2014年08月10日

帰る家

テーマ:上京後
先日、海外に出るには短すぎるこま切れ肉のような夏休みを与えられまして(ご丁寧に宿題付きだったわ!)、こういう中途半端な休みの場合は、行き先は常に実家一択。
今年は正月、3月の連休、GWに続いて4度目と、かなり頻繁に帰っておりますね。
御年92歳と89歳の祖父母にも、人生であと何回会えるか分からないので、父と二人で田舎にも行きました。正月の帰省時、祖父が風前の灯火といった雰囲気でもう長くないのでは…と思いましたが、デイサービスに通うようになって、急激に元気を取り戻していました。よかった…。

さて、わたしは、3年半の長旅の間、皆無と云っていいくらいホームシックにかかったことはありませんでした。少しくらい、家族や故郷を思って枕を濡らす夜があってもよかろうと我ながら思いましたが、道中つらいことや気の滅入ることが続いても、不思議と「家に帰りたい」という気持ちにはならなかったのです。
ところが昨今、実家に帰ると決まって猛烈なホームシックに襲われます。
ホームシックというのは、遠くにありて思ふものかと思いきや、わたしの場合、実家にいるまさにそのときに罹患するようで、東京に戻る日の前夜と当日は特に重症、帰りの夜行バスでは何かにとりつかれたように涙が止まらなくなり、声を殺して暗闇の中で泣いております(こんな奴がバスの座席で隣だったらやだよね…)。
毎回、最寄りの駅から夜行バス乗り場へと向かう道のりは、夜逃げのような暗い寂しさに満ちていて、物思ふこと限りなく、ちょっとした苦行ですらあります。
それなら新幹線で、もう少し早く帰ればよかろうと思うのですが、金をケチってしまうのと、少しでも長く滞在しようという二重のいじましさが働いて、帰りが猛烈に寂しかろうとも、どれほど睡眠不足のつらい道中になろうとも、翌日の仕事がきつくなろうとも、往生際悪く23時~24時台のバスを選び、1分1秒でも長く実家に居座ろうとしてしまいます。
最も、東京に戻るとわりとケロッと忘れてしまうので、いっそ実家に帰らなければそんな寂しさを味わうこともないのかもしれませんが、故郷を離れる寂しさ、これは忘れてはならない感情なのだと思うことにしています。

東京暮らしもずいぶんと長くなりました。
未だに東京は出稼ぎの土地という感じを拭えませんが、果たして大阪に再び帰って住むことがあるのかと考えると、現実的な期日が浮かんできません。
無論、どうしても帰らねばならない事態になれば、きっと帰ります。でもそういう事態とは親の病気や介護、はたまたわたしに病気が見つかるなどのマイナス要因しか思いつかず、そんなことはさすがに望まないわけです。
実家で、父がテレビを観ている隣で、寝転がって読書をしていると、これこそが本当の幸せの形なのではなかろうか…という気がしてきて、東京に戻って会社で働く暮らしにムクムクと疑問が湧いてきます。自分はいったい何のためにわざわざ離れて暮らしているのでしょう? 帰る家があるのに、倉庫みたいな狭苦しい部屋に家賃を払って住み続ける理由は何なのか…と、自問自答が止まらなくなります。

父は、「わたしと弟(の家族)がいつでも帰って来られるように、元気な間はこの家を守って住み続ける」と云っていました。4人家族のために建てられた家は、全然大きくはないけれど父が1人で住むには無駄な広さとも云え、一時は家を売ってもっとコンパクトな住まいに引っ越すことも考えたようです。
男だし(?)、遊ぶ友達もそれなりにいる父は決して寂しいとは云いません。しかし、実家にいると、ふとした会話や行動の端から、あるいは何気ない日用品や冷蔵庫の食材なんかからも父の無言の寂しさをキャッチしてしまうことがあって、そのたびに固まってしまいます。
昔、実家から戻った翌日の仕事帰りに、父からメールが来ていて、今朝は遅刻しなかったか、とかそんなことのあとに「風呂と洗面所が美しくなっていました。掃除してくれてありがとう」と書いてあり、その文面を見た瞬間、電車内だというのに心の汗をかいたことがありました。わたしを見送ったあと、誰もいない家に1人で帰って、風呂と洗面所がきれいになっているのを、父はどんな気持ちで見たのだろうか…。
でも、わたしはこれから先も父の寂しさを見なかったことにして、父が、または己が死ぬまで無視し続けて生きていくのかもしれない。いや、仮に今わたしが東京で暮らしていなくても、例えば結婚して実家を出ていれば、同じことにはなっているわけで、子はいずれ独立するのがよしとされている世の中では、それを親不孝とは、普通は云いません。ただ、例えば、優秀で世界にも羽ばたいて忙しい子と、そんなに優秀でなくても家に残ってくれる子とでは、果たして親にとってはどちらが嬉しいのだろうかと、ふと考えてしまいます。まあ、わたしは優秀でもなく活躍もしていないのに家にも残らないという、どうしようもない子のパターンですが…。

さすがにニートってわけにはいかなくても(ほんとはそれでもいいんだけど…w)、大阪で仕事を見つけて、戻ってくればいいのにと、実家に帰るたびに思うのですが、一時的に帰ることはできても、本当の意味で帰る道が分からず、長いこと迷子になっているような不思議な気持ちになります。
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