株の譲渡所得のあれこれ。。
テーマ:会計・税務・監査今日は、株式に関する所得税のお話。。
この時期(所得税の確定申告)の時期になると、株式関連のご質問や処理が多くなるので。。
当社は、ファンド関連の管理業務を行っていることもあり、金融関連の税務相談も多々あります。
基本的には、法人投資家が多いのですが、個人投資家が参加されて組成しているファンドもあるので、そういう場合には個人投資家に対してのご相談が多くなるわけです。
株関連の所得税で、いつも議論(?)というか話に出てくるのがその所得区分になります(所得税の議論の多くは所得区分かもしれませんが・・)。
株式等に係る譲渡所得は、基本的に“譲渡所得”が基本です。
しかし、株式譲渡の中には、「事業所得」であったり、「雑所得」であったりすることもあります。
株式が「事業所得」になるのは、株式の売買をまさに「事業」として行っているようなケースだと思います。
もちろんケースバイケースですのでここで断定できませんが、たとえば、デイトレーダーのような方で毎日お仕事として株式売買を行っているようなケースだと、株式譲渡を「事業所得」として考えることができるかもしれません。
そもそも、何故、このような所得区分の議論になるのかというのは、必要経費を損金として算入できるかどうか、というところが議論になるわけです。
事業所得として考えられる場合、たとえば、ネットの通信費やBloombergなどから得られるマーケット情報の取得費用などが必要経費として算入することができます。
この話は、実はもう少し大きなスケールの話があって、それは任意組合やLPS(投資事業有限責任組合)などの場合の処理方法についての議論です。
以前のブログでも書いたことがありますが、任意組合などは法人格を有しておりませんので、課税対象としてはなり得ず、課税はその構成員である組合員などに課税されることになります。
すなわち、パススルー課税が基本です。
このため、任意組合等のファンドを利用して株式売買を行った場合には、そこで行われた譲渡はそのまま構成員が行ったものとして考えられます。
こうしたときに、その構成員が個人である場合には、所得税の世界になるわけですが、このようなファンドで行われた株式売買が“譲渡所得”の区分になるのか、という議論があるわけです。
ファンドを通じて行われる場合、通常は、そのファンド管理者(運営者)が株式売買を執行し、利益が得られた場合には成功報酬を抜き、そしてファンド管理費用(我々のような会計事務所に対する費用)を差し引いて、残金を分配することになります。
このとき、これらの成功報酬などは投資家にとっては必要経費なわけで、これを当然に所得税の損金に入れたいわけですね。
そこで、この株式の譲渡が、「事業所得」や「雑所得」に該当しないものか、、という議論に結び付きます。
これについては、少し古いですが、平成16年に経済産業省から国税に対して、「事業所得や雑所得でいいよね?ファンド管理費などは必要経費だよね?」という確認の質問状を送り、国税は「問題ないです」と回答してます。
国税のHP⇒ http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/shotoku/040618/02.htm
いわゆるベンチャー投資には、LPSなどが利用されることが多いですが、このため経済産業省が確認をとっているのです。
なお、株式譲渡の課税は、申告分離課税で15%の税率適用(上場株式等であれば現在は7%)が原則です(租税特別措置法37条の10第1項)。
つまり、所得区分が事業所得であろうと、雑所得であろうと、総合課税ではなく分離課税を採用するということです。
ですので、「株事業所得」として所得区分されようとも、総合課税ではないので、累進課税が適用されることはありません。
「事業所得にすれば、15%よりも低い税率にできませんか」という相談を受けたり、「事業所得にしちゃうと15%以上の税率が適用されてしまわないか」という相談を受けますが、そのようなことはありません。
ちなみに、総合課税されるのは株式形態のゴルフ会員権や割引債の譲渡所得などです(ですので、総合課税の場合の株式譲渡もあります)。
ついでに、土地の短期分離課税(30%)を脱法するのを防ぐために、短期譲渡所得として分離課税される株式譲渡の論点がありますが、これはまたの機会に。。
所得税は本当に複雑ですね。。
今日は、そんな所得税のお話でした。。






