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安倍晋三首相は8日の東アジアサミット(EAS)を、東・南シナ海で海洋膨張を強行する中国を締め付ける「最終決戦」の舞台と見定めていた。同盟国の米国が参加するからだ。中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の切り崩しを図ったが、日本同行筋は「多くの国が実質的な意味で(南シナ海問題の)仲裁裁判で議論した」と明かした。日米が主導する中国包囲網づくりは一定の成果を挙げたといえる。

 安倍首相はEAS参加18カ国の最後に発言した。中国を念頭に「緊張を高める行動の自制」を求め、こう強調した。「仲裁裁定は当事国を法的に拘束する。当事国がこの判断に従うことで南シナ海における紛争の平和的解決に期待する」

 7日の日・ASEAN首脳会議で、中国の海洋進出に懸念を示したのは「複数の国」(日本同行筋)にとどまっていたが、EASではほとんどの国が南シナ海問題に言及。米国のオバマ大統領も仲裁裁定の順守を主張した。日本政府関係者は「仲裁裁定を『無効』と発言した国は一つもなかった」と明かす。仲裁裁定を無効と拒否してきた中国を黙らせた格好となった。

 安倍首相は5日、中国・杭州で行った習近平国家主席との会談で「法の支配」の重要性を強調したが、習氏は「日本は当事者ではない」との従来の立場を主張して平行線に終わった。このため、6日にラオス入りした首相は巻き返しに動いた。延べ7カ国の首脳と相次いで会談し、米国との共通認識である「法の支配」で包囲網を狭めていった。

 

ただ、日米両政府はEAS閉幕後に安倍首相とオバマ氏の首脳会談を行い、国際法に基づく平和的解決が重要だとの認識を再確認する方向で調整したが、見送った。EASの議長声明も9日以降にずれ込み、8日の議論がどの程度反映されるかは不透明なままだ。

 外務省幹部が「声明をまとめることが最終目標ではない。それによって中国がどうするのかということが問題だ」と指摘するように東・南シナ海情勢は決して楽観できない。

 

国家、あるいは国家を背負う政治家には、「流れ」というものがある。ある時には、「勝ち将棋鬼のごとし」と言うように、何をやっても面白いようにうまくいく。まるで世界中の「運」という磁力を、掌中に収めているような錯覚を覚えるほどだ。

ところが逆に、「弱り目に祟り目」と言うように、打つ手打つ手がうまくいかないこともある。まるで水流に逆行するサケのように、このような時の周囲からの「抵抗感」は半端ではない。まさに四面楚歌となりがちだ。

2015年後半の中国及び習近平主席を見ていると、どうも後者の「流れ」に入ったように思えてならないのである。

中国経済は、株価暴落、過剰投資、債務過多、消費低迷などの影響で、減速感が強まっている。そこで状況を打開すべく、習近平主席は9月下旬に訪米したが、国賓待遇のはずなのに、まるで「国賊待遇」のような扱いを受けた。

その結果、期待していたBIT(米中投資協定)を締結できなかった。それどころか習近平主席は、南シナ海とサイバーテロ問題で轟々たる非難を浴び、オバマ大統領との米中首脳会談を終えた後、共同声明すら出せなかったのだ。

散々たる思いで帰国すると、今度はVWの排ガス規制偽装問題が火を噴いた。中国の最大の貿易相手はEUで、中でもその中心がドイツで、ドイツの中でも中心がVWである。

VWは2014年の全世界での販売台数1016万台中、中国で368万台も販売していた。実に全体の3分の1を超える量だ。中国はアメリカに右の頬を引っぱたかれた上に、EUから左の頬を引っぱたかれたようなものだ。「対中包囲網」の画像検索結果