世界最大のサンゴ礁、オーストラリアのグレートバリアリーフの沖合を初めて掘削し、過去2万年間の気候変動の解明を目指す調査が、2月上旬から始まる。日米欧などの「統合国際深海掘削計画(IODP)」の一環で、横山祐典東京大海洋研究所准教授ら約30人の国際研究チームが掘削船に乗り、水深40~200メートルから既に死んだサンゴの化石を採取する。
 グレートバリアリーフは世界遺産であり、豪州当局から掘削調査の許可を得るのに長年かかった。研究チームの共同首席研究者を務める横山准教授は「最初で最後の掘削かもしれない。将来の気候変動を予測する上で、熱帯域の過去の水温変化などのデータは非常に重要だ」と話している。
 深層掘削調査は、これまで南極大陸やグリーンランドなど極域の氷床が多く、熱帯域のサンゴ礁ではカリブ海のバルバドス島沖や南太平洋のタヒチ島沖でしか行われたことがない。ドリルで掘削して円柱状の試料(直径約8センチ)を採取し、サンゴやプランクトンの化石などを化学分析すると、当時の海面水位や水温、塩分などを推定できる。地球の気候は氷期と間氷期を繰り返しており、2万年前は前回の氷期のピーク、1万年前は終わりに当たる。当時の平均水温や比較的近い南極氷床がどのように解けて海面が変動したかを、コンピューターの気候モデルと組み合わせて検討すると、現在の状況を判断し、将来を予測するのに役立つ。太平洋の東西で水温がシーソーのように変動するエルニーニョ・ラニーニャ現象の過去の傾向や、二酸化炭素(CO2)排出量増加に伴う海の酸性化、グレートバリアリーフの形成過程の解明も、今回の調査目的だ。研究チームの船は2月4日ごろに豪タウンズビルを出港し、3月下旬まで掘削航海を行う予定。掘削や試料分析には東大のほか、産業技術総合研究所、名古屋大、岡山大、琉球大の研究者が参加する。 

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