2013-04-03 13:53:20

間接強制に関する最高裁判例(子との面会交流)

テーマ:裁判、訴訟

平成25年3月28日に、最高裁から3件の判決が出されました。



内容としては、離婚して子を引き取って同居している親(監護親)が、家庭裁判所での審判や調停の内容を守らず、別居している親(非監護親)に子供を面会させない場合に、非監護親から監護親に対する間接強制が認められるための特定の程度についての判断要素を示した判例です。



「間接強制」というのは、債務者が何らかの義務を負っているときに、その義務を履行しない場合に金銭の支払いを行わせるなどの不利益を課すことで、義務の履行を強制させることをいいます。



通常の金銭債権については、支払わないなら直接強制(強制執行)すればよいので、間接強制は認められませんが、養育費や婚姻費用の負担の場合などに例外的に認められています。



監護親が非監護親に子を面会させない場合に間接強制で金銭的負担をさせること自体は、以前から認められており、目新しいことではありません。



今回の最高裁判決は、間接強制ができるほどに、監護親が行うべき給付(面会のための子の一時引渡し)の内容が特定されているといえるための基準を示したことに意義があります。



さて、今回、最高裁は、



「監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命じる審判において、面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は、上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。」



と判示しました。



その結果、札幌の案件では、



①月1回、毎月第2土曜日の午前10時から午後4時まで

→日時特定、面会時間の長さ特定OK



②長女の受渡場所は、監護親自宅以外の場所として、当事者間で協議して定めるが、協議が調わないときは、JR甲駅東口改札付近とする

→子の引渡しの方法特定OK



よって、間接強制可能としました。



他方、高知の案件では、



①1か月に2回、土曜日又は日曜日→日時特定OK



②1回につき6時間面会交流→面会時間の長さ特定OK



しかし、③子の引渡しの方法について定めなし



よって、特定が不十分であり、間接強制不可としました。



さらに、福島の案件では、



①面会交流の頻度は2か月に1回程度



②面会交流時間の長さは半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)としつつも、「最初は1時間程度から始めることとし、長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。」



→必ずしも特定していない。



③「面接交渉の具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉に慎重に配慮して、監護親と非監護親間で協議して定める」としている。



そのため、調停調書は、「面会交流の大枠を定め、その具体的な内容は、監護親と非監護親との協議で定めることを予定しているもの」といえる。



したがって、給付すべき内容の特定が不十分で間接強制不可としました。



なお、福島の案件では、子の引渡し方法の定めがあるか否かについての検討は特に行っていませんが、高知の案件同様、そこまでは定めていなかったものと考えられます。



以上からすると、審判や調停で子との面接交流について定める際に、子を引き取る親が約束を守らない可能性がある場合、面会を認めさせたい親としては、



①日時を具体的に定める→例)毎月第2、第4土曜日



②面会の時間を具体的に定める→例)午前11時から午後5時まで



③子の引渡し方法を定める→例)渋谷駅ハチ公改札前、監護親の自宅玄関



④曖昧な条項(~については、子の福祉に配慮しつつ、今後双方協議して定める)は極力面接条項に入れない。



以上が必要ということになると思います。



ところで、ほとんどの調停の条項では、福島の事例のように、「具体的な日時、場所は子の福祉に配慮して協議して定める」としている場合が多いのが実情です。



これは、実際的なことを考えれば、その時の状況(親の仕事、子の成長など)に応じて協議して決めた方が良い場合が多いからです。




例えば、私の知るケースでは、母親が国際線のCAで、海外に渡航する場合は、父親にまとめて不定期に数日間、子供を預けているという場合がありました。



しかし、元夫婦間の協力関係が期待できず、相手方が面接の約束を守らず子に会わせないことが想定される場合は、上記のとおりきちんと面接の方法について特定しておいた方がよく、その上で、個別事情で変更する必要があるときは、



①あくまで面接方法は具体的に特定した上で、②変更の必要がある場合は別途協議とする、というような形にしておけばよいように思います。



3件もまとめて最高裁判例が出されたため、いずれこの件は各種法律雑誌でその道の専門家によって詳細に分析され、評釈などもいろいろと出されると思いますが、とりあえずの感想レベルの評釈を書いてみました。


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