子猫を助ける  ほっ      花輪和一の「猫の聖地」 くじらいいく子の「満腹天」 |   心のサプリ (絵のある生活) 

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画家KIYOTOの病的記録・備忘録ブログ
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 いつものように、散歩していたら、子猫が、なんと水はほとんどない川床で、ニャアニャアないているではないか。

 驚いた。

 いつもの散歩のコースなので、誰かが猫を棄てたのかと、あたりをキョロキョロしたが、誰もいない。

 遠くの家からその猫を見つけた子供と母親が見えたが、ただ、手で指さしているのみ。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 私は、どこからこの子猫が落ちたのか、自分から水を飲みに落ちたのかチェックしたが、わからない。

 よくよく見ると。

 階段がついていた。

 

 そこで、鍵のかかっている鉄の柵から、この年齢なので大変だったが、よいしょと柵をのりこえる。

 そして、階段はすべるので、鉄の棒をにぎりつつ、おそるおそる川床へ。

 もう泥だらけになりながら、子猫にちかづく。

 

 子猫は、私を見つけて少し逃げる様子をみせたが、あきらめたように、抱かれる。

 右手でもうガリガリの子猫を抱きしめ、左手で、鉄の梯子をのぼって、草むらに子猫を追いたら、さぁーと子猫は逃げてしまう。

 

 

  でも、良かった。良かった。

 

 あのまま、ほおっておくわけにはいかない。

 水の深さは日々変わるので、雨でも降れば、流されて溺れてしまったことだろう。

 

 ほっ。

 

 泥がばっちりついたスニーカーを、見ながら、またまた、散歩のコースにもどった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・なにやら、小さな命を救ったら、気もちが良くなった。

 

 ふと、花輪和一の「猫の聖地」のことを思い出した。

 昨日は、猫の夢をみたし、友達から、電話をしていたら急に一度も家に入ってこなかったベスという猫が今入って来たとかいいながら、笑っていたことを思い出す。

 

 

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花輪和一の「猫の聖地」。

 この人は、マニアックな漫画ですでにかなりのレベルの方。

 いつもの不気味な線ではあるが、少し週刊誌向きなのか抑えているところが、

 かえって彼の才能の大きさを感じる。

 

 「寸止め白日昇天」という言葉がテーマ。

 子供の頃は、バタンキューですぐに眠れるのは、昼と夜のあいだに、「寝入り端」という世界があるからだという。

 

 

 年をとるとなかなか寝れないのは、その世界が狭く薄くなるからだという。

 

 河合隼雄さんではないが、生と死の間は突然に洗われるものではなくて、それはともに、つながっているものである。

 

  人も動物も草木も眠る時にはつながっている・・・これは私もいつもそう思っているが、おそらくユングの集合的無意識あたりからのヒントか。

 

  物語としては、動物虐待を繰り返して喜んでいる連中に天罰を下そうとする、70才くらいに見える実は30才の男性。

 

 

  ここにも、黒猫と少女が、あの独特の線ででてきて可愛い。

 (以前も、五十嵐大介のはなしぱなしを上下買ってしまったが、この作品が載っている「みずほ草子と日本昔話は、買ってしまうだろう。)

 

 

  最後は寸止め完成した男性が、復讐の夢を語りながら、ブッダのように寸止め成就していく至福を書いている。

 

 

  おそらくものすごい日本の古典の読書量から生まれた作品だと思う。

 

  それを、可愛い少女と黒猫とのからみで、動物を愛する人達のために、福が集まるように、修行に励んで来て最後に寸止めする男性をさらりと書いていて、わかりやすく、読みやすい。まさに、漫画だからこその世界。

 

 

 

 

  折口信夫やらの本を読む若者など今はいないので、このような漫画から、興味を持つというのもまた漫画の役割かも。

 それにしても、もう、日本の漫画は、世界の漫画のトップをはるかに超えていると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 最近漫画創作のヒントを見つけるために、数冊ビックコミック系の週刊誌をチェック。昨日は、二編、自分の好きなタイプの作品発見。そこに猫の話しがあったのだ。

 

 オール作品読み切りのビックコミックオリジナル。あるいは、オムニバスか。

 

 

  そのもうひとつは、「ぜつぼうごはん」。

 満腹天という少女が、

「人生最後の食事」はなーに食いたいかぁ、とトラックの運転手に問う、不思議な作品。

 

この先の小骨トンネルでもう少ししたら死ぬんだもん」と少女が言うが、男は、なーにバカ言ってんなよ、と笑うのみ。

 

 満腹天の少女は彼が大好きな、いつもとあるサービスエリアで「かおりさん」という美女がつくるチャーシュードンが大好き。

 

 たまたま売り切れで、また明日来ようとしている彼に、最後の食事としてこのチャーシュードンをつくって上げる少女。

 事故の起きる寸前に、その料理は完成し、トラックを運転しながら食べるという設定だから、時間と空間をさておいて、作者の書きたいイマジネーションで書いている。

 

 死ぬまえに、女にもてないトラックのとある運転手が、優しくいつも弁当をつくってくれた思いでに包まれながら成仏するという物語。独特のユーモアと哀しみ。

 

 


 

  Amazonでは、ほぼ、もはや漫画は紙としては販売せずに、kindleとして発売しているので、日本語をそのまま英語翻訳にできる機能がついていれば、ますます、世界中の若者が、日本の漫画の虜になると思う。

 

 

 たとえば、手塚治虫の「火の鳥」などは英訳されているが、紙としての価格が、ほぼ一冊6000円もする。これじゃあ、外国人も買わないだろう、買えないだろう。

 

 その意味では、kindleの役割は価格を落として、たくさんの人に読んでもらえる役割があると思う。(個人的に、普通の本は、紙の方を愛するものであるが)