編者の窓

左翼運動研究が一段落してしまった現在、ごく普通の人々までもが、反国家体制犯として検挙され、治安維持法違反ということで、実刑を受けていた事実を重く受け止めて欲しい。『治安維持法検挙者の記録』の編者、西田義信が文献から抽出した事例を公開する。


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 本書(『治安維持法検挙者の記録』)を読んでいくと、「検挙」の場合と、「起訴」、「起訴猶予」などの場合に、微妙に表現が違うことが分かる。
 「検挙」では、「慶大学内G」とか「大阪非合法G」など「G」の付くものが多い。実は、原文では「グループ」となっていたものを、編者が、本を薄くするために略記したものである(直し忘れもあるが)。
 これは、特高が検挙した際の事件名で、「特高月報」の「検挙者調」では「犯罪被疑事実」というところに「XXXX関係」という記述で存在する。
 ただ、1935年ごろまでは、「検挙者調」はなく、「起訴者調」になっているので、「犯罪事実」の項目には、このような記載はほとんど見られない。
 面白いことに、「思想月報」も1935年ごろから、「所属団体及地位」という項目に、この事件名を載せるようになっている。
 これらと、「特高月報」の本文を照らし合わせると、検挙までの推移、検挙の様子と進展がよくわかり、研究の題目になることも少なくない。これについては、私のデータベースの入力、整理がもう少し進んだ段階で報告することにする。

 「起訴」、「留保処分」、「起訴猶予」の場合には、「党員」、「盟員」、「党目遂」、「コミンテルン党目遂」などの言葉が目立つ。
 これは、治安維持法のどの項目に該当するかを記述したもので、治安維持法が、どのように運用されたかを示している。これは、とても重要なので、本書の解説で、簡単に説明しておいた。
 「特高月報」の「起訴者調」では、「犯罪事実」という項目の先頭行にこれが明記されている。おおくの場合、上下にカッコが付いている。例えば「党再建準備会」での活動が分かっていても、ここの記述は「党員」ではなく「目遂」となっていたりするから、明快に法的起訴理由を指していることが分かる。
 「思想月報」では、「起訴者調」の「結社に於ける地位及活動」という項目に、この記載がある。いや、ただ「党目遂」というような記述だけの場合も少なくない。この項目は、「起訴猶予」の場合にも明記されている。「党目遂で起訴すべきところ、起訴猶予にする」ということなのであろう。
 本書の原稿を整理するにあたっては、スペースが気になりながらも、原典を参照し、できるだけ記述が落ちないように努力したつもりである。
私のデータベースでは、この部分を抽出し、統計的分析、時間軸による集計が、簡単にできるようになっている(まだ未完成だが)。
 為政者による法解釈が何を生み出すか、またどんなに恐ろしいかを、詳しく研究してくれる方は、おられないであろうか。

 

 

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