文化大革命五十周年のこと | 千紫万紅

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中国の文学、映画、ドラマなどの感想・考察を自由気ままにつづっているブログです。古代から現代まで、どの時代も大好きです。

先日興味深いニュースを発見した。

二〇一六年は文化大革命からちょうど五十年目になる。かつて紅衛兵をやっていた青少年でさえ老人にさしかかるほどの年月が経っているわけだ(正確には文革の開始が一九六六年で、その後十年近く地獄の時代は続いていたわけだけど)。

ちょうど先日の五月十六日が、文革の開始第一段階「五一六通知」の発信されたいわば記念日なのだが、中国メディアは揃って沈黙していた様子。五十年が過ぎても、中国にとって文革は未だパンドラの箱状態らしい。しかしあと三十年も過ぎて文革の当事者がいなくなれば、歴史ねつ造が得意なあの国のこと、文革による被害は日本の陰謀だったとかワケワカランことを言い出すかもしれない。もちろん、今後中国政府の歴史認識が良い方向へ変わってくれればこの限りではないだろうけど、共産党が政権を握り続ける限り期待は出来ない。





結局、自国の歴史を知らないままで困るのは、とうの中国人達だ。資料の少ない古代ならまだしも、近代史で歴史に空白を作ることなんて不可能に近い。ネット文化の行き届いた現代では尚更。情報が世界中から得られるのだから、お国芸の焚書も困難だ。中国政府はさっさと態度を改めて真摯に過去の歴史と向き合ってはどうか。もともと人類の歴史なんて綺麗なものではない。どこの国も何かしらの誤りを犯してきたし、それを繰り返さないために、歴史から学んでいるのだ。

とはいえ、もし文革の歴史を明らかにしたら何かしらの騒動が起きるのは間違いない。政府が怯える気持ちはまあわかる。したたかな中国人民のことだから、きっと被害者を名乗る連中(本当に被害を受けてなくても)が続々政府へ賠償を要求したりするだろう。あの国の人間ならやりかねない。




もうこうなったらあれですね、日本で文革の資料をごっそり保存しておいて、共産党政権が倒れた後にでも中国へ公開してやるのがベストかもしれない。中国国内で散逸した古典小説が日本で沢山発見された、という過去事例もあるわけだしね。