5月も中旬を過ぎ、春茶前線は現在梨山が最盛期を迎えています

今年の気候の影響は考えていた以上に厳しいものでした

台湾や中国の農民が特に大事にしている“節気”という考え方はとても重要なのだと体験した年

おおざっぱに言えば春夏秋冬の区分を示すものですが、さらに細かく24の節気に分けられます

これは日照時間の長さなどに関係し、そのタイミング(節気)に何をすべきかを示すものです

とりわけ農業はこの天候の変化を重視している為、台湾では今でも旧暦を参考にして物事を決める事が多いように思います

今年はこの節気から大幅にずれた生産となった為、思ったような品質を得られにくい年なのです

ただその中でもわりとズレ(遅れ)が少ないものが比較的に良茶が多かったように思います

今年はおそらくこの節気というのがキーポイントになりそうです

節気に合わせれば成熟度が満たないものが多く、成熟度に合わせれば節気が過ぎる

今年はどの海抜帯でもこのジレンマに悩まされました

極端なことを言えば、同じ茶園でも一日違えば味が大幅に変わるなどという現象は今年とりわけ多かったように思います

例えば立夏(5月5日)を過ぎた後は急激に夏茶のような品質を感じるようになり、春茶らしさが日に日に失われていくのを実感しました

全体の傾向としては、春茶らしい味わいの強さや香りといったものは感じづらく、良く言えば春茶によくありがちな強すぎる味わいはないのであっさりとした印象の茶が多いと言えます

日本人の消費者の多くが求める台湾茶の華やかな香り

今年の難点はこれが求めにくいところでしょう。もし今年の茶の中で香りが良いものがあれば、それは大変貴重な良茶だと思ってよいと思います

ここ数年は極端な気候に悩まされたり、社会の大きな変化が品質に悪影響を与えたりと、このブログでもバッドなニュースばかりを伝えています

本当は明るいニュースを皆さんにお伝えしたいと思っていますがこれが現実です

ただその中でも懸命に歯を食いしばって頑張っている人々がいる事もお伝えしたいと思っています

私自身、そういった人々にこれまで幾度も救われてきました。そして私の仕事はそういった人々の思いを茶にのせて伝える事だと思っています


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通知が二つあります

5月28日(土)、29日(日) 京都で吉田山大茶会があります

私は例年通り、茶泉ブースでお茶を淹れておりますのでお気軽にお立ち寄り下さい(当日先着順で予約受付やっていますのでお早めに)

もう一つは6月12日(日)に経堂の茶泉で毎回恒例の『台湾春茶の最前線』という講座を開催します

ブログやFacebookでお伝えしている内容よりも更に深い内容と実際に試飲して頂く事でさらにわかりやすい内容となっています

時間 ①午前 10時~12時
②午後 13時30分~15時30分

参加費 3000円


まだ空きがございます(特に午後)ので、もし興味がございましたらばご参加よろしくお願い致します

TeaBridge2012@gmail.com
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今年は3月31日に台湾へ入りました

もうすぐで約1ヶ月の滞在になりますが、今年はここからあと1ヶ月の滞在となる予定です

結論から言って今年は全体的に大幅に遅れている状況なのです

特に低中海抜の松柏嶺、竹山あたりは例年よりも20日前後も遅れています

中海抜の凍頂やこれから始まる高海抜の杉林渓なども例年に比べて1~2週間ほどの遅れ

理由をこれから少しずつ解説していきます

この写真は凍頂近辺のビンロウの木の写真です。撮ったのは4月頭ごろ

見ての通り、葉が枯れてしまっています。これは霜が降りたせいで霜枯れが起こったという事です

南国台湾で霜枯れという現象は稀な現象です。1月と3月の寒波の影響は特に低気温をもたらしました

記憶に新しいのは1月に台湾の平地で雪が降った件でしょう。中南部でも冬はもの凄く寒かったらしく氷点下を何度も記録しました

加えて今年の1~3月は雨天並びに雨量が異常に多く、冬場の天候とは思えない日々が続きました

昨年の春茶のブログを見直してもらうと分かりますが、今年の気候条件は昨年と真逆です

つまりこの2年間は極端すぎる気候に振り回されているのです

今年の難しさは見た目だけでは判断がつきづらい点でしょう

パッと見て良さそうに見えてもよく観察してみると生長の様子がおかしい事に気がつきます

含水量は例年以上に高く、節間は長く葉を薄め。太陽のあたりが悪いところは大きくならず、あたるところは早すぎる生長をします

生長の雰囲気としては若干夏のシーズンにみられるものが多く、品質的にもそういった雰囲気があるように思われます

香味がいずれも弱く、製茶過程のミスで起こる失敗というよりは原料そのものの成熟度が足りないといった印象があります

果物に例えるなら、まだ熟す前の果物・・・甘みが弱く、滑らかさが足りないのです

最大の難しさは見た目に騙されやすい点です。パッと見て成熟度は足りているように見えて、中身の成分は熟しきれてません

必然烏龍茶の特徴である特有の香味は形成されづらく、良茶が出来づらい環境にあるのだと分析しています

負の分析結果をブログでお伝えするのは残念ですが、事実を捻じ曲げてまで茶の仕事に携わろうとは思いません

ただ希望がないわけでもなく、私の予測としては5月に入ってからが本当の勝負だと睨んでいます

中海抜は受難ではありましたが、これから製茶する高海抜帯の茶は気候如何によってまだ変化していきます

問題となっている成熟度さえ解消すれば、良茶は必ず出てくると信じて待っている状況です

天候は人がどうこうできる問題ではなく、私が出来るのはブレずに辛抱強く良茶を探し出すことです

焦ってむやみに飛びつかず、観察眼を研ぎ澄まして好球必打を心掛けていきます
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浦山尚弥×水野陽景
2016年 3月12日(土)~20日(日)

常滑の茶器と台湾茶の企画展もお蔭様で4年目を迎えることが出来ました
常滑の急須作家・水野陽景氏の作品は繊細な気遣いに溢れ日常の中に特別な時間を作ってくれます

急須をはじめ「蓋碗」や「茶海」など、今回も企画展ならではの作品を御覧頂けます
会期中は作家の器を使い、茶師・浦山尚弥が美味しい台湾茶で特別なひと時をお届けいたします

morrina

〒479-0836 愛知県常滑市栄町7‐3
Tel&FAX 0569-34-6566
営業時間 10:00-17:00



・・・とここまではDMの紹介文でした

毎年3月に常滑のギャラリーmorrinaの杉江さんと常滑の作家さんと私の三人でやっているイベントです

毎年コラボする作家さんは変わっていて今年は水野陽景さん

長い期間をかけて企画の内容を練りこんで、企画展ならではのオリジナルな新しい茶器にチャレンジしてもらっています

昨年は村田益規さんでしたが、初チャレンジの蓋碗に取り組んで頂きました

ちなみに昨年のイベントの様子

そして今回も陽景さんにお願いして蓋碗を作って頂きました

一部ご紹介致します

これは緋襷ですね。中国や台湾の蓋碗にはない、日本らしい意匠です

実は今回かなりおすすめなのが茶海(ピッチャー)です

その他にもまだまだ色々なバリエーションを用意して頂きました

どの作品もそうなのですが、陽景さんの持つ“ちょうどいい雰囲気”がとても心地がいいです

いかにもわかり易い自己主張だったり、変な技法に走ったり、デザインが奇抜だったり、そういったものがなく、とても自然体な作風と言い換えればよいでしょうか

使っていて飽きがこないもの、いつでも愛でられるもの、人と作品との距離感が非常に心地いいです

自分の扱う茶もそういった雰囲気のあるものがいいなと常々思いながら仕入れをしています

会期中は朝から晩までずっとお茶を淹れておりますので、是非気軽に遊びにいらして下さい

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