美容外科の症例数

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病院における年間の手術件数や検査件数は、信頼できる病院を選ぶ際の一つの指標とされています。


癌や心臓手術などの高度な技量を要する手術の件数や、心臓カテーテル検査などの危険を伴う検査の件数などは、現在ほとんどの病院が公開しています。


症例数が多ければ手術や検査を行う医師の技術力が向上しますし、数の多さによって一定の技術水準が保たれ、安全で良い結果の医療を提供できるようになります。


大きな病院の場合は、医師が一人しかいないということもなく、医師以外のスタッフもたくさんいる中で医療が行われますから、上級医師の腕はますます安定し、若い医師には上級医師がサポートして技術は継承され、上達しない医師は淘汰されていきます。


評判の良い病院には患者さんも集まりますから、症例数もますます増えることになります。






それでは、美容外科においても症例数の多さは信頼の指標となるでしょうか。


残念ながら美容外科の症例数は一般病院における症例数と同じように扱うわけにはいかないと思います。


もちろん高い技術力によって患者さんを増やしている信頼できる美容外科も一部にありますが、症例数の多さを誇る美容外科の多くは、広告によって患者さんを集めているだけといっても過言ではありません。


腕がいいから患者さんが増えるのではなく、広告にお金をたくさん使ったクリニックに患者さんが集まるのです。


そのようなクリニックでは腕のよい医師よりも、腕は悪くてもいいから売り上げをたくさんあげる医師の方が優遇されます。


広告費には莫大なお金がかかるので、とにかく売り上げを維持する必要があり、本来必要のない施術まで勧められることになります。


1日にこなす仕事量(ノルマ)も多くなり、患者さん1人にあてる時間が短くなり、手抜き診療になる可能性もあります。


医師がすべき診察や説明を医師が行っていると時間がもったいないので、本来医師がすべき仕事を看護師やカウンセラーと称する無資格者が行うクリニックも多く存在します。


看護師やカウンセラーが手術方法を勝手に決めて手術がセッティングされ、いざ手術という時になって初めて患者さんが医師の顔を見るなんてこともあるようです。


とは言え、広告を全く行わないでいると派手な広告を行うクリニックに患者さんがみんな集まってしまい経営が成り立たなくなってしまうので、どの美容外科でもある程度の広告活動は行っています。


広告の内容も重要で、リスクなど本当のことを書くと患者さんが来ないので、いいことばかりを宣伝するクリニックが勝ちとなります。



症例数が多いと患者さんが信用してくれると考えるためか、美容外科では症例数を過大に宣伝する施設が多いように感じます。


中には明らかにウソだとわかる症例数を書いているクリニックもあります。


TVの宣伝で有名な最大大手の美容外科クリニックの症例数にはさすがにウソはないと信じていますが、どのような施術を含めての症例数なのかよくわかりません。


いわゆる大手と呼ばれる美容外科のほとんどは多くの分院を持ちチェーン展開しているので分院が多いほど症例数が多くなるのは当然であり、症例数が多いからと言って高い技術力に裏打ちされているわけではありません。






その一方、個人クリニックが必ずしも信用できるわけでもありません。


以前、「ワキガ手術の経験数3万人以上」と豪語する先生がいらっしゃいました。


ワキガ手術専門のクリニックならあながちウソとは言えない数字ですが、その先生はワキガ以外にも美容外科・美容皮膚科をはば広く行っているはずの先生でした。


医師歴30年弱の先生でしたが、まだ美容などを手掛けていない初期研修の時を含めて3万件を30年でこなしたとして、1年に約1000例手術した計算です。


実際にはその先生は週に2日の休診日を設けていましたが、仮に1年365日休みなく働いたとして1日約3件程度手術しなければなりません。


ワキガの手術は丁寧に行えば約2時間、どんなに手抜きをしても1時間強はかかります。


毎日ワキガ以外の仕事を一切しないのであれば達成できる数字かもしれませんが、その先生にはワキガ手術以外にもたくさん行うべき仕事がありました。

 

一人で診療している限りは、どう考えても3万件などあり得ない話です。





ワキガに関連して。


ワキガ手術を行っている美容外科の中に、手術後の傷跡がとにかく酷いというクリニックが実在します。

茨城県内の病院に勤める形成外科の医師の間で、どうしたらこんなに酷い傷跡ができるのか話題になったことがあります。


形成外科や美容外科で普通にワキガ手術を行っている医師の場合、仮に手術後に血腫などの合併症が起こったとしても、そこまで酷い傷跡が残ることはまず考えられません。


どんな手術をしたらここまで酷い傷を作ることができるのか誰にも想像がつかないというような傷跡なのです。

 

結婚式の直前にそこでワキガ手術を受けてしまい、予定していたウェディングドレスが着れなくなってしまった上に新婚旅行にも行けなくなってしまったという気の毒な若い女性もいました。


そのクリニックは「ワキガ手術件数〇千件」をうたい、経験豊富なことを宣伝しています。


宣伝している症例数が本当かどうかわかりませんが、仮にその数が本当であるとすれば、それだけ多くの人が気の毒な目にあっていることになります。


本来同じ手術を数多く行えばどんどん上達するはずですが、あくまでそれは研修をしっかり受けて基礎がしっかりできている医師の場合の話です。


基礎的な技術や考え方を知らないまま開業してしまうと、症例を重ねても進歩がありません。


以前、同じ失敗を繰り返す「リピーター医師」という言葉が流行りました。


リピーター医師には自分がレベルの低い医療を行っているという自覚がありませんから、ずっと同じことを繰り返し続けます。





「○○の症例数が日本一」など、何にでも「日本一」をうたうクリニックが多いのも美容系クリニックの特徴の一つです。


具体的な数字や根拠を示さずに、勝手に「日本一」を名乗っている場合がほとんどです。  


癌や心臓病などの手術件数は、大きな病院であればデータを公表していますから客観的にどこが「日本一」の症例数か調べることができますが、美容治療に関しては施設ごとのデータはほとんど公表されていないので、症例数はどこが日本一かなんてことは美容に携わる医師にも本当のことはわかりません。  


仮に、I2PLに関して「I2PL治療で日本一」とうたうクリニックがあったとしても、日本でI2PL治療を行っている施設で症例数を公にしている所はほとんどないのでどこが「日本一」かなんて本当の事は誰にもわかりません。

仮に「日本一」を名乗る医師がいたとしたら、それは胡散臭いとしか言いようがありません。


またこれも仮定の話ですが、「私ならどんなシミでもI2PLで治せます」というようなことを主張する医師がいたとしたら、私はその医師を全く信用できません。  

一般の人ならその言葉を信じてしまうかもしれませんが、医師が聞いたらすぐにばれるようなウソを公言できるセンスが理解不能です。


ウソで患者さんを集めて収入を増やせたとしても、約束した効果が得られなかった時、どう言い逃れするのだろうかと不思議に思います。    






そういえば以前、日本一でもなく、世界一でもなく、「自分は宇宙一手術が上手い」と患者さんに豪語する美容外科の先生がいました。


初めは冗談だろうと思っていたのですが、本人は本気で患者さんにそのように言っているようでした。


その先生と一緒に働いていたスタッフたちはその先生の腕を知っているわけですが、誰もその先生の手術を受けたいとは思っていないようでした・・・


とにかく世の中にはいろんなお医者さんがいらっしゃいます。

 


 

 


 

 





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ラシャスリップス

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当院HPではすでにお知らせ済みですが、先月末から当院でもラシャスリップスの取り扱いを始めました。


1年以上前から評判になっている商品ですから今さら遅いよと思われる方もいらっしゃるとは思いますが、男医のため化粧品の流行に疎くて申し訳ありません。




4月の学会の時に仲の良い女医先生にラシャスリップスの取り扱いを勧められました。



美容外科・美容皮膚科関係の女医さんの間ではラシャスリップスは大評判だそうで、私自身試しにつけたところ(もちろんクリアタイプ)、うるうるの唇になり気に入ってしまいました。


市販のブランド物のリップと比較しても少し高い価格設定ですが、通常のリップでは得られない効果が期待できます。


ラシャスリップスには医薬品成分が含まれているため、国内での販売はあくまで医療機関に限られます。


塗ると初めスースーした刺激を感じますが、人によってはそれが気持ちよいと感じるのだそうです。


塗るとボリューム感が増して、うるうるぷるぷるの唇に変わります。




単に色を付けるリップとしてではなく、変身できるリップ、アンチエイジング効果が期待できるリップとして捉えていただければ決して高い商品ではないかも知れません。



ラシャスリップスは全12色ですが、あまり奇抜な色はありません。


初めての方は「クリア」を選択すると無難です。


「クリア」であれば今お持ちのリップと併用することができます。





業者集計による5月の売れ筋ランキング(最新ランキング)は


1位  322番 クリア

2位  325番 ピンク

3位  321番 真紅

4位  323番 ベージュ

だということです。


2~4位の色は個性的な色で無難な色とは思えないのですが、個性的であるがゆえに人気があるのかも知れません。


ピンクは歯がより白く見える色

真紅はモデルに大人気

ベージュは雑誌で紹介されて大人気

なんだそうです。


当院では今のところ全色常備しているわけではありませんので、お好きな色がある場合はあらかじめ電話で在庫の有無をお問い合わせください。


在庫がない場合はご希望の色を2~3日で取り寄せることも可能です。


なお、当院ではクリニック内での販売だけとなっていて、宅配は行っていませんのでご了承ください。





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いびきの手術

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いびきを改善するための治療法に「口蓋垂軟口蓋形成術」という手術があります。


1990年代半ばころから流行り出した手術で、炭酸ガスレーザーが使用されるためか、何故か耳鼻科ではなく主に美容外科でこの手術が行われていました。


口蓋垂(こうがいすい)というのは、いわゆる「のどちんこ」のことです。


口蓋は鼻腔と口腔を分ける部分で、軟口蓋とは口蓋垂周囲の柔らかい口蓋部分を指します。


いびきは、寝ている間に口蓋垂と軟口蓋が空気の通り道を塞いで振動するために生じると考えられます。


そこで口蓋垂と軟口蓋の一部を切除して空気の通り道を広げてしまおうというのが口蓋垂軟口蓋形成術です。


実は17年前に、私はこの手術を受けたことがあります。


当時勤めていたクリニックが新しく炭酸ガスレーザーを購入したので、いびきを気にしていた私が被験者になってレーザーを使ってみようということになりました。


手術は10分位で終了し、入院の必要はなく麻酔も局所麻酔だけで行われます。


具体的な手術手順は、まず口蓋垂をレーザーで切除し、口蓋垂の根元の軟口蓋を切開するという簡単なものです。


特に縫合する必要もありません。


切った軟口蓋が自然治癒する過程で収縮し、空気の通り道が広くなります。


気楽な気持ちで受けた手術でしたが、手術後が大変でした。


とにかく麻酔が切れた後の痛みが半端ではありません。


痛くて自分のつばを飲み込むのもままならず、患者さんに説明を行うために声を出すのが辛かったです。


特に食事をするのが大変で、手術後10日間は固形物を食べることができませんでした。


毎日「ウィダーインゼリー」などの流動食やスポーツドリンクだけで生活していました。


そして肝心の治療効果ですが・・・・・


確かに手術後1ヶ月くらいはいびきをかかなくなったのですが、3ヶ月も経つとまたいびきをかくようになりました。


当時妻曰く、音の質が変わってむしろ以前より酷くなったような気がすると。


あんな辛い思いをして全然良くならないとは最悪です。


しかも、手術後非常にむせやすくなってしまいました。


ただでさえ年をとるとむせやすくなるというのに、40歳でむせやすくなってしまい、将来的には誤嚥を起こしやすくなるのではないかと心配です。


今考えると、そもそもこの手術は私に向いていなかったのだと思います。


私がいびきをかく最大の理由は、寝ている間「口呼吸」になることです。


私は鼻炎を起こしやすいうえに、鼻中隔湾曲症があって、横に寝るとすぐに鼻が詰まります。


鼻が詰まるので、自然に口呼吸になってしまいます。


つまり鼻腔の通りを改善させない限り私の「口呼吸」は治らず、いびきも治らないのです。


いくら口蓋垂軟口蓋形成術を行っても、私のいびきが再発することは想像できたことだったのです。





話は変わりますが、口蓋垂のことを「のどちんこ」以外に言い表す日本語があるでしょうか?


医療関係者でもなければ「口蓋垂」なんて言葉を知らないと思いますので、日本人の多くはいやでも「のどちんこ」とちょっと恥ずかしい言葉を使わざるを得ないと思います。


私は、NHKのアナウンサーが「のどちんこ」という言葉を使うのかどうか、ずっと興味を抱いています。


かつて先輩形成外科医の中に、女性が「のどちんこ」という言葉を使うことに喜びを感じるというマニアックな変態ともいうべきドクターがいました。


形成外科では、子供ののどの先天奇形を扱うことがよくあるのですが、患児の若い母親がためらいがちに「のどちんこ」と話すのが好きだとそのドクターは言っていました。


とにかく医者には変な人がいっぱいいます。


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