2010-06-16 20:50:34

命の重さを知りなさい~「告白」

テーマ:日本映画・カ行

『告白』
(2010年・日本/106分)

公式サイト

いつから人の命はこんなに軽くなったんだろう。

社会が、家庭が、教室が、壊れていく。

壊れた人間が住む壊れた世界には愛も許容も抱擁も無い。

自分勝手な憎しみと疑惑だけが怨念と化して渦巻く。

その向こうに見える狂気は戦場で繰り返される殺戮と同じ。

それぞれの生きる世界でしか成立しない勝手な理由で

互いの命をゲームのようにただ奪い合う。

憎しみの対象に照準を合わせたとき、

その先に見える歪んだ世界の中で、

命の重さは果てしなく軽い。

殺人に加担していないつもりでも、

人は気付かぬうちに他人の心を殺している。

大切なものを奪われる立場になって

初めて人の痛みを知るなんて。

大人になりきれない大人と、

大人になれない子どもが作り出した

恐怖の世界へようこそ。

ひょうたんからこまッ・Part2
<スタッフ>
監督:中島哲也
原作:湊かなえ「告白」
脚本:中島哲也
<キャスト>
森口悠子:
松たか子
寺田良輝(ウェルテル):
岡田将生
下村優子(少年Bの母親):
木村佳乃
森口愛美:
芦田愛菜
桜宮正義:
山口馬木也
戸倉:
高橋努
少年A(修哉)の父:
新井浩文
少年A(修哉)の母:
黒田育世
少年A(修哉)の継母:
山田キヌヲ
渡辺修哉
:西井幸人
下村直樹:藤原薫
北原美月:橋本愛
伊藤優衣、井之脇海、近藤真彩

清水尚弥、芦田愛菜、他


原作は
湊かなえさんの同盟小説「告白」。

2008年度の週刊文春ミステリーベスト10第1位
このミステリーがすごい!で第4位
2009年度本屋大賞を受賞しています。


~「命」の重さの意味~

注:以下多少ネタバレを含みます。

中島哲也監督の作品は、

「下妻物語」「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」の3本を鑑賞しています。

あの独特の色を持つ映像描写とパワフルな作風にまず惹かれましたが、

特に、原作の色を損なうことなく

中島カラーで見事に味付けしていた「嫌われ松子の一生」は、

2006年度日本映画ベスト2に選んだくらい気に入った作品です。

(この年のマイ・ベスト1は「フラガール」でした)

また、「下妻物語」も未だに何度観ても楽しめるお気に入りの作品です。

全て中島ファンタジーとでも名づけたいような独特の浮遊感と明るさが作品に漂い、

突き詰めていけば悲惨な内容物語だった「嫌われ松子の一生」も、

中島監督の手にかかってしまえば何処と無く笑いもこぼれるシーンもあったりで、

救いのある結末になっていました・・・。


そして、今回もそこに期待をしてスクリーンに向かいました。


でも・・・愕然。


凄い。

これは、凄い映画です。


良い意味で甘い結末への期待を裏切られました。

生半可な希望や笑いの要素が一切排除されたストーリー。

そして心の痛む結末。

テレビで流れている予告CMは、

完全に鑑賞前の観客をミスリードしていると思います。

「エンターテインメント」と言う表現も「面白い」と言う表現も、

(私にとっては・・・ですが)この作品には当てはまりません。

5人の「告白」が、

文字通り観る者の「命」に突き刺さります。

「教育」そのものが崩壊してしまった現場、「教室」。

人・ひとりも育てることの出来ない、「家庭」と言う器。

この物語に登場するのは、

自分の殻の中でしか物事を考えられない未成熟な人間ばかりです。

物事の結末が悪ければ、原因を他人に求めてしまう彼ら。

だから常に怒りは外に向かって発信されます。

自分自身で消化できない怒りや不満に対する償いを他人に求めます。

少年A・Bはもとより、彼らのクラスメートも、

モンスターペアレントの母親も、しかり。


復讐の巻き添えになって罠に陥っていく熱血教師さえも

ある意味で同類の未成熟な大人でした。

一見被害者のように見える彼も、

実は自分の尺度でしか人の心を計ることの出来ない欠陥人間でした。
自分の行動に酔いしれる熱血漢。

彼の行為がひとりの心を狂わせ、

ひとつの殺人を成立させてしまう要因にもなっていくのですが、

結局彼の目には最後まで真実は見えていなかったのですから。


そして最初の「告白者」となる森口悠子と言う人物。

彼女は娘を殺された復讐という名の大儀の下で、

間接的に多くの人間の心を破壊し間接的に死に至らしめます。

実は彼女のモンスター度は登場人物の中では最大かもしれません。

憎しみから生み出されるのは憎しみの連鎖。

復讐を終えた後の森口の手は、

少年Aや少年Bと同じ色に染まっているはず。

「命の教育」

彼女の「授業」は生徒たちに何を伝えたのでしょうか。

一連の流れの中で、

果たしてあの教室の37人は何を理解できたのか・・・。


そして少年AとBには伝わったのでしょうか。

「命」と言う言葉の意味とその重さが。


誇張して描かれているとは言え、

この物語の全てを非現実的と言い切れない怖さが今の社会にあります。

「どっか~ん!」
この事実こそ、

物語のラストで教師森口が、

スクリーンの前の観客全てに対して仕掛けた真の爆弾、

そして真の恐怖。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 


鑑賞後に眩暈のような心の重さ・心地悪さを引きずる・・・、

そういった感覚を味わった久々の名作でした。



「告白」の映画詳細、映画館情報はこちら >>


下妻物語【Blu-ray】/深田恭子,土屋アンナ

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嫌われ松子の一生 通常版 [DVD]/中谷美紀,瑛太,伊勢谷友介

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パコと魔法の絵本 [Blu-ray]/役所広司,アヤカ・ウィルソン

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告白 オリジナル・サウンドトラック/サントラ

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コメント

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4 ■mayさんへ。

とにかく凄いとしか言いようのない作品ですね。
mayさんの感想楽しみにしていますね。

3 ■私も

観てきました。予告編で想像していた展開で驚きました。感想は、今、まとめ中。簡単に言えないよね~

2 ■KLYさんへ。

,コメント&TBありがとうございます。
>冒頭の松さんのセリフ、原作では50ページ以上にも渡るんですね、驚きました。
そうねんですか、凄いですね!
あの坦々とした台詞と無表情な顔に鬼気迫るものを感じました。
中島監督はそれぞれの作品の中で女優さんの新たな一面を発掘してくれるので、監督の作品ではそれも楽しみにしているのです。

1 ■こんばんは^^

仰るとおり凄い作品でした。
観終わってから原作を読んだのですが、一部にある原作を越えたという意見の通り、私もこの作品は原作を越えていたように思います。
もちろん内容的には殆ど同じですが、それでなくても問題作なのに、中島監督と松たか子さんがこれを映像作品として更なる高みに昇華させたというか。
冒頭の松さんのセリフ、原作では50ページ以上にも渡るんですね、驚きました。

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