2009年09月15日(火)

Sun 090906 9.11、NY大停電、大津波、代ゼミをヤメる決断、みんな名古屋の夜だった

テーマ:アーカイブ
 定期的な出張というのは、思い出に残るものである。内田百閒は横須賀の海軍学校に毎週出張していた時期があり、初期の百鬼園随筆を読んでいると、高利貸しや借金取りとの凄絶な舌戦や、故郷岡山の思い出と同じぐらいの頻度で、海軍学校への出張の思い出が描かれている。予備校講師をしていても事情は同じであって、もう10年以上が経過しても、駿台時代に毎週金曜日に出張した福岡のことは忘れられない。というか、大したホテルでなくとも(ずっと「西鉄グランドホテル」だった)、安い飲み屋でも(焼酎「田苑」の出る汚い店だった)、毎週通って馴染みになれば、平凡さや汚らしさまで含めて、大好きになってしまうのである。

      (ブルックリン・ブリッジとダウンタウン方面)

 代ゼミの8年間は、その8年間ずっと火曜日が名古屋出張だったから、宿泊先の名古屋マリオットホテルからの眺めが大好きになった。月曜の夜、代々木での授業を終えてから、22時過ぎに名古屋に着く。37階が「コンシェルジュなんとかフロア」。まあお馴染みさんでなければ泊まれない仕掛けがしてあって、「自分は特別扱いなんだ」という自己満足に浸れるのである。ホテル自体は確か49階までが客室であって、最上階に近づけば近づくほど高級(つまり値段があがる)のだが、何も最高級でなくとも、むしろそれより「毎週いらっしゃるお馴染みさん」扱いされたほうが、私のようなアホは満足感がアップする。

   (ブルックリン・ブリッジ、朝日を背中に浴びた今井君の頭部)
    
 新幹線で22時過ぎに到着して、15階のロビーにあがって、「もう今夜は終わりかけている」という、疲れたけだるい雰囲気のフロントで、またまた「お馴染みのお客様」扱いをされ、どんどんいい気になっていく。毎週お馴染みのボーイさんに鞄を持ってもらって、いつも通り「気をつけてください、予想の5倍重いですよ」と声をかけ、ボーイさんとともに(女性従業員のことが多かったが)まず36階に上がる。
 37階の「お馴染みさんフロア」に宿泊する人間だけは、15階のロビーではなくて36階の「コンシェルジュデスク」で、またまた特別扱いされながらチェックインするのである。こういうのもアホな今井君の自尊心をくすぐってくれて、ますます盛り上がる。部屋に入って、遮るものの何もない名古屋の美しい夜景を眺めるその瞬間、今井君のバカさ加減は最高潮に達し、「これで日本はオレのものだ」と、今思えばほとんど夢うつつになるのであった。

 (ブルックリン・ブリッジ、ちょうど真ん中あたりからのダウンダウン)

 まあ、罪のないアホなのだから、笑って許してほしいのだが、こんなふうにして1年に25日、夏や冬の講習時を入れると50日近く、名古屋で過ごしたのである。それが×8年で、400日。のべ日数にすると、名古屋で1年以上過ごしたことになる。80歳まで生きるとして、人生の1/80が名古屋だとすれば、大好きにならないのは大きな損失である。
 だから名古屋には多くの思い出がある。代ゼミをヤメる決意をしたのも名古屋だし、インドネシアの大津波で何十万人も死者の出たニュースを最初に聞いたのも名古屋。2001年9.11のニュースを聞いたのは、名古屋から帰ってきた新幹線の中であり、渋谷から飲み屋に向かうタクシーの中で詳しい情報を知って愕然としたものである。

    (まもなく踏破。ヒゲを剃った今井君のような感じの観光客)

 ニューヨーク大停電のとき、「ブルックリン・ブリッジを歩いて通勤する市民たち」という映像をCNNで見たのも、名古屋マリオットホテル。2007年12月、自分でブルックリン・ブリッジを歩いてわたったとき、「こおーるど・わだ」「おおーんり・わんだーら」という物売りの声を聞きながら、「ああ、この橋の様子をつくづく見たのは名古屋のテレビだったな」と思い出したものだった。
 この橋は、早朝か夜にわたるべき橋である。しかも、マンハッタン側からわたるのではなく、必ず地下鉄でイーストリバーの下をくぐり、ブルックリン側からマンハッタンに向かって歩くべきである。降りる駅はハイ・ストリート(ガイドブック風にいえば、「おすすめ」または「ベター」)。早朝なら、日光は背中からあたって橋を美しく照らしてくれる。真夏なら吹き渡る朝の風が気持ちいいし、「こおーるど・わだ」がこれほど旨いことは他になかなか考えられないというぐらいである。それが真冬であっても、背中に当たる朝日が暖かくて嬉しいだろうし、風が冷たければ冷たいほど、橋を渡り終えた後にかぶりつくホットドッグが(鳥に奪われさえしなければ)その分だけ旨くなるはずだ。

   (ハイ・ストリート駅付近、なぜかキチンと揃えて放置された長靴)
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