雑音広告の現在 | 不況になると口紅が売れる

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日野自動車のCM。

「トントントントン日野の2㌧」はこの広告ですっかりと浸透した。
そういう意味で広告効果はあったと思うし、普通に広告効果測定をやったら結果もいいはずだ。
もしかすると、販促にも貢献しているのかも知れない。

しかし、個人的には「これどうよ?」と感じているのだが…皆さんはどうでしょうか?


まず、演出の踏み込みが甘い。
これだけ上手い役者が揃っていて、「面白いぞ」感を出しまくっている割には、最終的な盛上りに欠けている。
タレントの演技もやらされている感が強く、現場の「ノリ」がないような気がする。

ただ、問題の本質はそこにはない。
B2B商品において、本来やってはいけないはずのメッセージ連呼型のCMをやってしまっていることにそもそもの問題がある。

日野のトラックなんてものは、一般の人が買う商品ではない。
そういう分野でテレビCMをすること自体が雑音なのであり、申し訳なさそうに広告するのが常識ってもんである。
雑音の上に雑音を重ねる勇気があるのなら、視聴者にもっと凄味のあるエンタテインメントを提供するくらいでないとダメだと思う。
これはただの「ユーモア広告」にすぎず、つまりは毒にも薬にもならない。


しかし今日、こんなオールド技法の広告表現が許容されるのは、テレビCMそのものの効果が明らかに落ちてきているからだろう。
こうした広告を見ると、脆弱化したテレビメディアの足元を見られているようで、昭和の広告業界を生きてきた人間としては、少なからず嫌悪感や厭世観が芽生えるのだ。


まあ、災害の多い国。
CSRの分野でできることも多いと思うので、日野さんはそちらでできることは多いはず。
ぜひ、頑張ってください。