2005年09月15日
#012 ■僅かな手持ち資金で買えるもの?
テーマ:購入手続き編
買う気がなく、買うお金も持っていない状態で、もし素敵な物件に出くわしてしまったらどうすればいいのでしょう。
かつて「頭金は物件価格の2割必要」とまことしやかに語られていました。これは住宅金融公庫が住宅購入の必須アイテムだった時代に、公庫融資額が物件価格の8割を上限としていたのが所以だと考えられています。
3000万円の物件を買うのに頭金が600万円も必要、なおかつ諸経費も物件価格の1割強かかることを考えると、自己資金を1000万円近く持っている人しか家を買えない計算になります。
しかし世の中1000万円の現金を持っている人がゴロゴロいるとは思えませんし、こんなに新築物件が乱立していることを考えると、当時でも頭金を2割も用意して買っていないことが想像できます。当時でも不足分を公庫以外のローンで借りて購入していたのでしょう。
最近は「頭金0円で買えます!」のような広告をよく目にすることから、さすがに1000万円持っていないと買えないというのはガセだなというのは分かりますが、未だに「物件価格の2割」神話が語られ、「頭金0円」広告も詐欺なんじゃなかろうかと疑ってみたりと自己資金の少ない人を悩ませています。実際には支払いリスクが増すだけで、そのリスクを許容できれば(*27)買うことができるのですが。
僕は自己資金が200万円しかありません。こんな僅かな手持ち資金で、今回の物件を買うことができるのでしょうか。
誰しも思いつくハードルはまず資金面ですが、それ以外にもクリアすべきハードルがあります。理想的な物件購入方法は、以下に挙げる6項目をすべて満たした上で購入に踏み切ることだと考えています。
1.いつでも欲しい物件が買えるように十分な貯金をする。
頭金が多ければ多いほどローン元本が減り利息が減るので経済的、支払いの金額や期間を短縮できるのでリスクが下がるし、もし家を買わなくても病気や怪我など不測の事態が起きても困らない。
「やりたいことが見つからない」と悩んでいる若者にミュージシャンのスガシカオが話していたアドバイス「やりたいことが見つかった時にすぐ始められるように、やりたいことがない時はお金を貯めるべきだ」
2.いい物件・悪い物件を見定められるようになる。
「いい物件」とはどういう物件なのかを、品質面と自分の理想面の両方から判断できるように勉強しておく。品質面はその物件の工法や施工精度、材料などの知識。理想面は「自分がどういう家に住まいたいのか=家観」を明確にしておくこと。
3.いい物件が見つかったら、その物件について徹底的に調査する。
物件そのものを診断することから、周辺環境や近隣の様子、冠水や崩落、津波などの災害履歴、地盤調査、治安、学校や病院などの施設の充実度など、その物件に関することを徹底的に調査して理想に本当に適っているか、リスクはないかを洗い出す。専門家の手を借りるのも非常に有効。
4.金融商品の知識を付ける。
現金一括ではなかなか買えないもの。ローンを利用するならできるだけ有利に借りられるよう、ローン商品の選び方や支払方法の選択などの知識を蓄えておく。フィナンシャル周辺の知識として税制優遇の知識も付けておくとベター。
5.契約に関する知識を付ける。
高額で、かつ長期にわたって支払いが続く不動産の場合、契約内容ひとつが致命的な問題になることがあるため、不利な契約内容になっていないかを判断できる知識を付ける。これも物件の診断と同じく専門家の手を借りるのも有効。
6.家族と家観を共有しておく。
家族がいらっしゃる場合、住環境を変えるというのは家族全員の合意が必要。普段から「どんな家に住みたい?」という話をして家観を共有しておく。そもそも家を買うということに熱心でない場合もあるので、モデルハウスに遊びに行くなどしてモチベーションを上げておくなどの努力を怠らない。
今回の物件を買うとして、この条件で自分自身を診断してみます。
1.いつでも欲しい物件が買えるように十分な貯金をする。
→物欲のカタマリだったので貯蓄はスズメの涙の200万円。しかも今までは「いつもニコニコ現金払い」だったのでローンの審査がどのくらいシビアなのか経験がありません。
2.いい物件・悪い物件を見定められるようになる。
→おそらく必要十分以上の知識を蓄えています。ただ、知識だけで実践が伴っていないので、現物を目の前にして正しく判断できるかは不安が残ります。理想の家観に関しては明確すぎるくらい明確で迷いもありません。
3.いい物件が見つかったら、その物件について徹底的に調査する。
→まだ内覧を一度やっただけですので調査不足です。
4.金融商品の知識を付ける。
→ローンの知識、税金の知識、資産運用の知識などフィナンシャル関係の知識は「ヲタク」並みです。
5.契約に関する知識を付ける。
→仕事で契約周りを担うことが多いことが役立ちます。正直、不動産売買の契約書は僕が普段扱う契約書に比べて「ザル」です。「ザル」なぶんだけ加筆修正させなければならないポイントが多いのが面倒なほどです。
6.家族と家観を共有しておく。
→普段から家の話を話しまくっているので問題ないです。もともと家観が概ね同じだったので不安はありません。あとは僕が勝手にこだわっている部分を実現するために稼ぐだけです。
問題がハッキリしました。お金、物件調査、そして今回の売買契約に使う契約書の内容の3点が購入に踏み切ることができるかのポイントとなります。
まずは「お金がない」という問題が一番のネックです。最低限いくら必要なのか、ローンで不足分を賄えるのか、ローンの審査が今の状況、この物件で通るのかを確認する必要があります。
その確認をするため、まずは諸費用の概算を出してもらって最低限いくら必要なのかをチェックします。お金周りはHさんではなくNさんという別の人が担当します。これまた若い!年齢を伺うと26歳と。この会社は全体的にスタッフが若いそうで、社長も30代だそうです。
待つことしばし、概算が出ました。なんと諸費用だけで約330万円!これに手付金を100万円加えると430万円!到底無理!!
200万円しか持っていない僕はいきなり門前払いです。しかしそこで助け舟が。
Nさん:「手持ち資金として必要なのは仲介手数料と事務手数料、登記費用、印紙代、そして頭金になる手付金だけです。そして頭金は100万円が慣例ですが、売主がOKすれば少なくても構いません。例えば50万円とか。あとは全部住宅ローンに諸費用も織り込んで借り入れればカバーできます。」
ほほぉ。借り入れ元金は増えてしまうものの、売主と銀行がOKを出せば手持ち資金200万円の現状でも買えそうです。ダメ元で試してみて、ダメなら諦めればよし。
ダメ元ついでに言ってみます。
ワタクシ:「3200万円ってもっと下がらないの?」
Nさん:「最初に広告に出す金額は高めに乗せてあるので、大抵は値引き交渉を受け付けてくれます。実はこの物件、以前に3000万円なら買うという人がいまして、その時には売主さんから断られています。3100万円くらいなら大丈夫じゃないでしょうか。」
よっしゃ!100万円値引きゲット!
もちろん売主がOKすれば、ですが、これまでの経験からしても問題ない範囲とのこと。物件価格が下がれば仲介手数料も下がります。担保しないといけない額が下がるわけですから火災保険料も団体信用生命保険料も下がります。物件価格を下げる交渉は関連して値下がりする諸費用が多いのでとても有効です。
ただ、値引き交渉をするには買う意思があるというのが前提ですので、購入申し込みが必要です。申し込みだけならリスクはありません。逆に申し込みをしなければ諸般の問題がクリアになった時に先に他の人に申し込まれて購入できないというリスクが発生します。
まずは申し込みを入れて売主に打診を開始し、結果を待っている間に物件の詳細な調査や契約書の事前確認をすることにして、意を決して申込書にサイン。そして即調査開始です。
Hさんに依頼。「この物件周辺のハザードマップを手に入れてください。崩落危険地域の確認と冠水履歴がわかるものをお願いします。」
保坂さん:「明日お持ちします。」
Nさんに依頼。「売買契約に使う契約書の雛形をください。事前に読み込んで不利な条件がないかチェックします。」
Nさん:「うちが使っている契約書を使うか、売主側の仲介業者である東急リバブルさんの使っている契約書を使うのかはわかりませんが、うちのでしたらすぐにお出しできます。今夜お持ちします。」
今日は8月6日土曜日。明日は日曜日なので1日かけて調査できることは全部調査してしまうつもりです。現状、最も有利なローン商品を扱っている銀行も明日中に探しておきます。
Nさん:「うちはみずほ銀行さんをよく使っていまして、実績からローンを通しやすいです。あとは中央三井信託さんも懇意にさせていただいています。別にこの2行を選んだからってうちにバックマージンが入るわけではないのでご安心ください。」
なるほど。提携ローンというわけではないけど取引のある銀行の方が通しやすいのは間違いない。
Nさん:「ただですね、もうすぐお盆休みに入ってしまうんです。申し込みが通った後は売買契約後(*28)に銀行の仮審査を受けるという流れになるのですが、この間にお盆休みに入ってしまうと非常に時間がかかってしまいます。そして、大変申し訳ないのですが弊社のお盆休みもありまして。8月12日金曜から8月16日火曜日までがお盆休みになります。我々営業マンは動いているんですが、契約の部門が止まってしまうんです。これからの流れをスムーズに進める意味と、本当に買う気があるんだというのを売主さんに示して値引き交渉を通すために、申し込みが通ったらすぐに契約を手配したいのですが・・・」
おいおい、買う気はマンマンだけど、8月12日金曜日といったら来週じゃないの。それより前に契約をするというと来週中ってこと?満足な調査もできないじゃない。それにこんな高額商品を買うのに契約を急がされるのは気分が悪い。
ワタクシ:「事情はよくわかるけど、さっき見たばかりの物件を数日内に契約しろっていうわけ?その売り方がすごくムカツクんだけど。」
いい物件に出くわし、値引きもできて、少ない手持ちでも買えるということがわかって意気揚々としている時に強烈な冷や水です。どうしても買わなきゃいけないわけではないので急がされるのはイヤです。とりあえず申し込みにはリスクがないので申し込むものの、即断はできません。
気分が悪いまま事務所を後にして帰宅。さてさて、彼らは気分を害したお客さんをどうフォローするのでしょうか。次回もお楽しみに!
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(*27)実際にはリスク分析をしないまま&売る側もリスクについての説明をしないままで購入するケースが多いようで「住宅ローン地獄」などと社会問題になりました。売る側にも責任がありますが、買う側の知識不足(というより勉強する気がない)が問題です。
大根1本100円だ80円だと大騒ぎするのに、どうして家のことになると比較検討もせず100万円単位の費用も「ま、いっか」になってしまうのでしょうか。
不動産に関わらず、お金は「パーセンテージ」ではなく「絶対額」で考えるべきでです。1000万円に対する100万円は10%かもしれませんが、100円の大根を90円で買うのとはぜんぜん違います。
(*28)仮に値引き額で申し込みが通ったとして、その後のハードルは銀行のローンが通るかどうかです。ローン審査は2段階あって「仮審査」と「本申し込み」とあります。「仮審査」が通って初めて細かな借り入れ条件を指定した「本申し込み」に移れるわけですが、そもそも借り入れが可能なのかどうかを確認する「仮審査」は物件の売買契約をしてからでないと受け付けてくれないのです。
自分はローンを審査が通る信用力を持っているのか、いくら借り入れられるのか、諸費用もローンに組み入れられるのか、中古物件の場合はそもそも貸してくれるのか、という情報は申し込みの時点で知りたいのが買う側の要望ですが、銀行は契約後にしか仮審査してくれません。
ローンが通らなければ契約したのに買うことができない、という状況になります。これは契約内容によっては非常に危険です。どう危険なのかは次回詳しくお伝えします。
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かつて「頭金は物件価格の2割必要」とまことしやかに語られていました。これは住宅金融公庫が住宅購入の必須アイテムだった時代に、公庫融資額が物件価格の8割を上限としていたのが所以だと考えられています。
3000万円の物件を買うのに頭金が600万円も必要、なおかつ諸経費も物件価格の1割強かかることを考えると、自己資金を1000万円近く持っている人しか家を買えない計算になります。
しかし世の中1000万円の現金を持っている人がゴロゴロいるとは思えませんし、こんなに新築物件が乱立していることを考えると、当時でも頭金を2割も用意して買っていないことが想像できます。当時でも不足分を公庫以外のローンで借りて購入していたのでしょう。
最近は「頭金0円で買えます!」のような広告をよく目にすることから、さすがに1000万円持っていないと買えないというのはガセだなというのは分かりますが、未だに「物件価格の2割」神話が語られ、「頭金0円」広告も詐欺なんじゃなかろうかと疑ってみたりと自己資金の少ない人を悩ませています。実際には支払いリスクが増すだけで、そのリスクを許容できれば(*27)買うことができるのですが。
僕は自己資金が200万円しかありません。こんな僅かな手持ち資金で、今回の物件を買うことができるのでしょうか。
誰しも思いつくハードルはまず資金面ですが、それ以外にもクリアすべきハードルがあります。理想的な物件購入方法は、以下に挙げる6項目をすべて満たした上で購入に踏み切ることだと考えています。
1.いつでも欲しい物件が買えるように十分な貯金をする。
頭金が多ければ多いほどローン元本が減り利息が減るので経済的、支払いの金額や期間を短縮できるのでリスクが下がるし、もし家を買わなくても病気や怪我など不測の事態が起きても困らない。
「やりたいことが見つからない」と悩んでいる若者にミュージシャンのスガシカオが話していたアドバイス「やりたいことが見つかった時にすぐ始められるように、やりたいことがない時はお金を貯めるべきだ」
2.いい物件・悪い物件を見定められるようになる。
「いい物件」とはどういう物件なのかを、品質面と自分の理想面の両方から判断できるように勉強しておく。品質面はその物件の工法や施工精度、材料などの知識。理想面は「自分がどういう家に住まいたいのか=家観」を明確にしておくこと。
3.いい物件が見つかったら、その物件について徹底的に調査する。
物件そのものを診断することから、周辺環境や近隣の様子、冠水や崩落、津波などの災害履歴、地盤調査、治安、学校や病院などの施設の充実度など、その物件に関することを徹底的に調査して理想に本当に適っているか、リスクはないかを洗い出す。専門家の手を借りるのも非常に有効。
4.金融商品の知識を付ける。
現金一括ではなかなか買えないもの。ローンを利用するならできるだけ有利に借りられるよう、ローン商品の選び方や支払方法の選択などの知識を蓄えておく。フィナンシャル周辺の知識として税制優遇の知識も付けておくとベター。
5.契約に関する知識を付ける。
高額で、かつ長期にわたって支払いが続く不動産の場合、契約内容ひとつが致命的な問題になることがあるため、不利な契約内容になっていないかを判断できる知識を付ける。これも物件の診断と同じく専門家の手を借りるのも有効。
6.家族と家観を共有しておく。
家族がいらっしゃる場合、住環境を変えるというのは家族全員の合意が必要。普段から「どんな家に住みたい?」という話をして家観を共有しておく。そもそも家を買うということに熱心でない場合もあるので、モデルハウスに遊びに行くなどしてモチベーションを上げておくなどの努力を怠らない。
今回の物件を買うとして、この条件で自分自身を診断してみます。
1.いつでも欲しい物件が買えるように十分な貯金をする。
→物欲のカタマリだったので貯蓄はスズメの涙の200万円。しかも今までは「いつもニコニコ現金払い」だったのでローンの審査がどのくらいシビアなのか経験がありません。
2.いい物件・悪い物件を見定められるようになる。
→おそらく必要十分以上の知識を蓄えています。ただ、知識だけで実践が伴っていないので、現物を目の前にして正しく判断できるかは不安が残ります。理想の家観に関しては明確すぎるくらい明確で迷いもありません。
3.いい物件が見つかったら、その物件について徹底的に調査する。
→まだ内覧を一度やっただけですので調査不足です。
4.金融商品の知識を付ける。
→ローンの知識、税金の知識、資産運用の知識などフィナンシャル関係の知識は「ヲタク」並みです。
5.契約に関する知識を付ける。
→仕事で契約周りを担うことが多いことが役立ちます。正直、不動産売買の契約書は僕が普段扱う契約書に比べて「ザル」です。「ザル」なぶんだけ加筆修正させなければならないポイントが多いのが面倒なほどです。
6.家族と家観を共有しておく。
→普段から家の話を話しまくっているので問題ないです。もともと家観が概ね同じだったので不安はありません。あとは僕が勝手にこだわっている部分を実現するために稼ぐだけです。
問題がハッキリしました。お金、物件調査、そして今回の売買契約に使う契約書の内容の3点が購入に踏み切ることができるかのポイントとなります。
まずは「お金がない」という問題が一番のネックです。最低限いくら必要なのか、ローンで不足分を賄えるのか、ローンの審査が今の状況、この物件で通るのかを確認する必要があります。
その確認をするため、まずは諸費用の概算を出してもらって最低限いくら必要なのかをチェックします。お金周りはHさんではなくNさんという別の人が担当します。これまた若い!年齢を伺うと26歳と。この会社は全体的にスタッフが若いそうで、社長も30代だそうです。
待つことしばし、概算が出ました。なんと諸費用だけで約330万円!これに手付金を100万円加えると430万円!到底無理!!
200万円しか持っていない僕はいきなり門前払いです。しかしそこで助け舟が。
Nさん:「手持ち資金として必要なのは仲介手数料と事務手数料、登記費用、印紙代、そして頭金になる手付金だけです。そして頭金は100万円が慣例ですが、売主がOKすれば少なくても構いません。例えば50万円とか。あとは全部住宅ローンに諸費用も織り込んで借り入れればカバーできます。」
ほほぉ。借り入れ元金は増えてしまうものの、売主と銀行がOKを出せば手持ち資金200万円の現状でも買えそうです。ダメ元で試してみて、ダメなら諦めればよし。
ダメ元ついでに言ってみます。
ワタクシ:「3200万円ってもっと下がらないの?」
Nさん:「最初に広告に出す金額は高めに乗せてあるので、大抵は値引き交渉を受け付けてくれます。実はこの物件、以前に3000万円なら買うという人がいまして、その時には売主さんから断られています。3100万円くらいなら大丈夫じゃないでしょうか。」
よっしゃ!100万円値引きゲット!
もちろん売主がOKすれば、ですが、これまでの経験からしても問題ない範囲とのこと。物件価格が下がれば仲介手数料も下がります。担保しないといけない額が下がるわけですから火災保険料も団体信用生命保険料も下がります。物件価格を下げる交渉は関連して値下がりする諸費用が多いのでとても有効です。
ただ、値引き交渉をするには買う意思があるというのが前提ですので、購入申し込みが必要です。申し込みだけならリスクはありません。逆に申し込みをしなければ諸般の問題がクリアになった時に先に他の人に申し込まれて購入できないというリスクが発生します。
まずは申し込みを入れて売主に打診を開始し、結果を待っている間に物件の詳細な調査や契約書の事前確認をすることにして、意を決して申込書にサイン。そして即調査開始です。
Hさんに依頼。「この物件周辺のハザードマップを手に入れてください。崩落危険地域の確認と冠水履歴がわかるものをお願いします。」
保坂さん:「明日お持ちします。」
Nさんに依頼。「売買契約に使う契約書の雛形をください。事前に読み込んで不利な条件がないかチェックします。」
Nさん:「うちが使っている契約書を使うか、売主側の仲介業者である東急リバブルさんの使っている契約書を使うのかはわかりませんが、うちのでしたらすぐにお出しできます。今夜お持ちします。」
今日は8月6日土曜日。明日は日曜日なので1日かけて調査できることは全部調査してしまうつもりです。現状、最も有利なローン商品を扱っている銀行も明日中に探しておきます。
Nさん:「うちはみずほ銀行さんをよく使っていまして、実績からローンを通しやすいです。あとは中央三井信託さんも懇意にさせていただいています。別にこの2行を選んだからってうちにバックマージンが入るわけではないのでご安心ください。」
なるほど。提携ローンというわけではないけど取引のある銀行の方が通しやすいのは間違いない。
Nさん:「ただですね、もうすぐお盆休みに入ってしまうんです。申し込みが通った後は売買契約後(*28)に銀行の仮審査を受けるという流れになるのですが、この間にお盆休みに入ってしまうと非常に時間がかかってしまいます。そして、大変申し訳ないのですが弊社のお盆休みもありまして。8月12日金曜から8月16日火曜日までがお盆休みになります。我々営業マンは動いているんですが、契約の部門が止まってしまうんです。これからの流れをスムーズに進める意味と、本当に買う気があるんだというのを売主さんに示して値引き交渉を通すために、申し込みが通ったらすぐに契約を手配したいのですが・・・」
おいおい、買う気はマンマンだけど、8月12日金曜日といったら来週じゃないの。それより前に契約をするというと来週中ってこと?満足な調査もできないじゃない。それにこんな高額商品を買うのに契約を急がされるのは気分が悪い。
ワタクシ:「事情はよくわかるけど、さっき見たばかりの物件を数日内に契約しろっていうわけ?その売り方がすごくムカツクんだけど。」
いい物件に出くわし、値引きもできて、少ない手持ちでも買えるということがわかって意気揚々としている時に強烈な冷や水です。どうしても買わなきゃいけないわけではないので急がされるのはイヤです。とりあえず申し込みにはリスクがないので申し込むものの、即断はできません。
気分が悪いまま事務所を後にして帰宅。さてさて、彼らは気分を害したお客さんをどうフォローするのでしょうか。次回もお楽しみに!
--------
(*27)実際にはリスク分析をしないまま&売る側もリスクについての説明をしないままで購入するケースが多いようで「住宅ローン地獄」などと社会問題になりました。売る側にも責任がありますが、買う側の知識不足(というより勉強する気がない)が問題です。
大根1本100円だ80円だと大騒ぎするのに、どうして家のことになると比較検討もせず100万円単位の費用も「ま、いっか」になってしまうのでしょうか。
不動産に関わらず、お金は「パーセンテージ」ではなく「絶対額」で考えるべきでです。1000万円に対する100万円は10%かもしれませんが、100円の大根を90円で買うのとはぜんぜん違います。
(*28)仮に値引き額で申し込みが通ったとして、その後のハードルは銀行のローンが通るかどうかです。ローン審査は2段階あって「仮審査」と「本申し込み」とあります。「仮審査」が通って初めて細かな借り入れ条件を指定した「本申し込み」に移れるわけですが、そもそも借り入れが可能なのかどうかを確認する「仮審査」は物件の売買契約をしてからでないと受け付けてくれないのです。
自分はローンを審査が通る信用力を持っているのか、いくら借り入れられるのか、諸費用もローンに組み入れられるのか、中古物件の場合はそもそも貸してくれるのか、という情報は申し込みの時点で知りたいのが買う側の要望ですが、銀行は契約後にしか仮審査してくれません。
ローンが通らなければ契約したのに買うことができない、という状況になります。これは契約内容によっては非常に危険です。どう危険なのかは次回詳しくお伝えします。
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