北九州市の北九州八幡東病院の元看護課長(控訴審で公判中)が、入院中の認知症患者の爪を切って出血させたとして傷害罪に問われ、昨年3月の一審判決で懲役6月、執行猶予3年を言い渡された裁判をめぐり、日本看護管理学会(理事長=鶴田惠子・日本赤十字看護大教授)はこのほど、意見書を取りまとめた。基本的看護としての爪切りの妥当性や看護管理者によるケアの質の保証などから、「傷害事件ではないことを確信する」と主張している。

 判決文などによると、元看護課長は2007年6月、入院中の認知症患者2人の足の爪を爪切り用ニッパーで深く切り取り、爪床部分に軽度出血などのけがを負わせた。

 意見書では、患者の爪床が露出するほど深く切り取られたことについて、デブリードマン(創傷治癒を促進するために壊死組織を除去する外科処置)の観点から、「創傷治療の原則に則ったものと考えることができる」と指摘。それを放置した場合、爪がシーツや衣類に引っ掛かり、予期せずはがれることが予測されるとし、「専門職である看護師がアセスメントしケアに至ったのは当然」としている。

 一方、元看護課長が働いていた職場環境に関しては、「創傷治癒に関する理解が遅れている」「ケアに対する方針が理解されない人間関係など職場環境の問題が容易に推測される」などの見方を示し、「被告人はむしろ看護の質の保証を実践しようとした」としている。

 同学会は昨年末の理事会で意見書の作成を決め、年明けに学術活動推進委員会(委員長=井部俊子・聖路加看護大学長)が取りまとめた。鶴田理事長は裁判の行方を「今後も引き続き注視していく」と話している。


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