2010年08月30日

唐突に、源氏物語のことなど

テーマ:読書

『源氏物語』が、来年、映画化されるそうですね。
主演、つまり光源氏は生田斗真。徳井氏と似ているという説を聞いて以来、わりと好意的に見ている俳優さんなので楽しみではありますが、他のキャストはどうなるのかなあ、という大きな心配が……。それに、超大作エンターテインメントというキャッチコピーにもかなり不安を覚えます(苦笑)。安部清明も出るとかって……何でっっ!?!
源氏物語のキャストは、NHK大河ドラマ並みに気合いを入れてくれないと、小学生の頃からの源氏好きとしては納得できませぬ。
昔、東山紀之主演でドラマ化されたときも、天海祐希主演の映画も、いろいろ納得いかないことばかりでした。で、自分で勝手に配役を考えたりしたっけね(笑)。
大河ドラマは実在の人物しか取り上げないとか、フィクションとは云え天皇家の不倫なんか書いてるから国営放送では難しいとか、いろんな事情があるのでしょうが、いつの日か大河ドラマで豪華絢爛な源氏物語を観られるといいのに……というのが幼少の頃からの切なる願いです。


さて、気まぐれに訪れる歴史ブームと同じく、このニュースを知ったことで第?次源氏物語ブームが起こり、そろそろ原文で読破しようなどと殊勝なことまで考えております。…ってまたそんな時間のかかる目論見! しかも、ブームが再来したことで、新たに関連書籍を読んだり、ネットを巡回したりとただでさえ忙しいのに!(苦笑)


多くの女子たちがきっとそうであるように、わたしもご多聞にもれず『あさきゆめみし』を入口に、源氏物語の世界を知りました。
それより前に、子ども用の文学全集みたいな本(有名な章のみのダイジェスト版)で読んだ際は、「何じゃこの退屈な話!」と思ったものでしたが……マンガで読むと、なんという面白さ!!!
最も、小学生の頃は、エロ本代わりに読んでいた部分も大いにありましたが(少女漫画なので描写は大したことないんだけどね)、それを差し引いても、華麗で、ドラマチックで、夢のような物語に、他のどんな少女マンガも色あせるほど、傾倒したのでした。
当時は7巻が最新刊だったかな(「藤裏葉」~「若菜 上」のあたり)。ほどなくして、友人が既刊を全巻揃えてくれ、その後も新刊が出るたびに借りて読んでいました。そして、高校生くらいになって再び全巻を借りたが最後、やっぱり面白すぎて10年くらい借りっぱなしになってしまいました。。。
さすがに大人になったので、今は自分用に美装ケース入りの文庫コミックを買って、手元に置いております。
現代語訳は、読みやすい田辺訳と、瀬戸内訳&橋本治の「窯変 源氏物語」の一部しか読んでおらず、原作に関してはあまり真面目に取り組んでいませんが(せめて原文の前に谷崎訳くらいは読むべきか…)、源氏関連本(解説本など)はけっこういろいろと読みました。一部マニアに有名な「源氏物語占い」も本まで買って、そのとき好きになった相手をいちいち占っていたわ…。ちなみにわたしの結果は、“明石の君”でした(合ってるようなそうでもないような)。


何度味わっても源氏物語は底知れぬ面白さで(まあわたしの場合、ほとんど『あさきゆめみし』ですけども…)、現存する中で最高の恋愛小説のひとつだよなあ、という確信を深めるばかりです。
しかも、読むたびに強く思い入れる人物や場面が変わるという、「一粒で何回美味しいねん!?」な減価償却の低さ(?)も素晴らしい。
例えば昔は、紫の上みたいな“非の打ちどころのない優等生”キャラにはつゆほども興味が湧かなかったのですが、三十路も数年過ぎると、紫の上に「女の一生」(あるいは女が逃れられない業)というものをまざまざと見るような気がして、胸が痛くなったりして…。
もう数年前は、柏木の登場から死までがいちばん好きだったし、宇治十帖に通底する静かな情熱に心惹かれる時期もあったし、ずっと遡って子どもの頃は朝顔とか夕霧みたいな真面目な地味キャラがお気に入りだったっけ……。
そのうち、朧月夜とか六条御息所に感情移入できる日も来るのでありましょうか。 女の極右みたいなこの2人のキャラには、物語的には面白いけれど、どっぷり共感できないのだ~……。こんなふうに“恋に生きる”キャラは、自分とはかけ離れすぎているよのなあ。


本当に面白く、かつ飽きない物語というのは、下世話さと高貴さが自然に同居しているものだと思います。
源氏物語はまさにそのお手本のよう。恋愛指南書のように軽くも読めれば、人の生死の深淵を描いた宗教書のようでもあり、エロ本のようでもあり(よく考えたらロリコンやら不倫やら近親相姦やら…官能小説に出てきそうな要素がてんこもりだす;)、華麗なる王朝文化カタログでもあり、残酷な因果応報の物語でもあり、キャラ萌えもできる……(以下∞)とは、なんという裾野の広がり方でしょうか。
そりゃあ1000年経っても愛読されるわけですね~。

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2010年08月06日

山ガールならぬ、廃ガールで

テーマ:東京秘境

さて、先の廃墟ツアーを機に、雑誌「ランドネ」に代表される(?)女子アウトドアファッションが猛烈に気になってしょうがない昨今です。
これまで、アウトドアファッションと云えば、フィンランド旅行の防寒対策でやむなく買い出しに行ったくらいのもんで、縁もゆかりもなかったのでしたが……。夏という季節も関係しているのでしょうか。


前回の廃墟ツアーでは、飲み会に行くのと大して変わらないようなナメた服装で臨み(なんたって、ミルクのスカジャンにミニスカート、足元はなんと9cmのウェッジソール! バカかよ!!)、ケガはしなかったものの、後々、大手廃墟サイトなどに書かれている廃墟に潜む危険 を読むと背筋が寒くなるような装備でした。。。
よく考えてみれば、海外に行くときはバックパックにアーミーパンツにスニーカー、なわけで、最低でもそれくらいにはしろよ!って感じですよね。
ということで深く反省いたしましたので、今回は打って変わって、装備には気を遣うことにしたのです。時間や予算の都合もあり、とりあえず新しく買ったものと云えば、新宿萬年屋のヘルメットとグローブくらいですが(え? それはアウトドアじゃないのでは……)、これを機に、より安全かつ機敏に動ける装備を、徐々に充実させたいと思う次第です。


流行りに乗って山ガールになるつもりはないけれど(山に登るだけではどうも食指がなぁ……山登りは健全すぎるのかも)、廃墟観光と登山の装備はかぶる部分もわりとありそうなので、ファッションだけ拝借しちゃおうかしら~と思っているわけです。
旅になると、途端にミルクだのエミキュだのとは縁が切れ、ねずみ男のような服装になり下がることが密かな悩みだったのですが、アウトドア服もあんなにかわいく着られるものなんですね。次回の旅からはもうちょっと服装に気を遣おう(笑)。
手始めに、かねてより旅行用に探していたウインドブレーカーを購入したいところです(でもレインスーツの方がいいのかな……悩み中)。あとは、25~30リットルくらいのゆったりしたリュックや、今流行りの山スカートや、高機能下着なんかも興味津々。
メーカーもどこにするか迷うう。チャムスのスウェット素材もかわいいし、モンベルの地味な洗練具合もいいし、コロンビアのカラー展開も楽しいし、ミレーやエーグルもいいよね~と、急に普段なじみのないメーカー(笑)について語り出すあたりが、ほんとミーハーですみません。
これまで全っ然気がつかなかったけど、職場の周りは名だたるアウトドアメーカーのショップがてんこ盛りなのだ! 地の利を活かしてあちこち物色してみたいと思います。


ただ、山ガールのようなポップさ&カラフルさと廃墟は、物理的にも精神的に相容れないような気もするので、結局は地味な服装になりそうですね。
いやほら、廃墟観光ってあんまりひと目につかない方がいいですし……。廃墟のプロたちのサイトを読むと、山ガールというよりは軍モノ系で揃えた方がよさそうなくらい、安全対策に力を入れているのです。わたくし、スニーカーだけはスケッチャーズの厚底以外、履くことを許されていないので(誰にだよ)、そこは譲れないんですが、他のことはおしゃれよりも機能を優先しないといけないかも。海外旅行に出るときと基本は同じですね。安全第一(って、工事現場か)。
女特有の危険、てのもありますしね……。ま、これは一人旅のときもさんざん云われたことですけども(「売られるよ!」とか)。廃墟での危険リストにも、女の場合は、中にDQNや浮浪者がいた場合は(以下略)、って書いてあって、うわマジ怖ええ! と思いました。試しに「廃墟 女子」で検索したら、「廃墟に連れ込まれた女子高生」などという恐ろしげなレイプもののAVが出て来て、暗い気持ちに……。しかも、実際にそういう事件、あったみたいだし(涙)。


でも、そのうち、世間が森ガールにも山ガールにも飽きて、廃(墟)ガールの時代が来て、おしゃれな廃ガールファッションが流行らないかしら……って、んなわけねっか♪

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2010年08月05日

夏の廃墟(下)

テーマ:東京秘境

あまり時間もないので(廃墟ツアーは日没までに終了したいものです)、ロープウェイに別れを告げ、次の目的地へと向かいます。


<透明なつり橋>
同行者の提案で今回の目的地が“透明なつり橋”だと聞いたとき、何じゃそら? どういう意味? と不思議でなりませんでした。
検索をかけてもほとんど情報は出てきませんが、それは、奥多摩の山奥・日原にひっそりとあるようです。
この日原という場所、誰がつけたか「日本のチベット」なんて呼ばれているらしい。つまり秘境ってことですか……確かに、そう云いたくなる気持ちはよくわかります。でもまごうかたなき“都内”でもあるわけで! このギャップの凄まじさよ。


小菅集落に向かう途中、二股に分かれるようにして舗装されていない山道が現れます。
昭和30年ごろまでの旧道、日原へ続く道であり、吊り橋への入り口です。同行者の一人が、事前に下見に来てくれていたおかげで、難なく発見できました。
廃道専門サイト「山さ行がねが」によると(このサイトがなかったら我々も行くことはできなかっただろう……多謝)、この道は、東京府道日原氷川線というそうな。
未舗装ですが、T電力などの車両は通っているらしく、ぬかるんだ地面に轍がくっきりと残っていました。関係者以外立ち入り禁止の道なので、万一、作業員に出くわしたら大変です。土曜日だからリスクは少ないだろうと思いつつ……。
最初の方は、道幅もそれなりに広く、よくあるトレッキングルートと変わらぬ様相です、が、よく見ると落石が多いな……。杞憂とは思いつつも、持参していた「萬年屋」のヘルメットをここで着用しました。


進むにつれ、心なしか石の量が増えているな……と思っていたら、途中、大小の落石が雪崩のように積み重なり、道がふさがっている場所がありました。石の雪崩は、そのまま奈落の底へと続いており、踏み外したら一巻の終わりです。
進むか戻るか……しばし全員が悩んだ末、男子2名とわたしは進むことにし、女子2名は留まることになりました。
こういうとき、わたしはどうしても大人しく待てないのです。先陣を切って渡った男子が行けたということは、わたしにだって行けるはず……なんて、ヘンに勇気を振り絞ってしまうんですなあ(苦笑)。いや、勇気ではなくて単に損得勘定ですかね。でも、女の子たちはわたしよりも若いし、万一ケガでもしたらと思うだけでも背筋が凍るので、待っていてくれてよかったです……。
その後も、似たような落石ポイントがあり(さっきよりはマシでしたが)、そのたびに気持ちが萎えそうになりつつ、とりあえず進むしかないので進みます。
ふと見下ろすと、渓流が、高層ビルの上から見る道路よりも小さく見えました。転落は絶対に許されない場所です……。


1.6キロと聞いていたのに、なかなか目的地が見えません。不安を紛らすように同行者たちに話しかけつつ歩きます。
どのくらい歩いたでしょうか……おそらくあの落石ポイントからは20分というところでしょうが、時間の密度がやけに高いように思えました。鉄塔が現れたあたりで、ゴールが近いことは予想されたものの……。
ふいに視界が開け、打ち捨てられた庭のような広場が現れました。男子2名はちゃんと予習をしてきているので(えらい! こういうところにふと男女の差異を感じる……)、そこがゴールだと分かったようです。廃車になったトロッコが、現代アートのオブジェのように転がっていました。
そして、その広場を右に進むと、「透明なつり橋」が現れます。


それは、橋桁だけが落ちた橋梁の廃墟でした。
ワイヤーが柳のように垂れ下った巨大なつり橋の向こうには、現役で稼働する鉱山の工場が山肌にへばりつくようにして建っています。
この橋は、現存していれば東京都で最も高い橋だったそうです。現在の最高記録は、同じ奥多摩の倉沢橋(64m)ということですが、ここは100mの高さがあるとか……。
しかし、橋げたの無いつり橋とは、なんと奇妙な物体でしょう。巨大なだけに、また、橋桁以外のかたちはしっかりと残っているだけに、この物体を何と定義したらいいのか、分からなくなってきます。
橋は、生い茂った木々に徐々に飲まれていくように見えました。谷底は深すぎてまったく視界に入りません。
いろんな意味で圧倒的な光景ですが、云いようのない物悲しさはやはり廃墟ゆえでしょうか。
つり橋の前には、小さなキカイダーのおもちゃと、ドロドロに溶けた花束らしきものが添えてありました。
ここから容易に想像できることはありますが、あまり深く考えると怖いので、手を合わせるに留めました。


そして帰りは、大沢集落にある、廃墟なのか現役なのか不明の超建て増し木造住宅を外から見学しつつ、最後は、鳩ノ巣駅まで戻って、駅前の釜めし屋できのこ膳に舌鼓。歩き疲れた体に、ごはんの美味しさがひとしお沁み入りました。


*******************


どうもこれまで国内旅行には積極的になれなかったけれど、廃墟を軸にすれば、国内旅行に新たな光が見えそうな予感がしています。
海外なら、あるいは帰る日の決まっていない長旅なら、はっきりした目当てなんかなくても旅自体で楽しめるんだけど、国内で短い時間の旅となると、何かしらの目標や起承転結が欲しくなるみたい……。
でも、世の中にはすでに廃墟のプロ(?)がたくさんいるので、わたしはあくまでも、廃墟探索というよりは廃墟観光のスタンスですかね。新しい廃墟を開拓したり、難易度の高い廃墟を制覇するとかではなく、すでに遺産化しつつある第一級廃墟を中心に見て回るのがちょうどいいかなー、と思っています。
でも廃墟観光って、基本は不法侵入ですから(苦笑)、あんまりおおっぴらに楽しんじゃダメかしら?


今回の目的地を決める前に、さまざまな廃墟本やサイトを参考にしましたが、有名どころは軒並み解体済みになっていることが多く、廃墟の足の速さに愕然としました(今さらですけど……)。
それと同時に、今ある苦しみや喜びも、一瞬たりとも同じかたちではなく、やがては変わり果て、終わっていくのだということを痛感します。朽ちて行く廃墟の姿は、そのまま(自分の)人生の姿でもあるわけで、いつかは取り壊され、この世から消えて行くわけで……。心は常に、今ここではないどこかを求めがちですが、わざわざ求めなくてもどの道、“今”“ここ”は消え去っていくんですよね。仕事が辛かろうと、建設的な展望が持てなかろうと……。
廃墟は“諸行無常”をリアルに、強烈に教えてくれる。人の死を日常的に目の当たりにすることは、医療従事者などでない限りなかなかないし、その生々しさに対する耐性もないのですが、廃墟なら自分の目で確かめることができる。そういう意味で、廃墟には、哲学的な存在意義があるようにさえ思えます(毎度おなじみの大げさな感想)。
これが、遺跡や神社仏閣や古い街並みだと、そういうニュアンスが半減するんですよねー。
さて、次はどこに行こうかなあ。


放浪乙女えくすとら-RIMG1719
屋久島か!と、タカトシ的にツッコミたくなる。でも東京都。


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これが問題の落石ポイント。写真で見ると平坦にも見えるが……。


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こんな道がえんえん続くのであった。


放浪乙女えくすとら-RIMG1770

詩的にも思える広場。左に見えるのがトロッコの廃車。


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この先がつり橋。思いっきり立ち入り禁止……。


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確かに“透明なつり橋”だった。


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限界まで手を伸ばしてズーム。


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人間とのサイズ比較もどうぞ。


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激しく建て増しされた住宅。


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じゃれあうにゃんころ。やけに猫が多かった。

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2010年08月04日

夏の廃墟(上)

テーマ:東京秘境

海だキャンプだフェスだと、夏はイベントが満載ですが、どれもこれもわたしとはご縁がないようで、夏のクソ暑さだけをチャリ通で大満喫しております。せっかく「スイマー」で浮輪も買ったのに、どうしてくれる!?
そんななか、唯一夏らしいイベントととして、このほど第2弾廃墟ツアーに行って参りました。
どこらへんが夏らしいかと云うと、松尾芭蕉も「夏草や つわものどもが 夢のあと」と詠んだように、廃墟の季語は夏(注:ウソです!ていうか、廃墟の正確な季語など知りません…)。
ま、実際のところ、夏は廃墟探索に向かない季節らしいのですが(虫、藪、酷暑など)、あまり細かいことは気にしないでください。
(あ、飲みの席で「ぜひ参加したい!」と云ってくださった幾人かの方。お誘いできずすみません。車の乗車人数の関係上もありますが、よくよく考えると廃墟はピクニック感覚で行く場所ではなく、気軽にお誘いして惨事が起こってもいけないので、わたくしめがもう少し廃墟探索に慣れましたら、改めてお誘いできればと思います。まあ、そんなハードな場所に行くつもりはないですけどね……。)


今回のお品書きは、


・奥多摩湖ロープウェイ
・日原の透明なつり橋
・倉沢廃集落


の豪華3本立て。
結果的に、最後の倉沢集落は時間切れで行けませんでしたが、前2つだけでも、充分お腹いっぱいのコースでした。では、前後編に分けて感想文を。


<奥多摩湖ロープウェイ>
1975年に運休停止申請された、奥多摩湖にかかるロープウェイ。ということは、わたしが生まれる前からすでに廃墟への道をたどっていた、云わば廃墟の老舗(って何やねん。むしろそれは遺跡と呼ぶべきか?)。
たった600メートルの距離を結ぶロープウェイは、橋梁の敷設によって観光客が激減。衰退の一途をたどって、現在は奥多摩の山奥に放置状態になっています。


ロープウェイへは、奥多摩某所のレストランが2軒ある駐車場からアプローチします。
5分も歩けばあっさり目的地前に到着しますが、その前にテニスコートがででん!と居座っており、早速行く手を阻まれます。
テニスコートの金網はとてもよじ登れる高さではなく、トビラにはしっかりと南京錠が下ろされています……。
ふと目を凝らすと、ロープウェイ駅の前にある白い小さな建物(これも廃墟。昔の売店?)の前に、一人のおばあちゃんが座っているじゃないか……しかも裸足で。
廃屋に住んでいるのか? どうやってここに入ったのか? というかここに入るにはおばあちゃんの許可が必要??
素姓はまるで分からないながら、人がいるとあっては、あまりおおっぴらに侵入できません。
ここは正面突破で行くか、と、ばあちゃんに話しかけてみますが、聞こえているのかいないのか、何も答えは返ってきません……。
結局、テニスコートの脇にあった足場30cmくらいのガケ道を伝って、奥の広場へ。眼下には奥多摩湖の眺望もさることながら、墓場が広がっており、いろんな意味で怖かったです。よいこのみなさんはマネしないでね♪
(ちなみに帰りは別の道を降りたら、行きと反対側の食堂の横に出たので、そっちから行っておけばよかったです。まあ、ちょっとした冒険気分は味わえましたが……)


晴れてロープウェイの始発駅「かわの駅」に到着。
駅舎を周って行くと、繁る草木の向こうに「くもとり」とひらがなで書かれた1体のゴンドラが待っていました。
その姿は、静かで、どこかやさしく、まるで大きな生き物が眠っているかのようでした。
数十年も放置されているとは思えない状態のよさにうっとりしつつ(廃墟系サイトで見たよりも色あせてはいましたが)、駅舎の中を探索します。
機械室に入ると、巨大な鉄輪が真っ先に目に飛び込んできます。コンクリートの建物内部は薄暗くに、窓からの四角い光だけが刺さるように入ってきます。その光で、沈黙したままの朽ちた機械たちがぼんやりと浮かび上がるさまは、工場萌えならずとも「か、かっこいい……」と思わずつぶやきたくなる光景です。
機械室、運転室、トイレ、休憩室、改札などをひととおり周回。○×参上!的な記念パピコラクガキもあちこちにあり、人為的破壊の後も見られますが(ゴンドラには弾痕も……やめたげてー!)、不思議と凄惨な感じはなく、ゆっくりと自然に廃墟になっていったような印象を受けます。なんとも趣のある廃墟です。


しかし、何が心に残るって、やっぱりゴンドラでしょう。
ゴンドラの「くもとり」とは、東京都でいちばん高い山・雲取山から取られた名前ですが、その文字を見ていると、猛烈な感傷に襲われて、ちょっと怖いくらいでした。
この錆びた鉄のかたまりに名前がついているというだけでも切ないのに、この子は黙って「くもとり」というゼッケンを貼りつけたまま、山深いこの地で静かに朽ち果てようとしている。何も知らないのかな、いつからかふっつりと来なくなったお客さんを、今でも待っているのかな……、などと勝手に擬人化して、涙腺が爆発しそうになるわたし(苦笑)。
これがただの朽ちた車両なら、そうまで感傷的にはならなかったかもしれないのに、「くもとり」というかわいい響きの名前がついていることが、感傷スイッチを容赦なく押しまくるんだよなあ……うっう。
廃墟とて、時間の経過から逃れられるはずもなく、むしろ、それこそが廃墟を作り上げるのですが、それでもここにいると、時間が止まるということもあるのかも知れない、なんて気持ちになります。


「くもとり」には生き別れの兄弟「みとう」がいます。
終着駅である「みとうさんぐち」駅に今もいるようで、そちらにもぜひ会いに行きたかったですが、夏は藪が茂りすぎてアクセスが難しいということで、今回は断念。晩秋くらいに来られるかなあ……。
何というか、「またね」って云いたくなるような廃墟でした。またね。また会いにくるね。ってわたしは青山テルマか。ただでさえ足の早い廃墟にかける言葉ではないのかもしれませんが……。
それにしても気になるのは、廃墟の片隅にいたおばあちゃん……、あなたは山の妖精さんですか?(苦笑)


次回へつづく



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テニスコートの金網越しから、駅舎を臨む。このときはまだ全員が途方に暮れていた。ちなみに、おばあちゃんがいたのは画面よりもぐっと右の方。


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いい眺めだけど、このとき足場30cm。。。


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駅舎からしてもう雰囲気ありまくりで、ワクテカが止まらない。



放浪乙女えくすとら-RIMG1621
いた~~~!!! ゴンドラ「くもとり」 。

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立派にかたちを留めている「くもとり」。


放浪乙女えくすとら-RIMG1648
機械室の内部。


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内部その2。窓からの光は強烈だけど、やっぱり薄暗い。


放浪乙女えくすとら-RIMG1657

機械室の最深部にある受電室。真っ暗すぎて肉眼では見えないが、フラッシュを焚くとこんな感じで、現役バリの良好な状態。


放浪乙女えくすとら-RIMG1678

運転室から「くもとり」を臨む。仮に今、運転したとしても竹やぶがすごくて進めないだろうな……。


放浪乙女えくすとら-RIMG1703
誰かがひっそり置いていったらしい。書き込もうかと思ったけど、なぜか躊躇してしまった。また今度。


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