稲葉振一郎『モダンのクールダウン』
テーマ:文化研究◆稲葉振一郎『モダンのクールダウン』NTT出版、2006年4月
結局、何が言いたいことなのか、一回読んだだけでは私には理解できない。この本は、いったい何だったんだろう? <近代>論? ポストモダン論? 東浩紀論? 大塚英志論? 虚構世界論? 公共性論?...。近代文学論としては、なんだか大雑把――近代文学(純文学)は自然主義だけではないだろう、というか本書が依拠している大塚英志の近代文学論が粗雑なのかもしれない――すぎるし、さらに幅広くして文化論として読んでも、それほど目新しい論ではないし。サブカルチャー論としても、東浩紀と大塚英志に寄りかかりすぎているし。というわけで、本書のねらいが、私にはうまく掴めなかった。「キャラクター」とか「萌え」を使って、「公共性」を論じてみるというのがねらいなのだろうか。
8章の最後に、「現時点でのぼく自身の立場としては、大塚の問題提起を真に受けて、「ポストモダン」状況における<近代>の可能性について、きちんと考え直していきたい、というところに落着いています」(p.239)とある。この問題意識も分かるようで分からない。とりあえず、本書を書く目的みたいなものが、はじめかおわりに欲しかったなというのが率直な感想。
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