いまさら?はい、常に読むべき本、読みたい本を数冊かかえているので、ようやく、ですね。
書籍の帯に「一介の農村夫人が国家を相手に事件を巻き起こす!」とありますが、一人の農村女性が自らの真実を貫き通すため、政府、警察、裁判所を翻弄します。しかし、保身に走る役人たち。それが中国の最高会議である全国人民代表大会(全人代)が開かれる北京の様子と対比され、滑稽で痛快。
作品の核、読みどころはまさにその部分なのですが、わたしがこの本に慈(いつく)しみを感じたのは、主人公の農村女性、李雪蓮の純粋さでした。
その気持ちに胸を打たれ、電車の中で二度、図らずも涙がこぼれてしまったほど。ぜひその二箇所について、作品を読んだ方、これから読まれる方と語り合ってみたいものです。
さて、今月、大手サービス業の大規模な中国語研修を請け負い、実施。最近、事後打合せがあり、昨年末から温めてきた一連の研修を無事終えました。
サービス業の皆さんは今後、中国語圏のお客さんと日常的にふれあい、サービスを提供するわけです。
お若い世代は日中関係があまり良くないころに青春期を過ごしているはずで、講師からの「中国に行ったことがありますか?中国語を勉強したことがありますか?」という質問には、ごくわずかな人が手を挙げるのみでした。
しかし、偏見や誤解を解くためのこちらからのアプローチに、会場の皆さんの良い反応を感じました。
さらには中国語発声のときには、講師の明るく、体を張った誘導に会場は盛り上がり、わたしの近くに座る方々が、
「中国語、いけるかも!」
「めっちゃ、面白い!」
と、楽しそうに中国語を発声してたのが印象的でした。
事後打合せでは、担当者の方から「自分も含め、社員の中国、中国語に対する感情のハードルが下がった。親しみが出て、理解が生まれた」とお褒めの言葉をいただきました。
こうして温かい交流が日本各地で生まれ、日本への、中国への良い気持ちが芽生えてくれることが、わたしの仕事の最大のモチベーションです。
日本人の中国語の先生方とよく話題になるのですが、
中国人はたくさん日本に来ていて、日本を知るようになった。
しかし、日本人はまだ中国を遅れていると誤解し、いや、そう思い込み、日本は優れていると安心する。中国の国際的影響力や経済発展には目を瞑りがち。
この落差は国力となって、今後、現れていくでしょうね、と。
ちょうど日米首脳会談の報道がされていました。周囲の身近な年寄りを見ていると、「米国と共にいれば大丈夫」と明らかに思っているのを感じますが、嗚呼、と。
でもこの新学期は、中国語を学ぶ専門学校生や大学生がまた増えだしたという話を聞いています。
きっと、中国、中国語の重要性を説く人がまた増えてきたのだと思いたい。
そして当社も、日本の未来のために、民間大使の育成に励みたいと思っています。