天皇のすり替えはトップシークレットであり、薩長の中でもほんの一握りの人間しか知りませんでした。

その後、討幕の気運は日に日に高まっていき、ついに討幕の密勅が薩摩藩と長州藩に下ります。

が、同じその日、幕府の第15代将軍徳川慶喜が、政権を朝廷に返上しました。

大政奉還です。

大政奉還は討幕派の機先を制し、武力討幕の名目を奪う狙いがありました。

しかし、いったん延期とはなったものの、薩摩・長州の勢いは抑えられません。

彼らは武力でもって、徹底的に幕府を潰したいのです。

もう戦争はしなくてもいいのではないかという穏健派に対抗し、薩長は暴走しつつありました。

幕府を倒す目的は、 ”徳川家の日本” を脱却して、国民のための新しい日本を作ることであるのに、このままいけば ”薩長の日本” となりそうな気配です。

それほど薩長の力は増大していました。

この状況を危惧する人物がいました。

坂本龍馬です。

徳川が倒れても、薩長が牛耳る日本となるのなら、なんら変わりはないと彼は考えました。

龍馬は郷士であったことや、脱藩をして藩に縛られない身分になったこともあって、考えがリベラルでした。

議会制度を導入して合議による政治、有能な人材は身分に関係なく登用する、身分制度のない自由な国、そしてゆくゆくはアメリカのように国民が大統領を選ぶ国にしたいとまで考えていたようです。

ですから、政権を返上した後は、旧幕府の人間だろうが何だろうが、みんなで政治を行えばいいではないか、という考えでした。

ですが、薩長は違います。

旧幕府の人間は敵、自分は何藩、あの人は何藩、とやはり藩単位で考えてしまいます。

同じく中岡慎太郎も藩への帰属意識はありませんでした。

中岡慎太郎は龍馬と違って、武力討幕派です。

この時期、龍馬と頻繁に会って話すことなどほとんどないはずですが、2人はたびたび会っては何かを相談しています。

宮川助五郎の件ではないかという説もありますが、そんな話は数分で終わります。

この2人は討幕に関しては、武力派と穏健派で意見は違っていましたが、薩長が牛耳る日本にして良いのか、という意見では一致していました。

そんな日本を作るために命を賭けて奔走してきたわけではないのです。

2人は考えます。

2藩の暴走を止めるためには、天皇のすり替えを公表するしか方法はありません。

それともう一つ。

皇室の系統を変えるという大それたことをしておきながら、 (特に中岡慎太郎は寅之祐との関わりが多くありました) このまま黙っていていいのか、という罪悪感もありました。

中岡慎太郎はどちらかというと、この気持ちが強かったようです。

正しい南朝に戻したのだから、むしろ公表すべき、という考えです。

公表するのであれば、大政奉還が成った今しかない、と2人は考えました。

幕府が政権を返上する前であれば、倒幕の士気にかかわったかもしれませんが、政権が朝廷に移った以上、後戻りすることはありません。

延ばせば延ばすほど、公表は難しくなります。

王政復古後に後付けで公表するよりも、先に、もしくは同時に公表し、堂々と南朝の天皇でもって、王政復古の大号令を発するべきである、と考えました。

2人は公表にあたって、賛同者をつのるべく、計画を立てていました。

幕府上層部や名だたる藩の藩主、朝廷、薩長の中にも同士は必要です。

事が事だけに、秘密裏に進めなければなりません。

こうして2人は頻繁に会って計画を立てていました。

その計画を知った、すり替え公表をしたくない薩長の実力者は、この2人を危険人物とみなします。

天皇自身は、南朝の血筋であるし、幕末のこの時期は南朝正統論が盛んですから、公表されても大丈夫なわけです。

しかし、薩長側にしてみれば、皇統が南朝に戻ったことは良しとして、では睦仁親王は今どこに? となると、殺害したことがバレてしまいます。

いくら南朝が正統とはいえ、 ”天皇を殺害した” ことは大きなマイナスです。

北朝であっても、天皇は天皇であり、そんなことが許されるはずがありません。

睦仁親王ばかりか、ヘタしたら孝明天皇暗殺、将軍家茂暗殺の件まで、明るみに出てしまうかもしれません。

そうなると、新政府で権力をふるうどころか追放されるおそれさえあります。

絶対に公表されては困ります。

こうして、龍馬と中岡慎太郎は命を狙われることになりました。

この2名を殺すのは、日本にとって大変な損失であり、なんとか説得出来ないものか、幽閉しておけばいいのではないか、という案もあったと思います。

西郷隆盛などは実直な性格ゆえに、皇室を敬う気持ちから、公表に賛成だったかもしれません。

しかし、暗殺で事を進めてきた連中は、暗殺という方法は一瞬で物事が片付く経験があるため、実行に移します。

どちらか一方を先に殺してしまったら、残る方が一気に事を進める可能性があるので、2人同時に殺害しなくてはなりませんでした。

こうして2人が一緒にいた、11月15日の近江屋に、刺客が向かったのでした。

続きます。




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