.

  


テーマ:

この論文は、絹がテニスストリングとして使用できるか否かについての研究を依頼された大学が、市販されているナイロン(multi)とナイロン(mono)、それにナチュラル(gut)との機械的性質を比較実験したものである。

絹は実用化されなかったので、現在も市販されている3つのストリングを比較してみることにする。なお、ストリングの太さはすべて1.3ミリメートルである。

●強度とヤング率

初めて引っ張り試験機にかけられたデータを見て、ナイロン(multi)とナチュラル(gut)のヤング率の高さに驚いた。次にはナチュラル(gut)が強度が低いことと、ナイロン(mono)が破断するまでに良く伸びることがわかった。

ナイロン(multi)がナイロン(mono)よりもヤング率が高いのは、ナイロン(multi)は一つの繊維を細くするので、その分、紡糸するとき大きくドラフト(延伸)されるのでははなかろうか。このため高分子鎖が引きそろえられているのが原因であろうと思う。しかし専門家ではないので、後日このことについて専門家に教えを請おう思っている。

一般的にヤング率が高く固いものは振動の減衰の面では劣るが、たくさんの細い繊維を束ねたナイロン(multi)は互いの細い繊維がこすり合って減衰の面で、他のストリングに大きく劣ることはないのではないかと考えるが、確かめたわけではない。

.

●伸長回復率(縦軸) 加重を取り去った後の長さ/加重を加える前の長さ)×100

横軸であるストリングのテンション実用域は20キログラムから30キログラム(40~60ポンド)である。

加重の増加とともに伸長回復率は減少傾向を示す。すなわち、テニスラケットにおいて、ストリングの張り上げ張力が強くなるとき、ストリングの反発力は低下して、ボールの飛びが悪くなることを意味している。

△印のナチュラル(gut)がこの値が高いのに注目したい。このことからもナチュラル(gut)の飛びの良いのがわかる。ナチュラル(gut)の応力ひすみ線図を見たことがないので、はっきりしたことはいえないが、このストリングは弾性変形する範囲が広く永久歪みが生じにくいのではないかと想像される。その組織がゴム分子のような架橋構造に似ているのであろうと思われる。

一方、●印のナイロン(multi)が、この値が最も低いのは、大きくドラフトされて一つの細い繊維が作られているので、弾性変形する範囲が狭く、永久歪みを生じやすいのではないかと思う。

.
●切断回数

切断に至るまでの摩擦回数(NF)がナイロン(multi)が他のストリングを圧倒して高いのがわかる。ナイロンは摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れ、自己潤滑性に優れているからだと思う。
しかし、同じナイロンのナイロン(
mono)が耐摩耗性に劣るのは何故なのか、その原因が私には分からない。.
●応力緩和

ガット張り上げ後、25時間たって、最もこの値が大きいのがナイロン(multi)なのには意外な感じがした。今まではナチュラル(gut)の方が高いものだと思っていたからである。ということはナイロン(multi)で張ると、テニスラケットに加わる加重が減少しにくいと言うことになる。プレイヤーからはストリングのテンションが落ちにくいと感じるであろう。

.

●まとめ

今まで材料力学的な視点に立って、ストリングを研究し、私が得たデータの範囲では次のことがいえると思う。

1 初心者 ナイロン(mono

  ヤング率が低い(最も柔らかい)ので、ボールを打つとき手への負担が最も少ない。しかし、切れやすいという欠点があるが、初心者の遅いスイングでは、なかなか切れないであろう。

2 中年以上の男性&女性 ナチュラル(gut)orナイロン(multi)

  2つともポリエステルよりもヤング率が低く、とりわけナイロン(multi)は耐久力があ。しかし、ナイロン(multi)はヤング率が比較的に高いので、初心者や中年以上の女性には、テンションを少し落として張ったほうがテニス肘防止になる。

  ナチュラル(gut)の一番の特徴は、ボールの飛びが良いことである。この飛びの経年劣化が最も少ない。だから、切れさえしなければ長く使ってもストリングとして劣化しにくい。したがって、うまく使えば、わりと経済的かもしれない。

  しかし、最近は表面加工されているとはいえ、水分を含むと強度が落ちるので、雨の降る中でのプレーは厳禁だ。

3 コントロール重視の方 ポリエステル  

  ヤング率が高い(固い)のでストリング面が変形しにくい。しかも強度が高いので強打しても切れにくい。固いためテニス肘にはなりやすい。

4 張り上げテンション

  10ポンドくらい違っても、殆どの人が分からない。なぜなら、ラケットにボールが当たって、ボールが飛び出す速度、それにボールのスピンに全くといってよいほどテンションの影響がないからだ。そのことは考えると、故障防止のため、テンションは低めに張ったほうが良い。


                                                (株)五日市テニスクラブ 土井和士


関連ブログ


ガットの機械的性質についての考察



AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

五日市テニスクラブさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。