【書籍情報】
トコトンやさしいにおいとかおりの本
倉橋 隆,福井 寛,光田 恵
出版社: 日刊工業新聞社 (2011/12/1)
ISBN-13: 978-4526067990

【概要・コメント】
においの効果を用いた新しい技術を開発したが,その基礎となるにおい(かおり)の仕組みについて概要を把握するためにこの本を手に取った。

結論からすると,この本は専門書・入門書,どっちつかずという印象である。

においの基礎だけを押さえたい読者にとっては,途中の化学式や生理学の説明はかなり難易度の高い内容であると言え。

一方で専門的な内容を理解したい読者にとっては,後半の具体的な香り成分の議論は(定量的ではあるものの)網羅性には欠け,具体的な香料選定などには至らないという印象である。

基礎を抑えたい読者が“途中の難解な解説を読み飛ばして分かった気持ちになる”というのが,本書の一番適切な使い方のように思う。

 

 

 

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110-天空の蜂-東野圭吾

テーマ:

【書籍情報】
天空の蜂
東野圭吾
出版社: 講談社 (1998/11/13)
ISBN-13: 978-4062639149

【概要・コメント】
海外出張する際に空港で衝動買いした本の2冊目である。

映画化もされた有名な小説なので,ご存じの方も多いかもしれない。

あらすじとしては,高度に自動制御可能な最新型のヘリコプターが盗難されて,実験用原子力発電施設に墜落されようとするというものである。

防衛技術の開発手順や原子力発電所の現場で働く労働者の実態まで細かく取材を行って書いたことが分かる,丁寧な小説である。

一方で,いわゆるミステリー小説として考えると,あまり大どんでん返しはなく,非常に淡々と話しが進んでいるとも言える。

おそらく東野先生はこの小説にメッセージを込めたかったのだと思う。

原子力発電技術の良否・必要性の有無について簡単に議論することはできない。

福島第一原子力発電所の事故後はなおさらで,事故から6年たった今,都会の人間は特に節電する気配もなく,思うがままに電気設備の恩恵にあずかっている。

この状況下にあって,やはりこの小説に込められたメッセージを日本人全体が受け止めるべきではないだろうか。
原子力というパンドラの箱を開けた我々は,その箱を閉じる最後まで,責任を取らなければならない。

特に高度経済成長や複数の好景気を体験した世代は,その責任を全うして欲しいと思う。

自分自身への戒めとして,この小説を読んで非常に良かったと思う。

 

 

 

 

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109-虚ろな十字架-東野圭吾

テーマ:

【書籍情報】
虚ろな十字架
東野圭吾
出版社: 光文社 (2014/5/23)
ISBN-13: 978-4334929442

【概要・コメント】
海外出張する際に空港で衝動買いした2冊のうちの1冊である。

東野先生の小説には,壮大かつ複雑なトリックを含むミステリを期待する読者が多いと思うが,この小説はその類ではない。

正直なところ東野先生はこんなテーマの小説も書けるのだと驚いた。
いやな見方をすると,ゴーストライターが書いたのではないかと思うほど,ミステリー要素は少なく,人間ドラマを中心として小説である。

子供を持つ親にとって,この小説が取り扱うテーマは非常に重たいものであり,また最後まで小説を読み終わったあとも非常に重苦しい気持ちになった。

様々な運命を憎み,世の中はうまくいかないこともあるのだなとなんとなく悲しい気持ちを受け入れてしまう自分がいた。

この小説,精神的に健康なときに読めば,いろいろと考えるきっかけをくれて良い本だが,疲れているときに読むことはお薦めしない。

 

 

 

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