。通路を隔てた向こう側の4人席も占領。全部で6~7人の集団である。他の席もほぼ満員になった。
 身体もデカイし、態度もデカイが、実際には内気な田舎の女子高生たちらしく、マトモに人の顔を見ることはできない。6人で快活に、というよりデカイ態度で語り合い、爆笑し、席の上に靴を履いたままの足をのせ、その拍子に間違えて私と視線があってしまい、そのたびにデカイ態度はどこへ消えたのか、慌てて視線をそらしてモジモジする。
 ま、モジモジしているうちはいいだろう。席に足をのせているのはいただけないが、ヨーロッパの高校生集団としてはまだマシな方である。一昨年の夏フランスのニース近くで一緒になった女子高生集団なんか、身体も態度もデカイばかりか、4人席にデカイ6人が無理やりにでも座ろうともがく大変なヤツらだった。他の客のことなんか全く眼中にない。自分たちだけが楽しければいいのだ。禁煙の電車内で、意地でもタバコを吸うのも高校生。他の客が注意しても、全く意に介さない。それに比べれば「チラ見」の視線がどれほど無作法で敵意に満ちていても、まあ許容限度内である。
 3年前の春には、アヴィニヨンからマルセイユに向かう列車で、300名ほど高校生集団に遭遇した。マルセイユで行われる予定の大規模デモに向かうらしい。これは「遭遇」などという穏やかなものではない。むしろ、電車が襲われ、実際に占拠されたのだ。それまで穏やかきわまりない午睡の場のような電車内にいた乗客は4~5人。しかも(鉄道パスで旅行していたので)そこは1等車内だった。しかし300名ほどの高校生が一気に占拠してしまえば、1等車も2等車も関係ない。普段あれほど厳格に検札にやって来る車掌(080611参照)もなすすべなし。車内は完全に高校生集団に占拠され、太鼓を打ち鳴らし、歌を唄い、手拍子をうち、踊り、絶叫するまま、他の客もどうすることも出来ない。そのままでマルセイユまで2時間近くかかった。身の危険も感じたし、実際たっぷり危険だったように思う。その後の「大規模デモ」もホテルの3階の窓から間近に眺めたが、傍若無人まさに尽きる所なし。私がその前日コキヤージュを飽きるほど食べ尽くしたレストランの看板やら何やら、とにかく蹴飛ばし放題、破壊し放題、あれで逮捕されることもない。うにゃにゃ。
 ま、あれに比較すれば、Empoliから乗ってきた高校生集団など可愛らしいものである。大いに騒ぎ、大いに笑い、大いに睨みつけて、途中の「カステル・フィオレンティーナ」という田舎町で大挙して降りていった。「フィレンツェの城」という駅名だけあって、この駅を過ぎシエナが近くなるにつれて、車窓には小さな城の廃墟が目立った。いつの城の廃墟なのだろう。シエナがフィレンツェのライバルだった中世後期からルネサンスの頃の城の廃墟だとすれば、この廃墟はもう600年近くもトスカーナのブドウ畑の真ん中に放置され続けていることになる。
 13時38分、シエナに到着。帰りの電車はシエナ発16時18分発だから、2時間半しかいられない。今回は強行軍でシエナはスキャンするという程度、また次のチャンスに2泊か3泊して、そのときにはじっくり見ることにする。だからとにかくタクシーを早くつかまえて、旧市街へ。駅から旧市街まで徒歩で向かうとしたら、急な坂道を40分もかかるのである。「地球の歩き方」によればタクシー待ちに30分もかかることになっているが、何しろ私はタクシーをつかまえる達人である。駅前にたった1台いたタクシーを見事にゲットして、狭く入り組んだ路地の続く街を旧市街に向かった。写真はその「中世以来の狭く入り組んだ旧市街」。

 タクシーを降りると、目の前がホタテ貝の形のカンポ広場。ホタテ貝を伏せた形ではなくて、仰向けにした形である。「ホタテ貝を仰向け」というのもよく分からない話だが、焼肉屋でホタテ貝を焼く時の貝殻の姿勢のことである。下の写真がカンポ広場だが、この写真では雑然とした薄汚い広場にしか見えないのが残念である。

 もちろんカンポ広場の向こう側には、プッブリコ宮と、その向かって左側にシエナのシンボル・マンジャの塔Torre del Mangia。塔はレンガ造りで高さ100m強。これに登って眼下の旧市街を眺める、そういう楽しみ方もあるが、塔とプッブリコ宮は一体のものであって、これを切り離して塔にだけ登っても、美しさの本質は分からない。

 むしろ、この塔は下から見上げてその美しさを讃えるのが楽しみ方の本質である。カンポ広場の端っこにしばらく立ち尽くして、世界中から集まった観光客のさまざまな言葉を耳にしながら、塔の勇姿に眺めいった。

1E(Cd) Wand & Berliner:SCHUBERT/SYMPHONY No.8 & No.9 1/2
2E(Cd) Wand & Berliner:SCHUBERT/SYMPHONY No.8 & No.9 2/2
3E(Cd) Alban Berg:SCHUBERT/STRING QUARTETS 12 & 15
4E(Cd) Richter & Borodin Quartet:SCHUBERT/”TROUT” “WANDERER”
5E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.1 & No.4
6E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.2 & No.6
7E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.3, No.5 & No.8
8E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.9
11D(DvMv) SCHNDLER’S LIST 1/2
14D(DvMv) SCHNDLER’S LIST 2/2
17D(DvMv) PLATOON
total m118 y884 d884 w79.1 fp25.6
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