2009年09月13日(日)

Fri 090904 自由の女神のついて 鳥の恐ろしさについて(ニューヨーク滞在記18)

テーマ:アーカイブ
 自由の女神については、「不吉な印象しか受けない」というのが正直なところである。それは映画がいけないので、どんな映画を観ても、自由の女神の不機嫌な表情は、不吉な事件の前兆か、文明の破滅の象徴としてばかり登場する。焼けただれた女神、崩壊した女神、凍結した女神。例の苦虫を噛み潰したような顔が、また破滅や崩壊のシーンによく似合いすぎるのだ。私が大学生だったむかしむかし大昔、池袋文芸坐で「ニューヨーク1997」というつまらん映画をみた。核戦争で全世界が崩壊した後、ニューヨークに生き残ったわずかな人々で激しい生存競争を繰り広げるという内容。女神の役割はまさに崩壊の象徴で、再生の象徴は女神より朝日なのである。

          (自由の女神、ver. M&M's)

 7~8年前の「MATRIX」でも、機械との闘争を続けるモーフィアスにトリニティ、機械たちに「only human!!」と罵倒される人間たちの象徴が、自由の女神だった。「DAY AFTER TOMORROW」となると、最終的にニューヨークを襲う大津波(地震ではないのだから、正しくは高潮または大高潮と呼ぶべきものなのだが)に最初に襲われるのが自由の女神。そこから主人公たちが立てこもるNY市立図書館まで、大高潮が到達するのに10分近く経過するという設定なのだが、とにかく自由の女神は高波の襲撃を例の不機嫌きわまりない表情で耐えぬくのだし、映画のラストで山形蔵王みたいな霧氷だか樹氷だかに覆われて凍りついているのも彼女である。

           (冬の強風のなかの女神)

 それ以上に、私が中学生高校生の頃に英語の教科書の表紙に採用されていたのが、不機嫌な自由の女神のデカイ顔。中間テスト、期末テスト、進路判定テスト、そういう大切で憂鬱な試験が迫るたびに、教科書の表紙からこちらを渋い顔で睨みつけていたのが、例の緑色をしたイヤな顔だったのである。ミュージカル「Wicked」のポスターをみると「西の悪い魔女」は緑色なのだが、どうもあの緑色は自由の女神の顔の緑色から発想したのではないか、そう思うぐらいである。

       (英語教科書用に使えるほどの、不機嫌な女神)

 今井君が一番好きなのは、バッテリーパークから遥かに眺める小さな小さな自由の女神である。「それが自由の女神である」という最も重要な事実さえ見極めきれないほどの、控えめきわまりないサイズにも好感を覚える。遥か彼方の海上に「もしかしたら、あれがあれかな?」という感じで出っ張っているのは、女神らしい奥ゆかしさが感じられて、とてもいいものである。

         (バッテリーパークからの遥かな女神)

 ただし、「ご用心」なのは、強烈な海風と強烈な河風とが吹き渡るこのあたりでは、鳥たちの攻撃もまた強烈だということである。買ったばかりのホットドッグが海風と河風に一気に冷たく冷やされてしまうだけならいいのだが、ほかほかの温かいホットドッグを受けとった瞬間、一口も口に運ばないうちに、カモメ&カラス&名も知れぬ海鳥たちに襲われ、すべてを奪われてしまった女性観光客を目撃したことがある。

             (女神の後ろ姿)

 ザワークラウトまでたっぷりホットドッグにのっけてもらって、おそらく彼女は得意満面で1ドル札だか5ドル紙幣だかを手渡したのだ。その「札は渡した」「取引は成立した」「おつりももらった」「これでこの食べ物は自分のものだ」という、人間世界にしか通用しない満足感で一杯になって、「かあーっ」とその大きな口を開けた。彼女が弱肉強食の世界に襲われたのは、まさにその瞬間。襲ったのは、カモメを中心とするギャング団、約100羽である。この状況では「弱肉」が人間さま、「強食」が鳥類であることを、しっかり認識していなければならなかったのだ。

          (意外に可愛らしい女神の足)

 まず彼女のホットドッグを地面にたたき落とす先鋒隊が10羽。たたき落としてしまえば、何をおいても重要な攻撃目標は彼女ではなくソーセージである。次鋒・中堅がこれを襲い、副将・大将が奪って喰らうのに約5秒。雑兵どもが、残りのパン、ザワークラウト、あまり旨くないソースにケチャップ、そういう余計なものにもよってたかって約5秒。合計しても10秒とかからないうちに「そこにホットドッグが存在した」という痕跡さえ残らない早ワザが完成したのだった。

             (エリス島遠景)

 速きこと風の如し、侵略すること火の如し、まさに風林火山。ヒッチコックも唸り声を上げるシーンだったと言っていい。彼女の人生に、鳥というものへの恐怖が暗い爪痕を残さないことを祈るばかりだ。諸君。「鳥、まさに恐るべし」である。ごらんのように完璧なチームワークを見せるのも鳥類。人間たちは、ホットドッグ屋も、仲間とおぼしき日本人も、ただ呆然と見守るのみ。いや、あまりのことにニヤニヤ笑って遠巻きにしているだけのデクノボーばかりなのだった。そう言っているクマさんもまたしかり。クマより、鳥のほうが遥かにおそろしいと知るべきである。

(イングランド、ウィンダミア湖畔でレトリーバー犬を威嚇していた恐るべき白鳥たち。2009年9月)

 白鳥なんか見て「かわいいな」と思ってはならない。あのキレイな外見はワナに過ぎない。つい先日、イングランドの湖水地方ウィンダミアで、観光客から餌をもらっている白鳥さんたちを観察してきたが、おこぼれをもらおうと近づいてきたイヌを威嚇する白鳥さんの声を聞き表情をみていたら、まさに獰猛そのものだった。例の赤黒いクチバシをがばっと開け、血のような色の口で威嚇しながら「クハアーーっ!!!」と叫ぶのである。彼らの口の中を考えてみたまえ。捕らえた可愛いお魚を決して逃がさないように、硬質ゴム製の大根おろしみたいなものがズラッと並んでいるのだ。おお、こわ。君子危うきに近寄らず、である。
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