「突然・・ですか?」
「そう、突然なの。私も原因がわからないわ。でも、最後の方にあの子をみた時、あの子は何だかいつもと違ってとても暗かったような気がするの。でも私もどこか具合でも悪いのか?ぐらいにしか思っていなかったけれど、忽然と来なくなったでしょ。だからしばらく心配していたんだけれど、この町はとても狭い町でしょ。だから、あの子の父親が亡くなったらしいとは聞いたよ。それと関係はあるというぐらいしか、わからないわ」茂登子はこの間きいた吉田と概ね同じようなことをいっており、これといった目ぼしい情報を得られなかった。
「お父さんを亡くされて、家族で突然いなくなるって、なんか普通でないですよね」悠人は淡々と感想を述べた。
「そうね。お母様も気立ての良い方でしたわ。あっ!」茂登子は何かを強く思い出しように、落ち着いた容姿からは想像も出来ないほど、素っ頓狂な声を上げた。
「あの子は、昔、誘拐事件の犯人を目撃したみたいで、あの子のおかげであの忌まわしい事件を解決したみたいよ」茂登子の言葉に悠人は凍りついた。
「父親が亡くなって家族がいなくなったとしたら、母親の実家の清里にいったのかもしれないよ。そう考えるのが普通でしょ?清里の家よ。それか、こんなこといったらおかしいけれど、調べてみたら?あの子の父親が働いていた工場にいってみたら?女に貢いでいたらしいけれど、きっとこの町はとても小さな町でしょ。入り込んでいた女はスナックで働いていた女子大生だったみたいで、貢いでその子は学費にあててみたいなの。でもおかしなことがあってね、あの一家がいなくなってから、あの子の家の隣も今は取り壊されたけれど、幽霊屋敷でしょ。あそこが誘拐事件の事件現場になったでしょ。なんか怖いわよ」茂登子の言葉に悠人の表情(かお)は思わず強張ったままだった。
「・・・そうですね」悠人は無表情にうなづいた。
「あなた知ってた?みずほちゃんが、第1発見者で通報したから被害者の男の子が助かったのよ。そんな助けてあげた直後にあの子にあんなことが起こるなんて、なんか因縁めいていると思うのよね。みずほちゃんはいなくなる前にこういってた。普通に暮らしていたのに、突然、大きなこう事件に巻き込まれてしまうものだって。運命は突然変わってしまうものなんだって。だからか、あの子は、ずっとカノンのような曲を選んでいたのに、発表会に向けての曲にあの子が選んだ曲が<運命>だったのよ。でも発表する前にいなくなっちゃった」茂登子は少しやりきれないといった面持ちでふいた。
「運命・・ですか?」
「いつもカノンとかエリーゼの為にとかそういった曲ばかりだったのにいきなり<運命>を選んだのはあの子の感じとは違うなぁって思ったわ」
「そのみずほさんってどんな子だったんですか?」悠人は何となく聞いてみた。
「どんな子ってごく普通の子よ。あんまり特徴がない子だった。だからあまりあの子の記憶が私も薄いのよね」
「どのくらいピアノ教室に通われていたんですか?」
「どれくらいって、そうねぇ。2年くらいじゃないかしら?」
「2年間の間に知り得たことって何ですか?」
「そうねぇ・・・、知り得たことって、あの子は、ケーキが好きだったとか、東京で暮らすことが夢だったとかそんな事くらいかなぁ。とにかく平凡で本当に特徴がない子だった。優等生という訳でも、出来ない子でもない、ごくごく普通の子よ。もう20年以上前のことだからねっ。あの子の残像さえもうぼやけているわよ」茂登子はそれが精一杯といわんばかりにかぶりをふった。
p.s
今日も遅くまで創作活動していました!!
疲れるよぉ〜
でも欲しかったものを注文しましたぁー!
本格的にハーブティーを飲もうとしていろんな種類ものをオーダーしてみる!!
大人しい人生がいいだなんて誰が決めたんだ?
リスクを伴うから死んだり、転落する訳ではない。平凡だから狙われないなんてことはない。大人しく生きたって死ぬ時は死ぬ。平凡に生きていたって巻き込まれるときは巻き込まれる。それは寿命だからなんだよ。だったら何もおそれず生きていけばいいじゃないか?
うちなる声が創作活動しながら、そんな言葉を残していくんですよ。カフェにいるとマックパソコンを開いて黙々とパソコンと格闘している人や参考書を開いて勉強している人たちがたくさんいた。ここにいる人たちはみんな何かと闘っている気がした。こう、自分で道を切り開こうとする何かを感じるんですよ。
大人しい人生がいいだなんて誰が決めたんだ?
(←うちなる声の言葉が何度もこだまする)
私もいろいろと試練に立たされているのよね〜〜。