生物進化学の権威に学ぶ、生存し続けるための多様化 | 中小企業の経営参謀「税理士星川」の戦略、税制、法務、海外展開のお役立ちブログ

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致知という雑誌の12月に、10年来お世話になっている生物進化学の権威で、紫綬褒章を受章されている、五條堀孝先生の対談記事が出ているよ、ということを聞きつけとても興味深く拝読しました。

私がコチコチの文系脳のためか、先生とよくお話する機会があっても、これまで先生の研究についてきちんとお聞きすることがありませんでした。
普段からユーモアを忘れない語り口で、分かりやすくお話されるので、雑誌記事も大変分かりやすいものでした。

いくつか印象に残ったことを記します。

生物の進化と生存の歴史は、
偶然」

五條堀先生は、生物の進化と生存について、ダーウィンの唱える自然淘汰説とは異なる、中立進化説という考え方をしてきたと述べられています。

ダーウィンのそれは、ビジネスの世界でもよく引用されるもので、環境の変化に適応してきたものが生き残ってきたという説。(ビジネスの世界では、『強いものが生き残るのではない、変化に適応したものが生き残る』と紹介されます。)
一方の中立説というのは、偶然に一定の確率で生きて来られたものが生き残ったと、多様な生物の中でラッキーなものが生き残って来たんだ、という考え方。

学問的に、この両説の違いはどこに生まれるかという議論はさておき、変化に対応するという個体の強さではなく、生き残るために多様な種が存在するという現実が生物の世界にあったとする分析は、生物の世界を離れ、ビジネスの世界にも学びがあるように感じました。

自然淘汰説に立つと、変化に柔軟に対応しろというマインドが求められる。
一方で、中立説立つと、どれが生き残るか分からない。したがって多様なオプションを用意せよ、と。
まさに、企業の戦略の話に通じると感じたのです。

どちらが正しいということではなく、どの方針をとるのか、信じるのか。
企業が生き延びて行くことのヒントではないでしょうか。

違いを認めることこそ智恵
なぜ、進化は起きるのか?
この問いに対して、五條堀先生は、
生き延びるために多様化するためでしょうと答えられています。一見無駄のように感じられるかもしれないが、将来の変化に対して生き延びていく生命感ではないかと。
先の中立説の帰結がここにあるのだと思います。
そして、先生は、違いを認め合うことこそ最大の智恵なのではないかと続けます。
違いがあったからこそ今日の自分たちがあるからと。

様々なレベルでこの考えが正しいことは真実なのでしょう。
例えば組織を考えたとき、トップのイエスマンのみで構成するか、自分達のやり易いメンバーだけで構成するか、真に強い組織とはどのようなものか。

それぞれが違いを認め合い、多角的な視点で組織としての意思決定と行動をしていく、生き残る強い組織とはこのようなチームなのかもしれないです。
「やり易い、分かり易い」
このような組織には、見えない世界に、
多様化したチームは気づけるかもしれないのです。
チーム内の衝突やフラストレーションはその必要経費ではないかと。

学問の本質は自分を知るということ
五條堀先生のチームは、藻の仲間に目の構造を持つものがいることを突き止め、それは、プランクトンから藻類への遺伝子の移行だったそうです。これにより植物から動物に目の構造の遺伝的交換が行われたという仮説を証明しようとされています。
目という高次元の機能が生物の進化の過程でどのように産まれたのか。
これは、学問として重要な意義があるようです。
キリスト教的には、神が目を作ったと。
ダーウィンは、宗教的な指摘に配慮しつつ、進化の過程で受け継がれる遺伝子を複雑化させて目が産まれたと。
中立説によると、もともと目の機能をもった植物から動物へと遺伝子が交換されたと。
こんな整理をされています。

中立説というのは、生物の生存と進化の過程を化学とか物理という学問からアプローチし、解明していくものと理解しました。
宗教的には、神秘的なものとされる世界も大きく存ずる中で、科学する。

学問とは、自分を知ることではないかという五條堀先生のお考えは、含蓄があります。 

会社を知り、メンバーそれぞれを知るためには客観的に分析するものが必要で、お互いが、強み弱み、相違を知るところを知るところから組織づくりは始まる。

新しい年を目の前にし、
組織の課題や新たな目標を考えている時期に、大いに学びを得ました。
さて、どのような目標を立て行動計画を作るか。慌ただしい中でもワクワク感があるのは幸せなことです。

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税理士、行政書士 星川 望
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