菅:愛佳?
首を傾げ名前を呼んだ私の元にゆっくり愛佳は歩いてきて、
立ち上がった私の背中に、愛佳は突然腕を回した。
そして私の耳元では何故か、すすり泣く声が聞こえる。
菅:まさか、泣いてるの...?
愛佳にそう声をかけても返事は返ってこない。
しばらく沈黙が続き、
私と愛佳だけの保健室にはすすり泣く声だけが響いた。
何で泣いてるのか分からないけど、私は愛佳の背中を優しく撫でてこう言った。
菅:愛佳の踊ってる姿、かっこよかったよ?
そう言うと愛佳は手を回したまま顔を起こして、私を見つめた。
愛佳の目は少し赤くなっていてそこから涙が流れてる、それに髪も少し崩れていた。
志:友香、見てくれてたの...?
愛佳を見つめ返していた私に、驚いた様子で質問してきた。
菅:えっ?
志:うちの踊る所ちゃんと見てたの...?
その時気づいた。
愛佳が泣いているのは、A軍のパフォーマンス後、
パフォーマンス前にいた場所に私が居なかったから、てっきり見ていないと勘違いしたからだ...。
けど私は見ていたから、ちゃんとその事を愛佳に伝えた。
菅:愛佳のカッコいい姿、ちゃんと目に焼き付けたから安心して...?
そう言うと愛佳は、暗い表情から明るい表情へと変わっていた。
そんな愛佳を見て、愛佳は私一筋なんだなって改めて思った。
志:良かった、友香は惚れ直してくれた?
菅:もちろん!
志:うちのこと好き?
菅:大好きだよ?
志:そっか!
その会話から、愛佳はきっと私が居ないとダメなんだと感じた。
だけど私も愛佳が居ないとダメ、
だからお互い支えあって、愛し合っている。
そう考えていたら、
愛佳は私の背中に回していた手を外して、私の頬に添えた。
菅:愛佳...?
名前を呼ぶと愛佳は微笑んで、耳元でこう呟いた。
志:目瞑って?
愛佳の言うとおり目を瞑れば、
私の唇には、すがりつくような愛佳の唇の感触がした。
外では今も体育祭が開かれてるのに、まるで私達だけ別世界にいるよう。
少し経つと愛佳は唇を離して、もう一度私に抱き着いた。
愛佳はいつもと違う格好で違う髪型だけど、
匂いや安心感はいつもと同じ。
菅:学ラン姿、いつかまた見せてね?
そう言うと愛佳は返事をするように、私の頬に軽く噛み付いた。
菅:ひゃっ...!
志:友香、私から離れないで、、
愛佳はそう言って、回している手に力を込めたように感じた。
だから私は、返事や仕返しをするように
目の前で赤くなっている愛佳の耳を、パクッと口に含んだ。
それにびっくりした愛佳は顔を起こして、私を見つめる。
愛佳の目は綺麗だ。
その瞳には、これからも私だけが映るのかな?
そうじゃなきゃ嫌だな...
ずっとずっと、私だけを見ていてほしい。
だから愛佳にこう伝えた
菅:愛佳は私の、そして私は愛佳の。だから離れないし離さない...
そう言うと愛佳は顔まで真っ赤にして、嬉しそうに笑ってた。
志:友香、体育祭が終わったら家に行っていい?
そして夜は、ずっと一緒に居よう...?
その言葉の意味、私には分かる。
菅:うん...
返事をして私はまた、学ラン姿の愛佳に抱きついた。
きっと私達はお互いに依存している、
けどそれでもいい、私はずっと愛佳と一緒に居たいから...
終