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Fri, March 02, 2007

左近司祥子『哲学のことば』

テーマ:哲学・思想

◆左近司祥子『哲学のことば』岩波ジュニア新書、2007年2月

全8章で構成されている。取り上げられているテーマは、た とえば人間は何か、愛、友情、生と死、私とは何か、といったもの。そして、哲学者の言葉をいくつか引用しながら、これらのテーマについて論じていくスタイ ル。テーマ自体は興味のあるものだったが、全体を通じていまいちな内容だった。

わかりやすいようで、微妙に理解しにくい本だ。

左近司 祥子
哲学のことば

Thu, December 28, 2006

内田樹『子どもは判ってくれない』

テーマ:哲学・思想

◆内田樹『子どもは判ってくれない』文春文庫、2006年6月

短い文章からやや長めの文章の時評的エッセイを集めた本だ。 本書の基本的なテーマは、「対話」とはいかなるものかということだろう。「対話」の目標としては、自分の言葉を相手に届けることが重要なのだ。これは、 「正しい」ことを語ることよりも、もっと重要だ。「正しい」言葉でも、必ずしも相手に届くとは限らない。相手に届かない言葉には、何の効果もない。何の効 果もない言葉は、相手から責め立てられることもないので、発言者としては楽といえば楽だが、はたしてそれでいいのか。「対話」を成り立たせる作法につい て、いろいろと考えることが多い。

内田 樹
子どもは判ってくれない

Thu, December 14, 2006

戸田山和久『科学哲学の冒険』

テーマ:哲学・思想
◆戸田山和久『科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法を探る』NHKブックス、2005年1月
センセイと哲学専攻の学生テツオ、そして理系の学生のリカの3人による対話を通じて、科学哲学とはいかなる学問なのかを教えてくれる良書。
最近、「科学的」という言葉が気になって本書を読み始めた。しばしば「科学的」という言葉が「論理的」と同じ意味で使われ、非論理的な文章を「科学的じゃない」と批判したり、学問は「科学的であるべきだ」と主張される。どうして「科学」という言葉が金科玉条のごとく使われるのか。「科学的」であることとは、どのようなことなんだろう。そもそも、「学問は科学的であれ」と主張する人の「科学」って何を意味しているのだろうと疑問に思っていた。こう主張する人の「科学」こそ、あいまいな言葉だったりしてはいないか。
本書の大きなテーマの一つは、科学的実在論の擁護ということだ。いかにして、論敵の批判をかわして、科学的実在論を擁護するかが本書の読みどころ。科学をめぐってさまざまな立場から論じられており、非常におもしろい。
戸田山 和久
科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる

Sun, November 12, 2006

酒井邦嘉『言語の脳科学 脳はどのようにことばを生みだすか』

テーマ:哲学・思想

◆酒井邦嘉『言語の脳科学 脳はどのようにことばを生みだすか』中公新書、2002年7月

おもしろい。文系、理系の枠を越えたいわゆる学際的な研究テーマ。人間が言語をどうやって獲得するのか。興味深い問題である。

本 書は、「言語がサイエンスの対象であることを明らかにしたい」と冒頭で宣言される。著者曰く、「言語に規則があるのは、人間が規則的に言語を作ったためで はなく、言語が自然法則に従っているため」だ。チョムスキーは「人間に特有な言語能力は、脳の生得的な性質に由来する」と半世紀にわたって唱え続けている という。この生得説を脳科学が実証しようではないか、というわけなのだ。

まだまだ、言語の脳科学は始まったばかり。本書では、さまざまな言語の脳科学の研究が紹介されているが、依然として多くの未解決な問題が残っていそうだ。未知の問題が残っている研究分野を知るとわくわくする。この先、どんな展開をするのか楽しみだ。

本 書の「おわりに」のなかで、著者は「文系だから、逸話的な記述に専念して、科学的な厳密性や再現性を欠いていてもよいということにはならない。また、文系 の研究者が、脳機能の計測法などの科学的手段を用いてはならないという不文律もない。それにもかかわらず、研究費や研究スペース、研究スタッフの数といっ た研究の必要条件のすべてが、文系の研究室には不足している」(p.326-327)と記している。まったくそのとおりだと思う。文系だからといって、文 献だけに閉じこもってはいけないなあと。科学的な研究手段も身につけるべきだし、教育していく必要もあるのだろう。

酒井 邦嘉
言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか

Sat, July 15, 2006

中山元『高校生のための評論文キーワード100』

テーマ:哲学・思想

◆中山元『高校生のための評論文キーワード100』ちくま新書、2005年6月

発売されてすぐに購入して、それから少しずつ読み続けてようやく読み終わった。「高校生のための」とあるが、もちろん大学生(1年生か2年生)が読んでも十分役に立つ内容。最近の思想関係の文章を読む際に必要な基本用語は、この本で知ることができる。特に可もなく不可もなしといったところか。

中山 元
高校生のための評論文キーワード100
Thu, June 29, 2006

田島正樹『読む哲学事典』

テーマ:哲学・思想

◆田島正樹『読む哲学事典』講談社現代新書、2006年5月

各項目は短い文章で書かれているが、なかなか読み応えがあって、何度も読み返したい本だ。何かを考える際のきっかけとして。全体に硬めの文章が続く中、途中で「ハゲとブス」という項目が入っているのが面白い。

田島 正樹
読む哲学事典
Sun, June 11, 2006

仲正昌樹『デリダの遺言』

テーマ:哲学・思想

◆仲正昌樹『デリダの遺言』双風舎、2005年10月

本書で批判される「生き生き」志向には同意。とはいえ、実は私自身もどちらかといえば「生き生き」さを求めるタイプなので、本書を読むのはつらかった。

私は、正直に言って、「生き生きした現実」を知らないというコンプレックスを持っている。だから、他人にそう言われたくないがために、躍起になって「生き生きした現実」を手に入れなくては! と思っていたのだ。しかし、本書のおかげで、「生き生きした現実」を知らなくても、別にコンプレックスを抱く必要はなさそうだ、というか人文系の学問なんて、どうやっても「生き生き」しないのだから、それを認めるしかない。これからは、無理に「生き生き」しようと考えないようにしよう。

仲正 昌樹
デリダの遺言―「生き生き」とした思想を語る死者へ
Thu, June 08, 2006

仲正昌樹『ラディカリズムの果てに』

テーマ:哲学・思想

◆仲正昌樹『ラディカリズムの果てに』イプシロン出版企画、2006年6月

とりあえず気をつけなければならないのは、本文を読む前に、冒頭の注意書きをよく読むことだろう。

納得できる箇所もあり、ちょっと厳しい主張だなと思う箇所もある。世の中、いろいろなことがあるなあ。

Tue, May 30, 2006

仲正昌樹『「分かりやすさ」の罠』

テーマ:哲学・思想

◆仲正昌樹『「分かりやすさ」の罠――アイロニカルな批評宣言』ちくま新書、2006年5月

5月はとにかくバタバタと忙しくて、全然本が読めない。今後もしばらくは忙しくなりそう。なんとかして本を読む時間を作らないといけない。

それはともかく、仲正氏の新著が出たので、さっそく読んでみる。他の著作同様、思想史をコンパクトにまとめているところはよい。今回は、アイロニーの思想史を解説しており、アイロニーについて理解しようとするなら手頃な一冊となると思われる。ただ、内容に物足りなさを感じてしまう。

仲正 昌樹
「分かりやすさ」の罠―アイロニカルな批評宣言
Sat, May 06, 2006

野矢茂樹『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』

テーマ:哲学・思想

◆野矢茂樹『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』ちくま学芸文庫、2006年4月

ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』は、私が好きな本のひとつである。というのも、哲学者の本で最初に全部読み通したのが、この本なのだ。それゆえに思い入れが強い一冊である。もちろん、私には哲学の教養がないので、何度読んでも『論考』に何が書かれているのか理解できない。だけど、そこがいい。何度読んでも理解できない/できそうもないところに、『論考』の魅力がある。

野矢氏は、ウィトゲンシュタインが『論考』で切り捨ててしまった「意味の他者」という「謎」に注目する。野矢氏にとって、「意味の他者」あるいは「謎」は重要で、それは私の論理空間に変化をもたらすからだ。そういう意味で、『論考』もまた野矢氏にとって「謎」であり「意味の他者」である。「いまは理解できないが、いつか理解できるようになる、その希望を私が持ち続けるかぎり、『論考』は私にとって他者であり続ける」(p.317)。私にとって、いつまでも『論考』が色褪せないのは、こういう意味での「他者」であるからだと思う。

本書は、野矢氏による『論理哲学論考』の読解であるが、著者自身「『論理哲学論考』を理解したいと思うならば、この本を読むのが現時点では最短の道であると言いたい」(p.14)と述べているように、『論考』を理解するのにかなり役に立つ本だ。ウィトゲンシュタインに関する本を何冊か読んだことがあるが、現時点では本書が一番読みやすい。本書を脇に置いて、もう一度『論理哲学論考』を読み直したい。

野矢 茂樹
ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む

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