《本当に忘れてしまいたいほどの苦痛を体験しました》。米国在住の主婦は昨年、家族で日本に里帰りした際、子供が機内で新型インフルエンザに感染し、日本では個人が特定できるような報道をされたという。

 《なぜ感染した人が悪いように言われないといけないのか》。子供は日本滞在中、小学校に体験入学する予定だったが、治癒後もなかなか受け入れてもらえなかった。《「いつから学校に行けるの」と楽しみにしていたのに》。体験入学は日程を短縮して実施され、女性は《帰国後、クラスの子供からすてきなお礼の手紙をもらったことはうれしかった》と振り返る。

 報道も含めた社会の反応は過剰だったのだろうか。

 兵庫県内の男性(30)は《防疫に、やりすぎや過剰はない》と提起し、《「大したウイルスじゃないのに」というのは結果論》と指摘する。男性の妻は昨年、妊娠中で、感染すれば母体や胎児に悪影響を及ぼしかねず、《妻に感染させないよう家族でマスクを着用した》という。

 今回のウイルスは弱毒性といわれながら、厚生労働省によると全国で約200人が死亡し、1500人以上が重症化した。

 国立感染症研究所の岡部信彦情報センター長は「大騒ぎというが、ウイルスの病原性が高いか低いかがはっきりしないうちは、警戒のためにはやむを得ない」とし、「感染が終息したという人もいるが、現在は小康状態と考えられる。今のうちに防疫態勢を整えるべきだ。決して過去のことではない」と強調する。

 新型インフルエンザをテーマとした今回の「風」。初の感染確認から1年がたち、社会の関心は薄れたのではないかと思っていたが、高熱を出したわが子を気遣う親の心情など、切実なお便りを数々いただき、人々の心の中ではまだまだ「終息」していないのだと感じた。冒頭に紹介した女性は《報道しているのは情報ではなく、血の通った「人」であることを忘れないでください》ともつづっていた。自戒の意味も込め、新型インフルエンザに限らず、すべての取材に対して心に刻むべき言葉だと思った。(秋)

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 次回からの「風」は、いよいよ11日に開幕するサッカー・ワールドカップ(W杯)を取り上げます。ベスト4という高い目標を掲げながら、いまひとつ調子の上がらない岡田ジャパンへの期待や苦言、活躍を期待する各国のプレーヤーなど、さまざまなご意見をお待ちしています。

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