2007-05-28 16:43:58

血液ドロドロ!?

テーマ:分子栄養学


私のクリニック には多種多様な「具合が悪い」患者様がいらっしゃいます。


普通の病院へ行って検査を受けても「異常ナシ」と言われ、大抵は対症療法の薬などを処方されますが、効果がないことが多く、何軒も病院のハシゴをして「病院ジプシー」になってしまっている方も多いです。


そういった方の血液データを拝見すると栄養欠乏はほぼ必発であり、お困りの症状の多くが栄養欠乏の症状に当てはまることを説明すると、多くの方が驚かれます。
(このデータから栄養欠乏を読み取るという方法が、分子整合栄養医学独特のものなのです)


そして栄養療法を行い、栄養欠乏が改善していくと、かなりの方が改善されます(効果には個人差がありますが)。


それほど、栄養状態と健康状態は関連が深いものなのですが、一般的に認識されていないのが現状です。




さて、そのような栄養欠乏にはいくつかのパターンがありますが、最近立て続けにみられたのが、かなりの血液濃縮」がある、というパターンです。



・精神症状(情緒不安定、イライラ、うつ、やる気が起きない、人と付き合うのが面倒、etc)
・だるい
・朝起きられない
・異常に疲れる
・冷え性
・むくみ
・etc…



これらのような症状があり、とにかく何をするにもおっくう、と言った感じの患者様が多いのですが、このような患者様の中には、採血をさせていただくと採血用の真空管に血液が入っていく速度が異様に遅いことがあり、「ん?」と思うことがあります。


医学的な言い方ではないのですが、いかにも

血液ドロドロ!

という感じなのです。


で、後で楽しみに(失礼!)血液データを見てみると、総蛋白の上昇(基準値を超えた)、赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットの上昇、尿比重の上昇などが見られ、「ものすごく血液が濃い」ことがわかるのです。


極端にこのような異常値がみられれば、血液濃縮があることは医師であればわかると思いますが、患者さんは別に脱水状態になるような嘔吐や下痢などを起こしているわけでもなく、水分も普通に摂っていて、血液濃縮になる理由がないため、原因がわからない、ということになりますし、体調が悪い理由と血液濃縮を結びつけて考えることもおそらくないと思われますので、対処の方法がないことになります。


実は、このような状態になる理由は、タン白質の摂取量が非常に不足していることによるのです。


以前の記事 にもありますが、タン白質(特にアルブミン)は血液の濃さを調節しています。
アルブミンは血液中に水を保持するスポンジの役割をしているので、血液中にアルブミンが充分あ
れば血液中の水分量が多く保てるため、血液は理想的な濃度(濃すぎず、薄すぎず)を保つことができます。


しかし、タン白質不足(摂取不足や需要亢進によるタン白質の消費)などにより、アルブミンが減少すると、血液中の水分量が減少するため、血液が濃くなるのです。


血液が濃くなると言うことは、それだけでも血行不良の原因となり、酸素や栄養素が末端の細胞まで届きにくくなるため、色々な症状が起こりますし、循環血漿量が減少しているため低血圧や易疲労、冷え性、むくみなどの原因となります。


これを改善するためには、まずタン白質を摂取すべし、ということになるのですが、タン白質の多い食材というともちろん、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品です。


中でも、私達ヒトがもっとも効率よくタン白質を利用できるのは、動物性タン白質です。


一般的には血液ドロドロというと、お肉や卵は控えよう!!となるのが普通ですが、その逆で、むしろ積極的に食べたほうが良い…という話になるのです。


もちろん血液ドロドロにも色々なドロドロがあって(笑)、この場合はタン白質不足によるドロドロですが、中性脂肪などが高い場合のドロドロもあります(いわゆるメタボ です!)。


この場合も、動物性タン白質を控えるのではなく(脂肪分は摂り過ぎないほうが良いですが)、むしろ体内で最も脂肪に変わる物質、すなわち

糖分(炭水化物)を控えなさい!!

ということになります。



ちなみにデータが基準値内で一見全く問題なく見える場合でも、タン白質不足がある場合には血液濃縮はほとんどあると言えます。


いわゆる「常識」とされている健康情報には多くの点で誤りがある…、ということがお分かりいただけることと思います。





2007-04-21 00:30:14

ソマリアの子どもの血液データ?

テーマ:分子栄養学

先日たまたまある7才のお子さんの血液データを拝見する機会がありました。


私が直接には存じない患者様なのですが、そのお子さんが(ご家族が?)困っていらっしゃることは、


・極端な偏食である(食べる量が少ない、野菜をほとんど食べない、お肉は食べる、糖質系はよく食べる)

・あばら骨がみえるほどやせている

・背が伸びなくて体が小さい


ということでした。


元気はよく体調的にどうということはないそうなのですが、データを見ると


・貧血

・低蛋白

・鉄欠乏

・低コレステロール

・低中性脂肪

・ALPが低い(成長期の割には)


と明らかな栄養失調状態でした。


蛋白と貧血の値は正確にはわからなかったのですが、総コレステロールが130しかなく、そして中性脂肪がなんと11(!!)しかありませんでした。

中性脂肪の理想は100前後です。


中性脂肪11、総コレステロール130というのは、総摂取カロリーが極端に少なく、栄養不足(タン白質不足)であることを表しています。


コレステロールはホルモン(性ホルモンやステロイドホルモン)や細胞膜の材料として必須であり、その不足は成長に影響を及ぼします。

(なぜタマゴにコレステロールが多いのか…?受精卵がヒナになるために必要だからです!タマゴの栄養についてはこちら


またALPは600台でしたが、6~9歳の子どもにしては低い…、このくらいの子どもは大人の基準値の上限の3倍はALPがないと発育に問題を来たします。


つまり800~900くらいはないと背が伸びない…、というわけです。


ALPは含亜鉛酵素なので、亜鉛の不足で低下します。

つまりALPの低値は亜鉛の不足を意味しているのです(大人であればとても高い数値ですが…)。


亜鉛は細胞分裂に必要なので、発育、成長には必須のミネラルです。


タン白質不足・貧血・鉄欠乏・亜鉛欠乏(おそらくビタミンB群欠乏もあるでしょう)では大きくなれません。




私の恩師が、「ソマリアの子どもの血液データを持っているけど、この子はそれと同じデータだね…」と言っていました。



この患者様が特殊なケースであることを願いたいものですが、今の子どもの食環境を考えると、怖ろしいことに決してそうは思えないのです。


この日本で、ソマリアの子どもと同じ栄養状態の子どもがいるとは…(決して虐待されているわけではありません!)。




深く考えさせられた一件でした。



この場合、まず親御さんに啓蒙をきちんとしなければいけないね…、という話でした。





2007-04-17 21:18:54

プロテインが苦手…?

テーマ:分子栄養学


前回は、栄養療法の効果を充分に発揮するためにはタン白質が重要なポイントである、ということについてお話しました。


プロテインがなかなか飲めない、という方は多いのですが、そこをしっかりとやっていただくかいただかないかで、結果に違いが出てくるのです。


プロテインが飲めないのは、単純に面倒だから(水や牛乳などに溶かさないといけないので)、という場合もありますが、多くの場合は「胃が張る」「気持ちが悪くなる」「ガスが出る」などの胃腸症状が出るために、飲むのが嫌になってしまうことが多いようです。


当クリニックで使用しているプロテインは、ペプタイド加工といって低分子加工しているので、市販されている普通のプロテインに比べると胃腸症状が出にくいのですが、それでも胃が張る…、という方は結構いらっしゃいます。


これらの症状は


・ 胃酸の分泌が少ないために(日本人の多くは胃酸の分泌が少ないのです)ペプシノーゲン→ペプシン(タン白質分解酵素)への変換がうまく行われず、タン白質が切断されずに大きな分子のままとどまってしまい、胃から腸へ送られにくいため、いつまでも胃が張ってしまって気持ちが悪くなる


・ タン白質がアミノ酸まで消化されずに大きな分子のまま腸へ移動すると、腸内細菌のエサになってしまうため、ガスが多く出る


などの理由によって起こります。


これらは確かに嬉しくない症状ではありますが、我慢して栄養療法を続けていただくと、徐々に良くなってきます。


胃酸を分泌する細胞をはじめとして、消化管の細胞もタン白質でできています。
消化管の平滑筋を丈夫にして消化管の動きを活発にするにもタン白質が必要です。
タン白質をはじめとした栄養素を摂取していくことで、消化機能も改善していくのです。


タン白質を一番摂っていただきたい消化機能の低下した方ほど、プロテインを飲みにくい、というのは困ったことですが、それだけ消化機能が落ちていると言うことなので、しっかりとそれを改善するつもりで飲んでいただきたいと思います。


また、一度に多くのプロテインを(と言っても普通1回10g程度のものですが)摂っていただくのがつらい場合は、


・ 小分けにして飲んでみる
・ 好きな飲み物に混ぜてみる(カフェオレ・ミルクティー・シェイクなど)
・ 料理に混ぜてみる(味噌汁・ヨーグルト・ホットケーキ・カレー・シチューなど)

・ 消化剤などを併用してみる


などの工夫をしていただいて、とにかくタン白質をしっかり摂る…、という努力をなさっていただきたいと思います。


ちなみに、日本人は胃酸の分泌が少ない人が大多数です。

なので、安易に「○スター10」などの制酸剤を飲んでも逆効果であることがありますので、胃の症状がある場合はペプシノーゲン等の検査をお受けになられた上で薬を処方してもらうことをお勧めします。





タン白質の重要性についてはこちら



2007-04-16 00:39:48

ポイント イズ タン白質。

テーマ:分子栄養学


栄養療法の効果には、当然ながら個人差があります。


3ヵ月後の再診で、ほとんどの例で著名な改善~何らかの改善効果を認めますが、期待したほどの改善効果が得られない場合ももちろんあります。
(*病態によっては、病態改善に時間がかかるため3ヶ月では効果判定には早すぎる、という場合もあります)


その場合、考えられる理由として、栄養素の量が必要量より少なかった、または栄養素の吸収能力が低下している、などの理由が考えられますが、実は栄養療法の効果に大きく影響する要素の一つが、

「タン白質が十分摂取できていたかどうか」

なのです。


・ カプセルや錠剤などの粒は飲めるけれど、プロテインだけが飲めなくて余ってしまう
・ サプリメントで摂っているからいいや!と食事できちんとタン白質を食べていない


などの場合、効果が全くでないということはありませんが、期待した効果が得られない場合が多いのです。

それは何故なのでしょうか?


栄養療法の目的のひとつは、体の中を
「異化=同化」
の状態にするということです。


異化とは「体の組織が壊される」ことであり、
同化とは「食べたものが体の組織になる」ことです。


人間の体は活発にターンオーバー(新陳代謝)しており、常に「異化」と「同化」を繰り返しています


タン白質は必ず古くなると壊され、細胞は寿命がきたら必ず死にます。
小腸粘膜の細胞は2日、皮膚細胞は28日、赤血球は120日で寿命がきます。
つまり人間の体は、放っておいたら壊れていく、「異化」の方向に進んでいくのです。


しかし、壊れっぱなしだったら人間の体はすぐに老化して死んでしまいますが、実際には細胞が分裂することにより、細胞が死んだ分をカバーしています。
つまり「同化」です。


細胞が死んでも、その分の数や質を保って細胞が生まれ変わっていれば、老化も病気も起こりにくい、ということになります。


細胞がちゃんと新陳代謝して、望ましい状態でターンオーバーするには、当たり前の話ですが材料が必要です。

その基本的な材料は何か…、当たり前ですが、タン白質なのです。


体を木造建築に例えると、タン白質は木材そのものです。
ではビタミン・ミネラルは何か…、というと大工道具に当たります。例えば釘やトンカチ、ノミやのこぎりなどと思っていただければわかりやすいでしょう。
釘やトンカチも必要ですが、それだけあっても材木がなければ家は建たないのと同じで、ビタミン・ミネラルだけ摂れていても、タン白質が不足していてはターンオーバーがうまくいかないのです。


一般的な日本人はタン白質不足なので、

異化>同化」のパターンになっています。


「異化>同化」では老化します。
また病気になりやすくなります。


「異化=同化」の状態にすることが、病態改善、老化防止(アンチエイジング)には必要不可欠なのです


逆に言えば、ターンオーバーは「材料次第」です。


粗末な材料しかなかったら粗末な家しか建たないのと同じように、口から入ってくる栄養素が乏しければ、それなりのターンオーバーしかできないのです。


つまり、「異化=同化」の状態にし、最適な健康状態を保つために、栄養療法の効果を出すために、タン白質は必要不可欠であり、最重要ポイントである、と言っても過言ではないのです。



また、体の中でいろいろな化学反応を行っている「酵素」(血液データで見ている項目の多くを占めているのは酵素です)はタン白質でできていますから、タン白質不足では酵素活性に変化が起こりにくく、データが変わらない、要するに体内環境が改善しない、ということになります



栄養療法をせっかくやっているのだから、やっていただいているのだから、できうる限り最大限の効果を出したい!


そのための重要ポイントがタン白質、すなわちプロテインでありアミノ酸であり、食事でのタン白質摂取です。


一番面倒くさいですし、人によっては症状のため摂りづらい…、ということも確かにあるのですが、タン白質の重要性をしっかり理解していただき、努力して摂っていただきたいと思います。



タン白質の重要性についてはこちら






2007-02-06 23:10:20

花粉症の栄養対策

テーマ:分子栄養学

そろそろ花粉症の季節ですね。


花粉症はアレルギー性疾患の一つですが、アレルギー対策で大切なポイントのひとつが、粘膜を丈夫にすることにあります。


鼻や胃腸の粘膜は、人体と外界を分けるまさにバリアであり、免疫反応の最初の関所として重要です。


粘膜を丈夫にするために重要なことは、ビタミンAタン白質です。


栄養療法では、粘膜や皮膚のトラブルがある場合、粘膜を健やかに保つ目的でビタミンAを使います。


ビタミンAは「細胞の分化(未熟な細胞がそれぞれの機能を持った成熟した細胞に分かれていくこと)」に関わっています。


丈夫な皮膚や粘膜をはじめ、血液・骨・肝細胞なども、それぞれの組織がきちんと作られるためにはビタミンAが非常に重要なのです。

(なのでビタミンAは、皮膚疾患・胃腸疾患・がん・慢性炎症性疾患・白血病・肝臓病・骨粗鬆症などの治療にも非常に重要です)


ビタミンAにより粘膜を健康に保つ=粘膜でのバリア機能を維持する、というわけです。


また、鼻の粘膜(腸などもそうですが)を覆う粘液を産生するためには、ビタミンAが必要となります。


もちろん、粘膜はタン白質でできているため、タン白質をしっかりとることがとても重要です。


また粘膜のコラーゲンをきちんと作るためにはタン白質ビタミンC必要です。


鉄欠乏では粘膜が弱くなるため、感染やアレルギーを起こしやすくなりますので、注意が必要です。


花粉症の方や風邪を引きやすい方は、粘膜の機能が落ちている可能性が高いです。


そういう場合はまず栄養欠乏を疑って、動物性蛋白を含めて食事をしっかり摂る、サプリメントを利用する、などの対策をとることをおすすめします。