あしたのジョー
『あしたのジョー』は思い入れの深い漫画。
実写版やいかに・・・。
オープニングは、昭和40年代の雰囲気を取り込みながら、ドヤ街の風景が映る・・・。
あの有名なアニメのテーマ曲の触りが流れると、グーッとせり上がる高揚感があって期待は高まる。
良く出来たオープニング。
ジョーと力石の逸話を原作どおりに作ったら、尺があっという間になくなるから苦労したんじゃないかな?
ジョーと力石の少年院でのリング対決。
あのー、何で金網デスマッチ風???
それと、金網から“現代”が見え隠れしてますが(苦笑)・・・。
クライマックスのリングもそうだけど、ちょっと芝居がかってはいるけれど、ボクシングのシーンは独創的。
良い。
ジョー役の山下智久さんと力石役の伊勢谷友介さんの役者魂に拍手。
あんだけ絞り込むのは相当の努力を要したはず。
特に、計量シーンの力石の姿は・・・強烈過ぎます。
段平役の香川照之さんの怪演も注目。
いたってまじめにオーソドックスな芝居だけど、ボクシング愛が光ります。
原作の『あしたのジョー』は長い話だから、映画にしようと思うと、登場人物たちの相関図を見るだけで色々な切り口があるはず。
非凡、平凡、富貴、貧困、恋愛、友情、敵意・・・などなど、組み合わせでテーマは限りない。
今回は力石とジョーの対決を軸に、友情物語風に作られている。
その中に微妙に貧困に喘ぐ人々の悲哀が描かれているけど・・・伝わりきっていないなあ。
特に後半はかなり息切れ。
力石が死んだ後は、無駄なカットも多くてダレた。
ただ、どこかに行方をくらませて、1年経ったら戻ってきました・・・めでたしめでたし・・・じゃあねえ。
原作知ってるから、ジョーが何をしていたか補完できるけど、知らない人はポカーンじゃないかな?
力石を死に至らしめたというよりも失ったことの喪失感でリングを離れたジョーがまた戻ってくるまでの顛末を、オープニングのように簡潔に描き切れれば良かったのに・・・。
男臭さで押し通して欲しかった。
エンディングの宇多田ヒカルさんの曲は好きです。Show Me Love(Not A Dream).