「こら(笑)」

「マジだよ」

俺がそう言うと
こてっちゃんが近づいてきた。

「達也の言う通りだな。
アカシ、やれよ」

「オイオイオイ、
勘弁してくれよ(笑)
なんで喧嘩すんだよ」

「達也がこれじゃ
納得出来ねーんだろ?」

「はぁ?そんなんじゃ
俺も納得しねーよ(笑)」

こてっちゃんが
今度は俺に
話しかけてきた。

「達也ぁ、おめー馬鹿だろ?」

「馬鹿だよ」

そう答えたら
こてっちゃんは
大笑いして
アカシの肩をポンと叩いた。

「なぁ、アカシ、
達也はよぉ、
おめーにやられたら
納得するんだとよ」

「あのなぁ…」

アカシは
眉間にシワを寄せて
困った顔をした。

俺も確かに
自分から進んで
アカシと喧嘩しようと思った事は
無かったが、
今回は事情が違った。

自分自身を納得させるには
喧嘩しかなかった。

自分の弱さを徹底的に教えてくれる相手との。

五本松での喧嘩を見て
アカシに憧れ、
いつか自分を試すには
アカシしか居ないと思っていた。

勿論
小学生の俺と
もうすぐ中学3年になるアカシが
喧嘩をしても、
結果は容易に想像出来た。

でも俺には
今アカシと喧嘩をする道しかなかった。

遅かれ早かれ
自分を試す機会に変わりは無い。

俺の腹は決まっていた。

自分の想像を超えたい。

勝って引退集会に出る事も
大事だが、
今は目の前の男に
自分をぶつけたい。
そんな思いが強くなってきていた。

俺は上着を脱ぎ捨てた。

次回
へ続く

小説ランキング参加中です。