2008-08-08 23:59:59

孤高のヒーロー「ダークナイト」

テーマ:海外映画・タ行

『ダークナイト』
THE DARK KNIGHT

(2008年・アメリカ/152分)
公式サイト
ジャパンプレミア試写会にて鑑賞
『ダークナイト』ジャパンプレミア試写会・舞台挨拶/レポ
『ダークナイト』ジャパンプレミア・レッドカーペット/レポ
犯罪と腐敗の街、ゴッサムシティ。

人を信じる気持ちが、そのまま自己保存の否定に繋がる街。
悪意と欺瞞が渦巻く汚染された空気の中で、

いつしか人々は呼吸困難に陥って行く。
「いったい何を信じて生きれば良いのか!」
永遠に出口の見つからない暗闇のトンネルを歩き続けるうちに、

人々の記憶から消え去った「希望」と言う文字。

微かに甦りかけたその二文字を
再び消し去ろうとする邪悪な意思が、
苦悩のヒーローを究極の選択に追い込む。

正義とは?
真のヒーローとは?
私たちを奈落の底に突き落とす「究極の悪意」の存在。

消しても消しても尽きることなく
地獄の底から湧き上がって来る「彼ら」と、
命を懸けて対峙できる者が、
果たしてこの世界に本当に存在するのか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
絶望の淵から人々を救うために、

「その時」、
「ヒーロー」が、
「受け入れた運命」を人々は知らない。
漆黒の暗闇に立つ孤高のバットマンの後姿に、
私たちはただ涙を流すしか無いのだ。

ダークナイト ダークナイト
<監督>
クリストファー・ノーラン
<原案>
クリストファー・ノーラン/デヴィッド・S・ゴイヤー
<脚本>
ジョナサン・ノーラン/クリストファー・ノーラン
<撮影>
ウォーリー・フィスター
<音楽>
ハンス・ジマー/ジェームズ・ニュートン・ハワード
<キャスト>
ブルース・ウェイン/バットマン:
クリスチャン・ベール
ジョーカー:ヒース・レジャー
ハービー・デント/トゥーフェイス:アーロン・エッカート
レイチェル・ドーズ:マギー・ギレンホール
アルフレッド・ペニーワース:マイケル・ケイン
ジェームズ・ゴードン:ゲイリー・オールドマン
ルシウス・フォックス:モーガン・フリーマン
ジョナサン・クレイン/スケアクロウ:キリアン・マーフィ
サル・マローニ:エリック・ロバーツ

ダークナイト ダークナイト ダークナイト

全ての才能が奇跡と呼ぶに相応しい化学変化を起して、

完璧とも言える作品を作り出しました。


最早「ダークナイト」現象と言ってもよいほどの、
記録的な興行成績を更新しつつある本作品。

作品に参加した監督・脚本家・キャスト、

その全ての持てる才能が最高の形で開花・結実し、
正に芸術品とも言って良いほどの完成度を見た作品となりました。
クリストファー・ノーラン監督が「バットマンビギンズ」 の続編に描いた夢は、
前作の枠組みを清々しいほど潔く突き破り、
想像を絶する広大な「悪夢」と僅かに残された「希望」とが、

3次元に絡み合う世界へと私を誘ってくれました。
スクリーン上に描かれる「映像」、それは2次元の平面でしかありませんが、

「ダークナイト」鑑賞後の私の心の中に描き出された様々なイメージと思いは、
あまりに重く、そしてクリアで、
「究極の悪意」と「究極の正義」をさらに深みと奥行きのある世界に投影させたのでした。

あの日「ダークナイト」を鑑賞し終わった直後から、

私の心の奥底で重く何かがざわついています。
それは、監督が作品に込めたメッセージが持つ、

「毒にも似た強い意志」が作り出すざわめきかも知れないし、

ヒース・レジャーが身を削って作り上げた世界が残した、

「強烈な残像」のざわめきなのかも知れません。

あるいはクリスチャン・ベールが演じるバットマンが、

もはや架空の存在とは思えない存在感を持って、

彼の抱える苦悩を私の心に投影しているからなのか・・・。

 

この作品は成熟した年代の成熟した魂を持つ人に、

まず観てほしいと思います。

ヒース・レジャーの演じるジョーカーは、

かつて見たことが無いほど深く「究極の悪」を表現し具現化しています。
その「究極の悪」の前に成熟前の経験の浅い若い心は、
ふッと魅入られ屈服してしまうのではないか・・・、
そう危惧してしまうほどヒースのジョーカーはスクリーンに生きる「生身の悪」なのです。
彼らにはジョーカーの対角線上に位置するバットマンの持つ
悲しいまでの崇高な正義感にこそ共感して欲しい。

そう心から願ってしまうほど、鑑賞後に私が受けたパワーと衝撃は大きく、

「負」と「正」を見事に対峙させ真正面から描いた作品となっています。


スクリーン上で息づくジョーカーは、まさしく今そこに存在しています。

ジョーカーと言う「仮面」を「全身」に背負い、

果たしてジョーカーが「ヒース」の人格を乗っ取ったのか、

ヒースが「ジョーカー」の魂を飲み込んだのか、

わからないほどの存在感で、ジョーカーはそこに生きています。

今も世界各国のスクリーンの中でジョーカーとして生き続けるヒース。

あまりの存在感に一瞬不思議な気持ちになります。

私たちが今はもう彼を失ってしまったなんて。

史上最凶、最強、最狂なジョーカー。

世界中がその男の存在に息を飲み、言葉を失います。

ジョーカーと言うキャラクターは、
ヒースが最後に私たちに残してくれたとても重く恐ろしいプレゼントでした。

 

ジョーカーの心に潜む闇は、常人に計り知ることは出来ません。

彼が所有するのは、
『ノーカントリー』 のハビエル・ダルデムが演じる殺人者、

アントン・シガーの持つ狂気とはまた違った理不尽さを持つ、「悪意」なのです。

シガーは「コインの裏表」で人の生死を決める冷徹な殺人マシーン。

己のルールに則り獲物を追いつめるように正確に人間を狩ります。

そこには何の感情も存在せず、彼を観る者の心を凍らせました。

シガーが相手に与えるのは「恐怖」と「一種の諦め」です。
理不尽な殺人に対する絶望と、シガーの前で生き永らえることへの諦め・・・。

これが救いようの無い世界であることは確かですが、

ジョーカーの持つ悪意が、より根深いところは、

人が人である由縁である「人として生きる尊厳」を根底から傷つけ、

 

人々から未来への希望すらも根こそぎ全て奪おうとするところです。

さらに性質の悪いことにジョーカーの攻撃目標は個人ではないのです。

彼は「正しい意思」を持った「心」さえも暗闇に転じてしまう策略家であり、

秩序・規範と言った社会構造そのものの破壊者なのです。

何所か滑稽で何所か物悲しく、

自ら死に向かって走っているようにさえ見えるなジョーカー。

笑いを顔に貼り付かせたままの幽鬼の表情には、誰しもが目を奪われるでしょう。
ジョーカーの素性は明らかにされず、

「張り付いた笑顔」の原因も結局最後までどれが本当なのかわかりません。
まるで混沌とした現代を象徴するかのようなその存在に、

彼を見るものの気持ちは暗澹とするばかりです。

鬼気迫る渾身の演技でその悪の権化を表現したヒースは、

まさに役そのものになり切って人を惑わせ続けるのです。

そしてジョーカーと言う役を永遠に自分のものにして、

手の届かない場所に連れ去ってしまったのでした。


しかし、ここで賞賛されるべきはヒースだけではありません。

関わった全ての人が、それぞれ自分の役回りの限界まで上り詰め、
最高の演出をしたこともこの作品の価値をさらに高めています。
152分と言う尺を全く感じさせない濃厚な物語を描いた

クリストファー・ノーラン監督と弟のジョナサン・ノーラン。

人間の善と悪を微妙な対比で描き、

ラストシーンでは、「新たなヒーロー像」を作り出して涙を誘いました。

ゴードン警部補役のゲイリー・オールドマン、

ブルースの協力者のマイケル・ケインやモーガン・フリーマンといった名優が

前回見せたようなコミカルな側面を一切見せることなく、

今回は徹底したシリアスな展開の中に物語を導きます。

また作中で「大きな変貌」を遂げるアーロン・エッカートも、

人間に潜む善意と悪意の住み分けを描き、

この物語のキーとなる重要な役を担っています。

そして特筆すべきなのは、やはりバットマン=クリスチャン・ベールです。
彼がこの作品で魅せたバットマンの何と気高く孤独であることか!

ヒースが新しいジョーカー像を生み出したと賞賛されるなら、

クリスチャンもまた新たなバットマン像を作り上げたことを賞賛されるべきでしょう。

ここには今まで私たちが思い描いていたヒーローはいません。

幼い頃から過酷な運命と共に哀しみ・孤独を背負いつけてきた彼は、

その両親から莫大な遺産と共に、
「正しいと思うことを全うするする心」を受け継ぎました。

自分を律する心。

クリスチャンの演じるバットマンは過酷なまでに己を律し、

孤独と闘いながらひとり戦場に立つのです。
摩天楼の天辺でゴッサムシティを見下ろす彼の姿には、孤独の闇が垣間見えます。
ラストでこの映画のタイトルの真の意味が明かされる時、
きっと誰もが彼のために涙し、心を震わせることとでしょう。

 

 

この物語の行く先々でキーワールドとなるのが「選択」。

ジョーカーはゴッサムシティの至るところに、

残酷なゲームを仕掛け、人々に行く末を「選択」させます。

その時民衆は、どの生き方を選択したのか。

そこには微かな希望の光が感じられます。

 

またジョーカーは「バットマン」にも、ことあるごとに様々な種類の「選択」を迫ります。

「ある選択」は彼にとっては拷問にも等しいものであり、

その選択が招いた結果が
さらにバットマンを苦渋に満ちた選択へと導くことになるのですが、

最後の大きな選択を終えた彼の後ろ姿が今でも強く目に焼きついています。

クリスチャンのバットマンがあの時に見せた表情!

今でも思い出すたびに私は涙してしまいます・・・。

このように余韻が長く残る作品との出会いは滅多にありません。

もう1度、2度劇場に足を運びたい、久々にそう思える映画です。

ただ「正義」を真正面から捉えて口にするのではなく、

人間の奥底にしまってある2重にも3重にも封印された「悪」と「正義」を

見事に表現した作品として心底から喝采したいです。

この作品が遺作となったヒース・レジャーさんのご冥福を心よりお祈りいたします。

 


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