「何とか家族と一緒に住もうと一生懸命やってきたつもりが、変に利用されてしまいました…」。覚せい剤取締法違反の罪に問われた男性被告(44)の初公判が9日、東京地裁で開かれた。覚醒(かくせい)剤の密売人をしていた被告が打ち明けたのは、離れて暮らす子供たちへの“親心”だった。(滝口亜希)

 起訴状によると、被告は1月21日、東京都世田谷区の路上で、覚醒剤の結晶約2グラムを所持していた。

 検察側の冒頭陳述などによると、もともと、被告は元妻と8~15歳の3人の子供との5人暮らし。しかし、約2年前、養育上の問題を理由に児童相談所の職員が被告宅から子供を引き取ろうとした際、これを止めようとしてもみ合いに。職員の歯が折れるなどしたため被告は傷害容疑で逮捕され、子供たちも施設入りを余儀なくされたという。

 被告は、なぜ薬物犯罪に手を染めてしまったのか。

 コンピューターソフトの開発技術を持っていた被告は、留置場で知り合った暴力団関係者の男に、スナックの売り上げ管理ソフトの作成を依頼される。仕事を探していた被告は快諾したが、カードの決済処理を次々と頼まれるように。不正請求の片棒を担がされていたことに気づいた被告は、神奈川県警に通報したという。しかし、証拠不足を理由に取り合ってもらえず、待ち受けていたのは別の暴力団関係者だった。

 「もうかる予定だったものがもうからなくなった。(密売人として)働いて借金を返せ、と言われました」

 こうして、被告は密売人として働きだす。“パクられ要員”と呼ばれ、摘発される危険性が高い新規顧客への受け渡しを担当。一方、“借金”は減るどころかノルマ未達成を理由に増え続け、逮捕時は「所持金もなく、服もボロボロだった」(弁護人)という。

 逮捕されたことについては「ある意味ほっとした」と本音をのぞかせた被告は最後に「強い意志を持っていきたい」と誓った。

 「これからは、お子さんに恥ずかしくないようにしないと」という裁判官の言葉が伝わっていることを祈りたい。判決は23日。

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